以前にも書きましたが、オリーブオイルの実態をイタリアで垣間見て、「オリーブオイルの本当の美味しさを日本の人々に知っていただきたい」と思ったのが、この仕事をするきっかけです。
開始当時から18年経ちましたが、これは変わらない想いです。
オリーブオイルは、複数の生産者のものを混ぜて瓶に詰めるのが一般的です。
しかし、オリーブオイルは油脂で変質するリスクがあるので、それを踏まえて大事に扱わねばなりませんので、弊社では生産者混合のオイルは扱いを控え、一軒ものにこだわっています。
作る人から私、二者のみの手を通してみなさまに直接お渡ししています。
オリーブオイルから始まり、ご縁のあった生産者の関係で、パスタや調味料類も扱っていますが、その一つに「チェリートマトの水煮の瓶詰め」があり、弊社の人気アイテムです。
この水煮をつくるのはアントニオさん。
南イタリアの奥地、カンパニア州アヴェッリーノ県にあるイルピーノという平地がひとつもない地区で育てた、適地適作の在来種のチェリートマトが原料です。
チェリートマトがぎゅうぎゅう詰めに入った瓶詰はとても便利で、トマト系のお料理はもちろん、出汁として味が出るチェリートマトがたくさん入っているので煮込みにも最適です。
天候により農作物は変化するもの
そのアントニオさん、この数年の異常気象で生産品がまともに作れない状況です。
3年前は大洪水で川が氾濫し畑に大きな岩のような石が流れ込み、元の畑に戻せるのだろうかと思わざるを得ない状況になりました。
昨年は干ばつでチェリートマトの収穫量が半分に。
そのため値上げせざるを得ませんでした。
また実ったチェリートマトも通常より小さく皮も固めです。
農業が自然との戦いであるということを想像することが難しい消費者のなかには「いつもと違う」「皮が口に残る」と過去に食べた印象との違いのみを指摘する方も多いものです。
ハウス栽培ではなく露地で作るこのチェリートマトは、天候に沿ってそのできばえが大きく変化します。
手をかけて作られたその素材に寄り添って工夫して料理をしていただきたいと、お客様にはお願いしています。
私たちは、トマトが持つ成分を寄せ集めてもトマトを作ることはできません。
また生産者も天候はコントロールできません。
実った自然の生産物に合わせるのが、料理する人の腕の見せどころではないでしょうか。
そんなアントニオさんの畑に5月の終わりにヒョウが降り、作付けしてあった麦が全滅してしまいました。
これで天候による被害は三年連続となってしまいました。
そこで、このチェリートマトの水煮(丘陵地帯でとれるので『丘の上のポモドリーノ』という商品名です)を購入していただいた売り上げの一部を支援金として、アントニオさんの復興の足しにしてもらおうと思っています。
ご理解いただき、たくさんの方にご支援いただけますと幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
このトマト水煮一つとっても、毎年食べていると、その年によっての違いが顕著にわかります。
自然の恵みである農産物。
太陽や降雨量、日照時間や大地がつくる、その味わいの違いを感じていただけると思います。
大自然の恵みをいただけるのは、生産者あってのもの。
それを想像していただき、アサクラアイテムを召し上がっていただけましたら幸いです。