私のクリニックでは、保険診療や健康診断で実施される検査とは区別して、さまざまな方面から身体の状態をチェックする検査をおこなっています。具体的には血液、血管、有害ミネラル、酸化・糖化の状態、アレルギーなどのチェックが可能です。ご自分のいまの身体の状態を知ることで(食)生活習慣を見直し、健康の維持増進と予防美容に活用でき、またこれらの検査結果はクリニックの栄養外来で使用する重要なデータにもなります。
クリニックの検査のなかから、今回は「栄養血液検査」について詳しくお話しします。この検査は全身の栄養状態を把握するための基本血液検査セットで、50以上の項目を調べます。5大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)の過不足やバランス異常、貧血の有無とその種類、エネルギー産生、血糖調節、炎症、酸化ストレス、自律神経のバランス状態など、基本的な栄養や代謝の状態を分析する検査で、通常の医療機関で「問題なし」と診断された結果でも、分子整合栄養学的にデータを分析することで、さまざまな不調の原因を発見することができます。血液検査の結果から、その人のその時の状態を確認し、気になる症状の原因を探ります。
根治療法を目指す
栄養指導をおこなうクリニックが増えています。身体は自分の食べたものから成り、食と健康のつながりは無視できないとの考えが浸透しつつあるなかで、患者さんの選択肢も多様化しています。しかし私から見ると、保険診療で処方された薬が、自由診療の栄養指導で出されたサプリメントに置き換わっただけ、と思えることがしばしばあります。痛みや不具合が起こった場合に、薬でそれらを抑え込む治療(対症療法)も、検査でわかった足りない栄養素をサプリで補う方法も、原因に対しての治療ではないため、その薬やサプリを止めれば再発するか、かえって悪化してしまうかもしれません。
当院の栄養外来でもサプリメントは使用しますが、常用するのはほとんどの人に不足しやすく、使い続けても安全なビタミンC、オメガ3、コエンザイムQ10 の3種類のみです。原材料を厳選し、オリジナルで作っているこの3つ以外は、必要な期間にだけ様子を見ながら処方します。その見極めに使うのが、栄養血液検査を始めとする各種検査と問診です。
不調を感じていながら、病院でとくに問題が見つからなかったり、思ったように治療効果が出なかったりすることで、困っておられる方がたくさんいらっしゃいます。長引くニキビや湿疹など難治性の皮膚疾患、疲れて思うように活動することができずに生活に支障を来たす、うつの様な症状。また妊娠しにくいなど、明確に疾患として認識されない症状は数え切れません。QOL(生活の質)が低下しているのに改善方法を見つけられないのは、辛いことだと思います。
小児科外来
2012年ごろから開始した当院の栄養外来ですが、小児への治療をおこなう体制が整ったため小児科、とくに「小児栄養外来」を本格的にスタートしています。2021年8月からはクリニックの名称を「鈴木形成外科」から「鈴木形成外科 小児科」に変更しました。(小児)栄養外来では、保険診療で治療が難しいといわれている発達障害やアレルギー、アトピー性皮膚炎などの難治性の皮膚疾患などについても対症療法ではなく、おもに栄養改善と生活指導を使った治療をおこなっています。
検査のみを受けて、手軽に結果を知っていただくこともおすすめしていますが、相談されたい症状がある場合は当院で栄養外来を受診していただき、原因から改善する指導を受けていただくとよいと思います。