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転ばぬ先の栄養学

【Vol.31】「カルシウムと健康について」(その4) 骨中がスカスカになる「骨粗鬆症」

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 骨粗鬆症とは、骨のカルシウムが減少し、骨中がスカスカになってしまう状態を言い、少しのショックや重さにも耐えられない状態になる病気です。腰や背中が曲がり、ちょっとした事でも骨折するなどの症状がでてきます。

 どうして骨粗鬆症になるのか、それは、普段からの食生活でカルシウムの摂取を怠った結果、体内のカルシウムが不足状態に陥ると、生命を維持するためにも血液中のカルシウム濃度を常に一定に保とうと不足分を骨から引き出し続けてしまいます。その結果、骨量が減少して発症してしまう病気です。人間は30~40歳代で骨が最も強くて密度が高い状態に達し、それ以後は加齢とともに骨量は減少していきます。それはカルシウムやビタミンDの摂取量が減少するうえに腎臓機能の低下がともなうため、カルシウムの吸収を促進する働きをする活性型ビタミンDが減少するからです。

 さらに、運動量の減少、また、骨の溶出を防ぐホルモンであるカルチトニンの分泌の減少も関係します。特に女性は閉経によって、女性ホルモンであるエストロゲンが激変するため副甲状腺の機能が活発になり、骨中にあるカルシウムの溶出が促進されてしまいます。

 では、骨粗鬆症をどう防げばよいのか。人間の最大骨量は子どものときのカルシウム摂取量と運動量によって決まります。特に女性は若いときからカルシウムを十分に摂ることが大切です。そして毎日の適度な運動も骨を強く丈夫にします。

 また、日光を浴びることも間接的ではありますが骨を強くします。人間の皮膚の下にはビタミンDの前駆物質であるプロビタミンDがあり、紫外線を浴びることにより体内でビタミンDに産生され、それが血流にのって肝臓、腎臓に運ばれ、カルシウムの吸収を促進する活性型のビタミンDになるからです。紫外線を浴びると言っても、シミや日焼けなど、肌に悪害を及ぼす原因となるヒドロキシラジカルや一重項酸素などのフリーラジカルや活性酸素が産生されるような長時間ではなく、一日に15分程度の日光浴をするようにしましょう。

山口清道

山口清道氏
日本予防医学研究会理事、フルボ酸・腐食性物質機能研究会会長。大手企業や新聞社、薬剤師会、教育委員会その他の各団体が主催する講演会で講師を務め、『食品破壊の実態』『カルシウム不足の脅威』などをテーマとする講演回数は1000回を越える。
現在は講演活動を休止し、食品科学研究所・BAOBAB代表、株式会社バオバブ代表取締役として、イメージ商品が氾濫する現代における、ほんもの食品の研究開発に取り組む。

- 転ばぬ先の栄養学 - 2010年3月発刊 Vol.31

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