自分自身をできるだけ大きな視点で俯瞰してみると、この世で起きることは、ほとんど不条理な事だらけです。他人とのいざこざや自分自身の健康問題、身の回りの事件や事故に始まり、災害や紛争、さらには戦争など、自分自身の意志で変えられることなど、ほとんどないと言ってもいいかもしれません。つまり自分の思い通りになることは、ほとんどないのがこの世の中です。その世の中を、何とかして自分の思い通りにしようと、あーでもないこーでもないと「思考」はグルグル回り始めます。根底には損したくないという「欲」「執着」があります。しかし、基本的に世の中は思い通りにならないという前提に立つと、今なんとなくうまくいっていることこそが「奇跡」なのだと気づくことができます。そう気づくことができれば「幸せだなぁ」と言ってみることが、それほど荒唐無稽なことではないと感じませんか? そして、「幸せだなぁ」と言ってみると、心の底からほんわかと幸せ感がわいてきませんか?
このほんわかとした幸せ感を感じることができるようになったら、次はこの「良い感じ」(feel good)をなるべく長くキープすることにチャレンジしてみましょう。方法はただ、しみじみ~と幸せだなぁと言ってみることです。もしうまくいかない時は、今日は天気が良いなぁ~とか、お花が綺麗だなぁ~、木々の緑が綺麗だなぁ~としみじみと感じることを練習してください。感じる対象がなければ、普段無視している散歩中の子犬にも、あえて大袈裟に可愛いなぁ~と思ってみましょう。また昔登った山を思い出して、山頂の空気を感じて気持ちいなぁ~とか、温泉につかっているイメージで気持ちいなぁ~と感じてみても良いと思います。そしてできるだけfeel good でいる状態を長くできるようにしましょう。
なぜこのような練習をおすすめするかというと、心地よい状態を感じている時は、マイナスの思考をすることができないという、脳の特徴を利用しているからです。ある本に書いてありましたが、過去と未来は「考える」ことができますが、今この瞬間のことは「考える」ことができません。逆に、今この瞬間は「感じる」ことはできますが、過去と未来は「感じる」ことができません。つまり「考える」ということは、心が過去や未来に飛んでいて、今ここにはいないということです。
このfeel good の練習を続けていると、自分の思考や感情は、自分でコントロールできるということが、わかります。つまり普段は、自分の心を自分でコントロールできていないということです。無意識のうちに瞬間瞬間の思考や感情を自分で選択しているのですが、そのことに気づいていないのです。自分の機嫌が悪いのは、誰かのせいではなく、自分の責任です。自分の機嫌に責任が持てるようになりたいですね。
おまけとしてfeel good には良い現実を引き寄せる効果もあります。心地よい感じは、良い現実を引き寄せ、悪い思いは悪い現実を引き寄せます。
山内昌樹
医師 山内昌樹氏 平成19年まで一般小児科医として診療を行うかたわら、統合医療を志しYHC矢山クリニックで小児科を担当。平成22年12月佐賀市内に『統合医療やまのうち小児科・内科』を開院。 医師となってから、重病の患者さんが劇的な回復をすることや子どもの生命力の素晴らしさなどを経験するも、個人差を考慮しない画一的な治療、ステロイド薬や免疫抑制剤の副作用など、西洋医学の限界を感じる。 漢方薬や代替療法と西洋医学を融合して治療を行うYHC矢山クリニックで小児科を担当、病気の真の原因を学び、実際の診療で効果が見られることを経験。 |