4月から変わったこと
2022年に改正育児・介護休業法が施行され、父親が子どもの出生後8週間までの間に取得する「出生時育児休業(産後パパ育休)」の制度ができ、何度か取り上げました。2023年のパパの育休取得率は初めて3割を超え、前年度より13ポイント上昇。従業員1000人を超える企業には男性労働者の育児休業取得率等の公表が義務づけられたこともあり、少子高齢化で若年層の人口が減るなかで、就職先に選ばれたい企業が育休取得意向の高い若い人たちにアピールできるよう、企業内の育休取得率を前向きに上げようとする動きもあります。そのため、取得率が上昇することそのものは不思議ではないのですが、取得率が上がっても期間が短いケースが目立ったり(ゼロよりはいいけど、さほど赤ちゃん育ての戦力になりませんよね)、育休による収入減を避けたいから取りづらいという声もあり、期間と収入を補強するように、雇用保険法が改正されました。
この4月から、その改正雇用保険法が施行され、育休中に利用できる給付金が増えています。
父親は、産後パパ育休を取得したその期間内に、また、母親は出産後8週間から16週間の間に、それぞれが14日以上の休業を取れば、「育児休業給付金」と「出生後休業支援給付金」の二つを、父親も母親も受け取ることができます。両方を合わせると、従来は手取りの8割くらいだった給付金が、手取り10割相当になるんだそうです。ただし、期間は最大28日とのこと。
念のため補足ですが、父母のどちらかが専業主婦(夫)である家庭、またはひとり親家庭の場合には、手取り10割相当になるそうです。
制度がなかったころを思うと、もらえるだけいいという話もあるかもしれませんが、子育てはさらに続くので、もっと長くてもいいのにね?と思います。
また、同じく4月から、男性労働者の育児休業取得率等の公表が、従業員が300人超1000人以下の企業にも義務化されました。男性育休が社会的に求められる流れにあるので、父親の育休取得率はまだ上がるんじゃないでしょうか。
同じく4月、「育児時短就業給付金」もできていて、子どもが2歳になる前日までに時短就業した期間は、時短で支払われた賃金の10%相当が支給されるそうです(元々の賃金水準を超えないよう設計されています)。時短でないと回らない保育園生活、それで目減りしないのは嬉しいですよね。夫婦の育休の取り方のバリエーションも増えているので、ぜひ前向きに比較検討していただければと思います。
育休後も子育ては続くから
子育てしやすいよう制度が整っていくのは大変喜ばしいことですが、幼子を抱えつつがんばって働くイメージがまだまだ強い気がします。2歳で時短給付が終わった後、保育園なら5歳児クラスまであるわけで、2年過ぎれば確かに育児にも慣れていきますが、給付はなくても相変わらず時短でがんばっているかもしれないです。むしろ定時で帰るのがもっと当たり前になって、ことさら育児のための時短といわなくて良くなる方向を目指せないものなのか……。どこかで、子育てしている人としていない人が、均等にお互い様になれるようなスタイルに向かって、ギアが入るといいですね。