バナナが若葉を出してから、幹が成長し、蕾を出して結実し、完熟するまでの一生涯に渡る光合成のリレーについてご紹介します。
1枚目の若葉が地上に顔を出したところから光合成のリレーがスタートします。後続の葉っぱが出てきて、光合成の能力を徐々に高めていきます。後続する葉っぱは60度近い回転角をもって、らせん階段を上るような形で出てくるため、お互いが被さり邪魔をするような非効率なことはなく、朝から夕方まですべての葉っぱで光合成をします。葉っぱの数が増えて幹が太くなるのに合わせて、支えられる葉っぱのサイズも徐々に大きくなります。
葉っぱが成長して長さが1メートルを超えるようになると、てっぺんの若葉6枚程度に光合成の全役割を引き継ぎます。日が当たり難くなる下側の葉っぱはその役割を終えて、葉面は黄色から茶色に変色して枯れていきます。この後も幹を形成する葉鞘部分はその役目を果たし続けます。
宮古島で育てている島バナナの場合、35枚目の葉っぱを出し終わった段階で蕾を出し、順々に緑色の実(房)をつけていきます。一般に光合成の役割はすべて葉っぱが担っているように思われがちですが、完熟前の緑色のバナナの実の部分にも葉緑素があり、光合成をしています。これは私見ですが、元来、島バナナが鳥に種を運ばせることを最終目標としていたと想定すると、結実し完熟させることは幹の生命維持以上に重要度は高いと考えられます。バナナの房は葉のつけ方と同様に60度近い回転角でらせん階段を降りるような形態で効率よく光合成します。また、バナナの実の形を見るとわかるように、重力に反して逆上がりする形で太陽に向かって上向きカーブを作って光合成能力を高めます。
最終的にバナナが完熟するときに、種の保存の役割を終えた果実は、葉緑素をなくし黄色に色を変化させます。素晴らしく効率的な手法で光合成のリレーを繋いだ結果として、ようやく美味しいバナナが食べられるのですね。
葉っぱ間の光合成リレー