助産院や個人病院などでのお産で緊急事態が起こると、より上位の病院に搬送されます。上2人のお産のときは助産師さんとの自然分娩でしたが、3人め、最後の妊婦健診で、エコー検査により胎盤の機能不全を疑われ、東京でも最上位の病院のひとつに搬送すると告げられました。
エコー検査では、内臓などに異常がないかを見るとともに、胎児の頭蓋骨や大腿骨、おなかなどを計測し、推定体重を割り出します。困ったことに、健診で重視されるわりに誤差があり、赤ちゃんが大きかったり小さかったりすると、さらに誤差が大きくなるそうです。わたしの赤ちゃんは小さく、それだけでも問題視されますが、搬送になった健診ではその前の健診より推定体重が数百グラム減り、胎内でまったく育たず〝苦しくなっている”と疑われました。
あくまでも「疑い」です。わたしの妊娠は毎回臨月ごろに赤ちゃんが小さめになり、おなかの子の元気さを計るノンストレステスト(NST)をたびたび受けることになります。が、異常があったことはなく、搬送を告げられた日も同様で、体感的にも赤ちゃんは元気でした。
小さく産んですぐに大きく育つのがそれまでのパターン。仕事は続けたけれど44歳と高齢なぶん妊婦の養生は心がけ、産むからだは整えました。月の暦ともばっちり呼応していたので、一週間ほど先の満月の日がたぶんお産になる、小さくても元気な赤ちゃんに会えるだろうと思っていました。ところが、90%くらいの確率で陣痛促進される、赤ちゃんは新生児集中治療室に入院になると言われたのです。
子どもの命に関わると言われると拒否もできないけれど、あまりに体感にそぐわないので、同意もしかねました。もう何年も薬ひとつ飲んだことがないのに、陣痛促進剤は怖すぎる。でも、搬送先の大病院の検査も受けたほうがいいとすすめられ、セカンドオピニオンももらえるし、と、搬送には同意しました。
のんきに一番上の子を連れて来院したというのに、担架に乗せられました。搬送されるような妊婦は自分で歩いてはいけないのです。上の子と呼び戻された家人は救急車に辟易、座る人は乗り心地がとても悪いみたい。
大病院の内診は、かなり痛いうえに、若い医師ともっと経験のある医師の2人がかりで行なわれました。あまりに不愉快なので、最後には、内診は1人にしてくれとお願いしました(その要望は通りました)。検査の結果、赤ちゃんの推定体重がさらに減り、その場で、その夜のうちに陣痛促進して出してしまおう、という話になりました。
え? NSTで問題がないのだから、入院したうえでの経過観察でもいいじゃない、と思いましたが、正期産の子は内臓が育っているから、リスクがある以上、出してしまうのが「医学的判断」なのだそうです。個人病院の説明とは違い、緊急搬送だから大病院側は受け入れたわけで、その日のうちの陣痛促進は織り込み済み、経過観察の選択肢はないし、そうする意味もない、とのことでした。おなかにいることにまったく意味がないなんて思えないのだけど、との考えが頭をかすめます。
自宅出産を考える人のなかには妊婦健診を受けない人もいますが、西洋医学にも利点があるし、無用なリスクは避ける方針で、わたしは健診を受けていました。でもそれは年齢と万一を考えてのことで、今こそが万一のときだという実感がもてません。もちろん促進を断って、すでにお産の準備の整った自宅に帰ることもできます。でも断れば間違いなくもめるし、それで自宅出産時に万一のことがあった場合、自宅に一番近いその病院が、また受け入れてくれる保証はありません。それに、2000グラムを大きく下回る推定体重が正しければ、産後の新生児ケアはプロに任せないと危ない。子どもの安全を考えると同意すべきでしたが、それでもわたしは言葉に窮しました。
そのとき家人の携帯電話に連絡が入りました。まんなかの子が保育園で高熱を出したのです。家人は病児の看病ができないのでわたしは帰るしかない。同意して入院しても、特別に外出許可をもらえることになりました。子どもたちが連携したかのようなタイミングです。
病院を出てすぐに、東洋医学的な陣痛促進を、電話予約しました。
来月号に続きます。
望月 索(もちづき・さく)
お産のお供のつもりでしたが、まさに緊急時、大変助けられました。
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