分担の時間の目安
日本の父親は、家事や育児をするようになったといわれているけれど、そこに割く時間の男女格差は15年前と変わらないという内容を先月号で紹介すると、編集長の寺嶋さんが、「家事時間が多い男性は幸福度が高い」というデータを教えてくださいました。
全国の20~40代の子どもがいる既婚男性への調査です。仕事がある日に「105~120分未満」家事をしている人が、最も幸福度が高いそうです。2017年の調査なので、男女共に家事・育児時間が約60分増えている今、60分を足すとイメージがつかめるかもしれません。仕事がある日に「2時間45分~3時間未満」家事をしている父親が、最も幸福度が高い。となると、どうですか、足りていますか?
家事・育児でなく、家事と書いているのは、男性の家事時間は短く、60分増えたのはたぶん子どもをお風呂に入れる時間が中心だからです。いくつかの調査からの推論ですが、新生児期に夫に沐浴を教えるからそうなるのか。
実感として、共働きで父親が、仕事がある日の2時間45分~3時間未満家事をしているのなら、分担できている可能性は高いです。足りない人は、妻が妊娠中に、少しずつ家事を増やしていけば、幸福な未来が待っているということ。子どもが生まれるころには、父親ひとりで全部回せる家事体制ができるといいですね。
危機管理から幸福へ
先の男性の幸福度調査では、主体的に家事をする男性は、家や家族に対する愛着が深まり、ワークライフバランスがいいから幸福度が高い、といった分析でした。でも、仕事にかける時間が妻と変わらなくても、育児や家事をやらない父親が普通に見られる、という最近の調査もあります。調査結果なんて見なくても、心当たりは皆さんあるはず。結局、女性に依存することに抵抗のない男性側の問題、あと、危機管理意識が足りないのだと思えます。
赤ちゃんのいる母親が父親を見限ると、そう簡単にリカバーできない、というのは何度も書いています。「家事時間が多い男性は幸福度が高い」と同時に提示されていたのが、配偶者のいる男性と比べた場合の、日本人単身男性の幸福度の、抜きんでた低さです。世界中と比べて、哀れなほど低い。
無職の高齢男性の家事分担率が低いほど、熟年離婚率が高いというデータもあります。わたしの聞くところでも、見限った夫の世話をしつづけるつもりはないという離婚理由はありがちです。総じて、男性の幸せには配偶者と家事能力が必要。プレパパが幸福への舵をきるのは、赤ちゃんがくる、今です。家事をしましょう。
ここで、家事を分担する気になった夫への、妊婦さんの協力が必要です。家事能力の高くない夫と、家事を分担するのは大変だと思うのです。でも、先行投資だと思って、ここは一度がっつり任せてみてください。慣れない男性の家事は大変効率が悪いです。レシピ通りにしか作れないから、旬の安くて栄養価の高いものを買えない、冷蔵庫の中身を確認して買い物しないから無駄が多い、水道を全開で流しっぱなしで洗い物をするのが耐えられないなど、いろいろあるのではと思います。だけど、新人教育の気持ちで。経験さえ積めば戦力になりますし、その戦力は、産後に必要です。そして夫は、自分の幸福のためにも、素直に家事能力を磨いてください! 幸せなほうがいいじゃないですか。