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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

「もの」と向かい合う

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私たちの通販事業では、約1万点の品々を扱っています。多くの場合、それらは製造者さん、生産者さん、農家さんなどの努力の結晶であり、ときとしてほかでは手に入らないような高いレベルの品々も取り扱いしています。単に「もの」というレベルでは、コンビニでもスーパーでも同じようなもの、つまり単に「醤油」が欲しいとなれば醤油はどこにでもあるともいえます。しかし、コンビニやスーパーで売られているような、あちこちから原料を持ってきて大工場で量産されたものと、私たちの提供しているものには根本的な違いがあります。大量に作ることで常に需要を満たし利益を確保するためには、原料の出所はまちまちになります。農薬や化学肥料の使用回数はもとより、遺伝子組み換えの有無ですら曖昧なことが多くなりがちです。また、醤油を例に取れば、効率よく製造するために早く発酵を終わらせる必要があり、促成のために薬剤や酵素類の添加は当たり前で、合成保存料や合成甘味料に至るまで、さまざまな調整がおこなわれます。つまり、人の都合という軸で製造をコントロールし、不足するところは食品添加物で補うということが普通におこなわれています。

「丸大豆醤油」という言い方がありますが、私たちがあえてこれを主張しなければならない背景には、丸大豆でない、つまり産業廃棄物でもある脱脂後の大豆カスなどが使われるという、大量生産による醤油製造の現実があります。私たちの販売する醤油で、大豆カスを使ったようないい加減な品は一切ありません。わざわざ商品名にまで入れて主張しなければならない背景には、こういうこともあるのだとご理解いただきたいのです。

「もの」の背景にあるもの

私たちが提供するすべては、決して効率的でなく、人の都合より自然のリズムを優先し、わざわざ原価の高いものを使い、あえて手間のかかることをやっているものばかりです。それをスローと表現することもありますが、それはファストに対してスローであることに価値を見いだせる作り手と、それを理解して買うことを決める消費者の相互理解があってこそ実現できます。早くて安いにも価値があることは理解できても、少なくとも私たちは遅くて高いことのほうに意義を見いだします。早くて安い世界には、打算が多く、作り手にも売り手も買い手にも、どこかに打算があります。「こんな世界だから仕方ない」というため息とともに作られ、売られ、買われているのです。いっぽう、私たちの提供する世界には打算よりも「どうやったらさらに良くなるか」という好奇心とチャレンジがあります。

もちろんチャレンジに苦労はつきものであり、より多くの困難を伴うこともあります。それでもなお、食べる人や使う人に、もっと喜んでほしい、幸せになってほしいという情熱がものづくりを支え、高くても買ってやろうという気持ちをもってくださる方がいて成立するのです。その根っこにあるのは関心です。作り手は買い手に、買い手は作り手に関心をもっているからこそ、このようなことが可能になります。「愛の反対は憎しみではなく、無関心である」というのは故マザーテレサの言葉ですが、早くて安いには愛が不足しています。関心を寄せ合えばお金の面では損をしているのかもしれないけれど、それもまた私の生き方だ、と思える人だけが、愛のある世界に生きることができるともいえるでしょう。

つまり私たちは、「もの」に向かい合うことは人に向かい合うことと同じだ、と解釈しています。ものの価値をスペックという観点だけで、やれカロリーだ、やれ栄養分析だ、と売り手も買い手も主張することは可能ですが、そこからだけで作り手の思いを感じることはできません。「その人はなぜ、そこまでしてこのことに取り組むのか?」「その人はなぜ、安くもないのに買ってくれるのか?」という問いかけをつなぐのが私たちプレマ株式会社の原点であり、もっとも重要な仕事でもあるわけです。

子ども時代は貴重である

私は、数多くの作り手の方にお話を聞いてきました。決して専業のインタビューアーではありませんが、お取引の前提として、「なぜその人はそのことを大切にしているか?」ということを掘り下げてゆき、時系列でさかのぼってその方の人生を伺っていきます。こんなことを20年ほど繰り返していますと、一つの法則が見えてきます。多くの心ある作り手さんの今につながる動機には、物心がついてから小学校に入学する前後くらいまでの時期に重要な原体験があり、その体験がその方のコア信念を形作っているようなのです。農家さんでもメーカーさんでも問屋さんでも、ものごとに多くの関心を寄せて愛を語る人の背後には、その人の幼い時代が見えてきます。

イギリスの教育家で自由教育を実践したA.S.ニイルの言葉に「まずは子どもを幸せにしよう すべてはそのあとに続く」という美しい言葉があります。また、「問題ある子には、問題のある親がいる」という趣旨の言葉も残しています。子どもがエンドレスな関心をもって、子どもらしく遊びを軸として生きられることは、塾や宿題から得られること以上に大事な価値を、その子に、そして私たちの未来に残してくれると確信しています。

プレマシャンティ 中川信男の手前味噌

信じられますか? 樽の中で4年間、春夏秋冬、四季折々のエネルギーの変化を一身に受けて育ってきた麹と黒豆、米の共演です。日本の食品衛生諸法には変なところがあり、なぜかこのような品にも賞味期限をつけなければなりませんが、正直まったく無意味です。なくなる前にご購入ください。

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「もの」と向かい合う

- 中川信男の多事争論 - 2019年9月発刊 vol.144

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