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しなやかな影響力のレッスン

自分も周りも自然と良くなるために

影響力のスイッチを入れる専門家人材育成・組織開発コンサルタント

賀集 美和 (かしゅう みわ)

北海道旭川市生まれ。違いを超えて人と人が共に幸せな社会を創るには?その答えを求め日米の教育機関を経て、世界 900 店舗のレストランチェーン TGI FRIDAY'S で人材育成の道に。独立後10年の歳月をかけ、誰でも一瞬で一体感を生み出し互いを活かし合うボディヴォイス®の技術化/体系化を実現。講座や企業研修を通じ、慈しみと活力に満ちた発展的な社会を共に創り上げていく起業家や管理職などリーダーを輩出している。

いかに自分のスイッチを入れるか

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「集中できない」「気が散る」「やるべきことを後回しにしてしまう」といった悩みが、最近多く寄せられます。こうした状態が続くと、手つかずの仕事が積み重なるので、不安や焦りが募り、さらに集中できず自己嫌悪に陥るというループを繰り返しがちです。しかし、そんなパターンを断ち切り、集中力を取り戻すのは難しくありません。

解決策は、脳の「集中スイッチ」を入れること。弊社では「ボイススイッチ」という手法を使います。具体的には、自分が出す声で自ら安心感を生み出し、脳を集中モードに切り換える方法です。時間にしてわずか30〜60秒。誰でも短時間で集中力を高めることができます。日常生活で使い続けると、やることをサクサク進められるようになり、「今日はやりきったぞ」とメリハリが効いた充実の一日を過ごせるようになります。

スイッチで切り換える

そんな集中力をよみがえらせる「ボイススイッチ」には、大事な鍵が三つあります。ひとつめの鍵は、「①安心感ファースト」。集中できないときは、自分を追い込んだり、責めたりするよりも、安心感づくりを優先します。なぜなら、私たちの脳は、安心感があると感情が安定し、思考力も高く冷静で、物事に意識的に集中できるからです。

一方、不安を感じているときは、思考力が低下し、集中が難しくなります。不安のスイッチが入る場面は、締め切り前や人前での発表など、苦手な仕事や切迫した状況のほかに、過去の嫌な記憶など些細なことでも起き得ます。

そのうえで大事なのは、「いつでも自分ですぐに安心感を生み出せる」こと。ボイススイッチを入れると、不安感や気の重さがパッと晴れるので、気持ちの落ち着きや安心感がよみがえります。

次の鍵は、「②現場検証」です。集中できない場面とは具体的に、なにをしているときで、どんな姿勢や呼吸だったのか? 実際に、体を使って再現し、そのときの心理状態を言葉にしてもらいます。その状態こそが、ボイススイッチを入れるタイミングです。漠然としていた「集中できない状態」の正体が明らかになり、早めに手を打てます。

60秒で起こせる変化

次に、ボイススイッチで集中力を取り戻したNさんの実例とスイッチの入れ方をご紹介します。在宅勤務のNさんは集中力の著しい低下に悩んでいました。たとえば、取引先に急ぎのメールを書く必要があるのに、なかなか集中できないとのこと。丁寧に聞き取り、現場検証をしていくと、Nさんの「集中できない」の正体が浮かび上がりました。メールを書こうとすると、猫背で呼吸が浅く、先方がどう思うか不安で頭がモヤモヤ。逃れるように、気晴らしにネット漫画に手を伸ばしていることが判明し、Nさんもびっくり。そこで、ボイススイッチを入れてもらうと、姿勢がスッと伸び、呼吸も深く、気が楽になって、すぐにメール作成を終えることができました。ご本人曰く「心理的負荷をほぼ感じなかった」とのこと。気が重くなったら、すぐ60秒ほどボイススイッチを入れるそうです。

それでは、最後の鍵、「③ボイススイッチの入れ方」をお伝えします。基本ステップは以下の通りで、簡単です。
①目を閉じる
②体に意識を向ける
③楽に声を出す

コツは、温泉に浸かっているイメージで、「はあ〜」と気持ちよく声に出します。できれば「はあ〜〜〜〜〜」と、長めに出し切ると、より集中脳に切り換わりやすくなります。

目の前のやりたいことにフォーカスすることが難しい現代ですが、大切なことに集中して、周りの人たちと豊かな時間を過ごしたい。それは、いつの時代も変わらぬ願いですね。ぜひ、ボイススイッチを試してみませんか?

- しなやかな影響力のレッスン - 2024年1月発刊 vol.196

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