昔、農耕民族だった日本人は自然界全てに神様が宿っていると考えていました。
お米の神様、ココロの神様、水の神様、風の神様、雨を降らしてくださる神様、子宝を授けてくださる神様、恋愛を成就させてくださる神様等々。
八百万の神々といい、たくさんの神様が存在しています。そんな神様に私たちのご先祖様は自分たちが育てて収穫した農作物をお供えして感謝の気持ちや願いを届けたのです。
日本に今でも残っている行事やお祭りはそのほとんどが神様に祈りを届けるためのものです。神様に食べていただくためにお供えした農作物やお料理を神様と一緒に頂くという直会(なおらい)は、今私たちが楽しんで食べている行事食になります。その代表的なものがおせち料理です。おせち料理はお節句(おせちく)料理と呼ばれていて、1年の節句ごとに、その季節を無事に過ごせるよう神様に祈願するため、お供えをしてそのあとに頂いたお料理の事なのです。
お正月は季節だけでなくその年1年の祈願と、旧年1年の感謝の気持ちを込めたお供えのお料理なので、特に大切にされていたのかもしれません。
昔の人は、そんなおせち料理を、重ねて喜びが来るようにという願いを込めて、お重箱に詰めました。詰められたお料理はその時収穫される農作物で、根菜類が中心だったのです。そのお野菜たちひとつひとつにも、ごぼうは根付く力があるから「ゴボウをたべるとその家が絶えることなく根付く」だったり、「レンコンは見通しがよくなりますように」と願を込めて食べたのです。
今では自分たちが楽しむためにご馳走を頂くおせち料理になってしまっていますが、本来は、自然界の一部として生きていく私たちを自然界の中で受け入れていただけるように、という謙虚な気持ちで食べる料理なのかもしれないなと思ったりしています。毎日、おいしいものに囲まれてしまっている今だからこそ、食べたものと命がつながっていると感じる事や、私たちはたくさんのものに助けられて生きていると感じる行事として、せめて1年に1回のおせち料理ぐらいは、家族そろって感謝しながら食べるお食事として子供たちに伝わっていってほしいと願っています。
そうそう。おせち料理を女性がつくらないのは「年神様は女性で、女性の神様には男性がおもてなしをしたほうが喜ばれる」という理由があるそうです。つねに相手のことを考えて喜ばすことを実践してきた日本人の考え方に心が清らかに洗われるそんな気がします。
「女性が楽をするために」ではなかったのですね。私も1年に1回のおせち料理は、主人の主導権のもとに皆様の健康と幸せを祈願しながらお手伝いをしています。そのおせち料理をたくさんの人と食べることが出来ることを毎年とてもうれしく思っています。さあ、今年も最後の月です。皆さんにとっていい締めくくりになりますよう、お祈りしております。
中 美恵
.。゚+..。゚+.☆ 今月のMie’s Recipe ☆.。゚+..。゚+
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中美恵
中美恵(なか みえ)氏 KII認定 マクロビクッキングスクール校長 東京南青山プライベートサロン Mie’s Room 主宰 1997年に、KII認定マクロビオティックカウンセラー・中広行氏と出会い、料理法や理論を学び始める。 2000年「おいしく、楽しく」をテーマにした「マクロビクッキングスクール」を大阪に開校し、全国に展開。現在は料理に留まらず、マクロビオティックに出会うことで多くの可能性を手に入れた自身の経験を活かし、「年を重ねるごとにキラメキを増す」「今の時代に望まれる素敵な女性」をテーマに、多彩な場面で活躍中。 中美恵公式サイト https://miesrecipe.jimdo.com/ >> |