9月に国際植物性栄養ヘルスケア学会に参加するためアメリカを訪れました。
第6回となる今年は100以上の国から1000人を超える参加者が集った充実した4日間でした。
台風21号の影響で関西国際空港が使用できなくなり、渡米自体が危ぶまれましたが、成田発のチケットを奇跡的に確保。
予定通りのスケジュールで旅を始めることができました。

唯一のゲルソン・アンバサダー

学会の様子は次号以降で報告するとして、今回は学会の後に学んだことについてお話しします。
先月号でサミュエル・S・エプスタイン他著『医者はなぜ、乳がんの「予防法」を教えないのか』を参考に、乳癌の検査と予防について書かせていただきました。
この本の三人の訳者、阿部孝次さん、氏家京子さん、葉山悠子さんのうちの一人、氏家京子さんと出張中の行動を共にしました。
もう一人の訳者、阿部孝次さんと氏家京子さんは御夫婦で、お二人は健康雑誌の編集部で出逢い、栄養療法や自然療法に関する海外取材と書籍の翻訳をおこなってこられたジャーナリストです。
京子さんは、癌の食事療法で知られるゲルソン療法における日本で唯一のゲルソン・アンバサダーで、彼女のお陰でカリフォルニア州サンディエゴにある米国ゲルソン・インスティテュートを見学することができました。

ゲルソン療法は植物ベースの食事、生ジュース、コーヒーエネマ（浣腸）、天然サプリメントを使用して体全体を治癒に導く自然療法で、副作用がないといわれています。
癌、関節炎、心臓病、アレルギーおよび他の多くの変性疾患の治療に有効です。

良質のふんだんな栄養を供給

具体的には毎日約15～20ポンド（6・8～9㎏！）の野菜や果物を1時間ごとに一日最大13回コールドプレスジュースで摂取し、さらに食事として加熱したイモ類やスープ、サラダ、オートミールなどを摂り、おやつ（！）として野菜や果物を食べます。
大量の有機野菜を摂取することで酵素、ミネラル、栄養素をより多く供給することができ、供給された栄養素は代謝を活性化し体内の病変組織を分解します。

ゲルソン療法をおこなうと蓄積された毒素が洗い流され、免疫組織が腫瘍組織を攻撃して殺しますが、死滅組織を体外へ排出することは、肝臓の過剰な負担となります。
また癌などの疾患を持つ人は解毒の重要な器官である肝臓が損傷を受けて衰弱しています。
そのためゲルソン療法では、組織と血液を解毒する方法として、食事療法と並行してコーヒーエネマをおこないます。
コーヒーエネマは肝臓から有害な残留物を排出するのを助けるのです。

ゲルソン療法は千葉県にある京子さんの施設「ヘルスフリーダム」で学ぶことができますが、より効果を望むのなら、メキシコに複数あるゲルソン療法の施設に3週間程度滞在するのが良いとのことです。
そうすれば自分でジュースを搾るなどの体力を温存し、治癒に専念できるからです。
滞在型ゲルソン療法の施設では、患者と介助者の2人で入院することが原則です。
介助者が見つからない場合、京子さんが一緒に滞在し、介助者となることもあるようです。

血液プロファイリングを極める

米国ゲルソン・インスティテュート見学の後、メキシコ・ティワナにある統合療法を実践するバイオケア病院※を訪れました。
阿部さんと氏家さんが16年来、親しくされている施設で、私がおこなっている、生きた血液を顕微鏡で観察し健康状態を知る検査「血液プロファイリング」のパイオニアであり、以前からぜひ見学したかったのです。
この施設で学んだことについても、いつかお話しできたらと思います。