「そのままのあなたで大丈夫。そのままのあなたで完璧」
そう言われても、「信じられない」という反応が普通です。自分を批判する思考が常に働き、自分自身に悪いところがないかチェックしています。このままではダメ、成長しないといけない、自分のココが嫌い、自分を好きになれない、どうせ私なんて…etc。
自分をほめる理由は思いつかないけど、自分を責めたり・けなしたりする理由はたくさん思いつきます。
他人の考えで自分自身を裁くな!
頭のなかには、ルールがたくさん詰まっています。さまざまなルールがありますが、基本的には、そのままでは大変なことになるから「してはいけない」「しなくてはいけない」というのが基本的な構造です。ルールを守るということは、そのままではダメ、といつも考えていて、ルールを破らないようにいつも見張っている、ということです。基本となるルールとして、常識を守らなくていけない、人目・世間体を気にしないといけない、迷惑をかけてはいけない。嫌われてはいけない、などがあります。
ルールを100%なくそうというのは、社会生活上無理があります。でもルールを守ることを優先していると、なんのために生きているのかわからなくなっていきます。ルールを優先するということは、他人の考えを優先することだからです。自分らしさが失われてしまいます。他人の考えを基準にして、今の自分にダメ出しをしている状態です。『鬼滅の刃』でも冨岡義勇が竈門炭治郎にアドバイスしています。「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」。言い換えれば「他人の考えで自分自身を裁くな!」です。この考え方をやめれば、自分らしさを取り戻すことができます。
諸行無常、変化を肯定する
他人を基準にしないということは「私は私のままでいい(ということにする)」です。そして私にダメ出しする人の言葉を二度と受け取らないと決めましょう。
「あなたにとって私はダメな存在かもしれませんが、それはあなたの個人的な意見であって、私には関係ありません。私は自分のことを認めています。私は自分のことを守ります。私は自分のことを愛しています」
と、心のなかで宣言しましょう。
ときには、失敗したり、病気になったりして、自信がなくなることもあると思います。そんな自分を責めやすいときでも、考え方を変えて、自分責めを上手に回避しましょう。失敗したり、病気になったりする以前の自分と、今の自分を比べないようにしましょう。それまでの「普通・あたり前」が、これからの「普通・あたり前」とは違うかもしれません。でも、その違いを評価して裁く必要はありません。
季節が変わるように、昨日と今日は同じようで、違う一日です。変化は常に起きています。諸行無常です。失敗も病気もただの変化です。その失敗や病気さえもまた変化していきます。そこに善いも悪いもありません。変化を肯定しましょう。
絶えず生まれては変化する
またしても鬼滅の刃に当てはめてみると、ルール(べき)は、不老不死で、不変の強さの象徴である鬼や鬼舞辻無惨にたとえられます。何度も失敗しながらも、自問自答を繰り返し、変化・成長していく竈門炭治郎は「どういうふうに生きていきたいのか?」という生命エネルギーの象徴です。炭治郎は負けても負けても、自分の生き方を模索し、変化し続け、最終的に鬼舞辻無惨を倒します。炭治郎は水の呼吸の使い手で生生流転という技を使うのも象徴的です(生々流転とは、すべての物は絶えず生まれては変化し、移り変わっていくこと)。