親御さんや大人の自己肯定感を高める方法のつづきです。
前回の「~であるべき」「~してはいけない」「~しなくてはいけない」「もっと~が欲しい」「~は失いたくない」などの思いは、「思考」の世界です。
そこは、「ないもの探し」「現状否定・自己否定」「アドレナリン」の世界でもあります。「~がない」からもっとがんばる。このままではダメ、こんな自分ではダメだから、「~べき」「~してはいけない」。そして心と体が緊張してアドレナリンがでるので、体調を崩してしまう。一方、幸せがあるのは「感じる」世界です。「本当はある・もっている」「現状肯定・自己肯定」「オキシトシン」の世界です。本当はすべての人に備わっているのに、なかなか気づくことができない世界です。以前にもこのコラムで書いていますが、「幸せだなぁ~。そういえば……」といってみると幸せな理由は無限に出てきます。例えば「そういえば、今日のご飯美味しかったなぁ」でも「今日は天気が良くて気持ちいいなぁ」「さっき見たお花きれいだったなぁ」でも幸せと思えることであればどんな些細な事でもOKです。その程度のことであれば、誰にでもいくつでも出てくるはずです。つまり、幸せはすべての人が基本的な土台として必ず持っているのです。ただ、思考は「そんな小さなこと、些細なことで幸せを感じたら損をする。もったいない。もっと大きな幸せを手に入れないといけない。こんなのは本当の幸せではない」などと訳の分からない理由で幸せの邪魔をします。本当の幸せは、自分が幸せと「感じる」かどうかが全てであって、ことの大きさは関係ありません。他人と比較してもっと欲しいというのは、思考の世界です。この考え方(比較してもっと欲しい)で、目先の損得にあやつられて本質的な幸せを失ってしまい、大きな意味で損をしているのです。そうはいってもなかなか感じられないのが幸せ……というのもよく理解できます。そこで、やってみて欲しいのは、もし自分が120%幸せを持っているとしたら? もし十分に幸せを持っていると仮定してみたら、その時の自分ならどう思うだろう、どう行動するだろうと想像してみましょう。そのとき思いついたことが本当にやりたいことです。心の奥では本当にやりたいこと(本当はやりたくないこと)を誰でもわかっているのに、世間や知人や親の顔色を見て、やりたいことではなく「やるべきこと」を選択してしまっていることが多々あります。本当の自分の思いを押し殺して、自己肯定はできませんし、幸せにはなれません。
話は飛びますが、4月にアメリカのニュース雑誌TIMEの「世界で最も影響力のある100人」に片付けコンサルタントをしている近藤麻理恵さんが選ばれました。近藤麻理恵さんが提唱する片付け方のキモは「トキメキ」を感じるものは残し、感じないものは感謝してから処分するということです。これは片付けだけの話ではなく、トキメキを「感じる」ことを優先的に行動して、トキメキを感じないことはなるべく関わる時間を減らすことで、幸せになれるということでもあります。
つまり大人の自己肯定感を高めるには、本当にやりたいことをトキメキを感じながらイキイキとやって、幸せを感じることが大切。そしてその姿を子どもに見せること。これが最高の子育て方法だと思っています。世界中の人がこの仕組みに気づけば、子どもたちの世代に戦争がなくなるのになぁと妄想しています。
山内昌樹
医師 山内昌樹氏 平成19年まで一般小児科医として診療を行うかたわら、統合医療を志しYHC矢山クリニックで小児科を担当。平成22年12月佐賀市内に『統合医療やまのうち小児科・内科』を開院。 医師となってから、重病の患者さんが劇的な回復をすることや子どもの生命力の素晴らしさなどを経験するも、個人差を考慮しない画一的な治療、ステロイド薬や免疫抑制剤の副作用など、西洋医学の限界を感じる。 漢方薬や代替療法と西洋医学を融合して治療を行うYHC矢山クリニックで小児科を担当、病気の真の原因を学び、実際の診療で効果が見られることを経験。 |