笑顔のコミュニケーション効果については古くから知られています。どんな民族であろうと相手が笑顔であれば、たいていの人は警戒を解き、嫌な気持ちにはならないので、笑顔で返すことが多くなります。笑顔は人に伝播しやすいのでコミュニケーションの最大の武器であることは言うまでもありません。
しかも意外なことに、人は楽しいから笑顔になるだけではなく、意識的に笑顔を作ると、ドーパミン系の神経活動が変化するとの研究報告があります。つまり、「ドーパミン」は脳の「快」に関係した神経伝達物質ですので、仮に全然楽しくなくても顔の筋肉が笑顔の形になると、ドーパミンが出てその後で楽しくなる、という逆の効果が私たちの脳にはあるということです。形から入ることも実際には意味があるということになります。
そこで、マイナス感情に捕らわれている時でも、意識的に笑顔を作るように心がければ、いつの間にか楽しいプラスの感情になることができるはずなのです。が、しかし、実際には、マイナス感情の時にあえて笑顔を作ることは思っているほど易しくはありません。形から入ることも効果があるとわかっていてもマイナス感情の時にあえて笑うためには、どうしてもそうしようとする「意志」の力が必要になります。
ポジティブ思考の人の多くが実は「苦労人」なのはそこに理由があります。様々な経験をして、時にはマイナス感情にとらわれながら、ある時期から意識的にプラスの感情に留まる決心をした人たちがプラス思考の人たちです。経験がその人たちをプラス思考に変えたということです。それは、ほんとうに思っていることを人は実現してしまう力があるので、できるだけ早くマイナス感情を脱して、プラスの方向に感情を持っていく必要があることに気がついたのからなのかもしれません。
しかし、そもそも感情とは何かを考えずに、感情をコントロールすることができるでしょうか。物事はその本質から考えることが理解の早道であることも多いはずです。そこで、なぜプラスとマイナスの感情があるのか、というより、なぜプラスの感情は続かないのかを考えてみたいと思います。
メンタルのいい状態=プラスの感情は実際には長くは続きません。そのあとに必ずマイナスの感情=メンタルの悪い状態がやってきます。これは誰にでも当てはまるはずです。プラスとマイナスが交互にやってくるのが実際に人々に起こっていることです。なぜプラスの状態が続かないかというと、いい状態が続くと人は必ず不安になります。それは、感情は人が物事を認識する仕方に深く関係しているからです。つまり、いい状態は、そうではない状態があって、または悪い状態があって、初めて認識されるということです。物事はそれが当たり前になると意味を失うので、意識はその違いを作り出すことによって不断に意味を創り出す必要があるからです。
多くの人々が「渦福の法則」と呼んでいる、いいことと悪いことは交互に起こるというのも、実際は人がそれを引き寄せているということです。または、マイナス感情に留まった方がエネルギーを使わないし、実際は楽なのだと言うこともできます。マイナスの状態からプラスの状態にもっていく方がはるかにエネルギーを必要とします。
そこで大事なのはやはり「意志」の力です。多くの人は無自覚なまま感情に流されてプラスとマイナスの状態を日々行き来しています。多くの場合、そこに意志の介入はありません。しかし、プラス思考の人だけが意識的にマイナス感情をプラスに変えるチャンスを手に入れることができます。プラスとマイナスは繰り返し誰にでもやってきます。
問題は、マイナス感情がやってきた時にできるだけ早くプラスの状態に持って行くことができるかどうかにかかっています。
人間だけが自らの自由意志を使い感情を変えることができます。それは、実に驚くべきことと見ることができます。なぜなら、地球が誕生して46億年経って、初めてその意識で宇宙に介入し、自らの運命を切り開く力を手に入れたということなのですから。
次回は「幸せのかたち」について。
矢吹 三千男
矢吹 三千男氏 生来の虚弱体質で16歳の時に十二指腸潰瘍を患い、ヨガと占いにはまる。二十歳の時には身長が175センチで体重は50キロ。いつも複数の薬を持ち歩く。様々な健康法を実践するもほとんど効果なく、ようやく食養生で体質改善に成功したのは30代も半ばを過ぎていた。その時、生まれて初めて「健康」を実感する。製薬会社勤務などを経て、その後バッチフラワーに出会い、現在(株)プルナマインターナショナル代表。 著書『感情のレッスン』文芸社刊 |
こころと感情を癒す花のメッセージ「バッチフラワーレメディー」 イギリスで70年以上の伝統がある花の療法です。依存性や習慣性もなく、世界60数カ国で多くの人々に愛され続けています。 バッチフラワーレメディーの詳細はこちら>> |