妊娠も3度目となると、自分に合った過ごし方も身についています。初産のときに教わったストレッチ(マタニティヨガ+合気道の先生おすすめの妊婦体操)、マタニティ鍼、イトオテルミーの3つは、自分にとって必須の手当て法。日常生活にそれらを組み込むだけでも忙しいので、新たな妊婦活動にはなかなか手を出せません。
それでも今回ならではの出会いもあり、なかでも印象的なのが、「対話師」の先生を交えてのおなかの子との「対話」でした。わたし自身はスピリチュアルな方面にはあまり縁がありません。でも、妊娠中におなかの子と会話していた友だちもいて、うらやましく思っていました。そこで今回、出産場所についておなかの子の意見を聞ききたかったこともあり、ご縁のあった先生に「対話」のセッションを申し込みました。
乳幼児を交えての親子カウンセリング、「抱っこ法」をご存じの方も多いと思います。抱っこ法が子どもの泣き声や動作の様子で、赤ちゃんの主張は先生の言葉どおりであると納得がいくように、「対話」にも、おなかの子とたしかに交流している実感がありました。上ふたりの妊娠のときも、おなかの上から手を当てて温めたり、話しかけたり、体内のわが子と通じ合っていると思える瞬間はありましたが、胎児に質疑応答するほどの具体的なコミュニケーションをとるのは、今回が初めてです。
セッション時には、わたしにとっては胎動がわかりやすい反応でした。セッション後、教えてもらった「対話」のコツを自分なりに体得してからは、赤ちゃんのことばを聞いたと思える経験もしています。音声にはなっていないのですが、言葉がおりてくるんですね。思わぬ内容に、涙したことも幾度かあり……。
が、それはあとの話。初めての「対話」セッションの最中は、先生が赤ちゃんの言葉を通訳してくれました。母が望むことを子どもが望むとは限らないから、子どもが自宅出産に反対したらどうされますか、と聞かれ、正直、言葉に窮しました。が、幸いにして意見は相違せず、ただ、家だと産後の養生期にわたしが休めないのではと赤ちゃんは心配している、わたしに無理をさせるくらいなら入院した方がいいように思える、との言葉を伝えられます。その指摘を聞き、ようやく産後の準備に本腰が入りました。先生には、「おなかにいるからわかってるでしょ」で済まさないで、ちゃんと赤ちゃんに報告してあげてくださいね、と、アドバイスされました。
産後養生は確かに懸案でした。高齢出産のデメリットのひとつは、一般に、親のちからを借りづらいところにもあり、わたしの場合も、体力のなくなった親にはいっさい頼れないのが前提。産後10日はできるだけ動かず、一般に床上げ三週間だが一か月は水仕事をしないほうがいい、と言われているのに、連れ合いは家事ができず、上ふたりの子どもの世話もあるし、家で産んだらわたしが休むのは一週間ですら難しそうです。だから周囲からは、産後の肥立ちを考えて、入院を強くすすめる声もずっとありました。
そのうえおなかの子にまで心配をかけているのなら、と、シルバー人材センターなどで家事支援の方を手配、友人にも声をかけ、びんちょうたんコムで大量の保存食を買い込みました。プレマシャンティの玄米がゆやおつけもの、養生用のゴマ塩、鉄火味噌は、産後一週間弱の食事用。動物性の食品を省くだけでは足りないくらい、わたしはおっぱいが腫れやすいです。出すぎるし痛い思いをした前2回の反省をふまえ、今回は自宅出産で有名な助産院のおすすめ養生メニュー、最初はおかゆ、七日めから玄米ごはんとみそ汁、10日め以降はおかずを一品増やす、といった献立を採用。家人をあてにせず、動かなくても自分で用意できるよう、電気ケトルなども部屋に持ち込みました(レトルトはケトルで湯煎にかけようかと!)。
ところで、おなかの赤ちゃんと交流できなくなった機会があって、それが、避けられない外食で1日食が乱れた日でした。慣れないものを食べ、白砂糖にあてられ、わたし自身もしんどかったですけど、呼びかけても反応がないのがさすがに怖かった。やっぱり口にするもの恐るべし、ですよね。
望月 索(もちづき・さく)
この養生食が活躍しました!