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法の舞台/舞台の法

日常のなかにある法律問題踊る弁護士の活動報告

弁護士/舞踏家

和田 浩 (わだ ひろし)

1977 年新潟県柏崎市生まれ。京都大学総合人間学部卒業。弁護士として、さまざまな分野の事件に取り組んでいる。なかでも、障害者の権利に関する案件に多く携わっている。他方、舞踏家として舞台活動もおこなっている。福祉、芸術、司法の連携について、あれこれ考えている。
縁(えにし)法律事務所 
京都市中京区新椹木町通二条上る角倉町215
075-746-5482

「障害」と「芸術」

投稿日:

今年の始めから2月下旬にかけて、大阪市で「書道家 石井誠「生」展 ~生きるための書~」が開催されました。

私がその個展のことを知ったのは昨年の12月。そのときからずっと、石井誠さんの作品との出会いを待ち焦がれていました。しかし、開催期間が2カ月間ほどあったため、いつでも観に行けるだろうと高をくくり、目の前の仕事にかまけていると、矢よりも速く時は過ぎ、気づけばカウントダウンが始まる時期を迎えていました。10日、1週間、3日……、そして個展の最終日、ようやく私は大阪へ向かうことができました。たどり着いたのは、16席の小さな絵本カフェ。店に入ると、本棚には色とりどりの絵本が並び、嬉しそうにカレーライスやオムライスを食べるお客さんたちの姿がありました。その絵本カフェの壁に、石井さんの作品が掲げられていました。薄い墨で書かれた漢字一文字の作品。人の生の美しさをことばで歌い上げる詩的な作品。ことばにも文字にもならない抽象画のような作品。いずれも心に染み入るような作品でした。
なかでもひときわ目を引いたのは、約50センチ四方のキャンバスに赤い絵の具で「花」と書かれた作品です。エネルギーがほとばしるような筆致のその作品は、あちこちに血しぶきが飛んでいるようにも感じられました。また、「花」の文字から垂直方向に落ちる何本かの細い直線は、その作品が、キャンバスを立てた状態で書かれたことを示していました。……立てた状態で?

石井誠さんは、1982年、兵庫県尼崎市で生まれました。2007年に大阪教育大学大学院の美術教育専修(書道)を修了し、全国各地で個展を開催するなど、書道家として精力的な活動をおこない、2012年には書道界の芥川賞とも言われる手島右卿賞を受賞。しかし、2014年、32歳の若さで逝去しました。石井さんは、先天性筋ジストロフィーという病気を患っていました。筋ジストロフィーというのは、簡単に説明すると、全身の筋力が低下し、身体を動かすことが困難になる難病です。石井さんはその病気のため、人工呼吸器を装着し、車椅子で生活することを余儀なくされます。しかし、石井さんは、そうした重い身体障害を抱えながらも、旺盛な意欲でもって、創作活動をおこないました。おそらく石井さんは、障害のためにしばしばキャンバスを立てた状態で作品を書いたに違いありません。私が大阪の絵本カフェで観た「花」の作品は、まさにそうした状態で書かれたものなのでしょう。

いずれにせよ、石井さんの作品に充溢している、生きることへの純粋な情熱と桁外れのエネルギーに、私は強く心を動かされました。

自己紹介

連載を石井誠さんの話からスタートしたのは、私が最近、石井さんの作品に心を動かされたからというだけではなく、「障害」と「芸術」が、私にとって大切なテーマだからなのです。

私は現在、京都で弁護士として仕事をしており、離婚、相続、賃貸借、交通事故、破産、労働事件、行政事件、刑事事件、少年事件……など、さまざまな類型の事件に取り組んでいますが、私が多く取り組んでいる分野の一つが、障害者の権利に関する法律問題です。例えば、障害を有する方が自宅で生活するために必要な介護の保障に関する事件や、昨年来マスコミで頻繁に取り上げられている優生保護法の被害に関する問題などに取り組んでいます。こうした案件については、本連載で具体的にご紹介していこうと思っています。

他方、私は弁護士であると同時に、舞踏家としての活動も行っています。弁護士としての仕事と比べれば、ささやかな活動かもしれませんが、それでも日々稽古を重ね、年に数回、パフォーマンスを行っています。こうした舞踏家としての活動についてもまた、この連載でご紹介したいと思います。

- 法の舞台/舞台の法 - 2019年4月発刊 vol.139

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