新型コロナウィルスによる感染症の深刻な拡がりが、このコラムが読まれるころには落ち着きを取り戻していることを願っています。
以前に「令和」の解釈として、「令」(数字のゼロ)の「和」(足し算)、つまり本質が伴わないことをやっても意味がないことを述べました。今回のように対応が後手後手となり、感染拡大を防げなかったことが、それを象徴しているようにも感じます。
今年の干支である「子」は、終わりを意味する「了」に、始まりの「一」と書きます。時代の切り替わりという意味で、学校に行かなくても勉強はできるし、会社に出勤しなくても仕事ができることに多くの人が気づくきっかけとなったと言えそうです。
マスクやティッシュペーパーを買い求めて回った人がいれば、とりあえず洗い替えのきくハンカチなどを使って紙の使用量を減らす努力をと乗り切った人もいるでしょう。どちらが正解ということではなく、なにを自分が選択したかが問われたともいえそうです。
「温活」と「腸活」
今回のような新型のウィルス性感染症での不安は、治療法も予防法も確立されていないことによります。日ごろから自然治癒力(免疫力)を高めておくことは、過度に不安にならないための自信を育てることになるでしょう。自然治癒力を高めるには「温活」と「腸活」が大切です。風邪やインフルエンザでも、感染しても発症するかしないか、発症しても軽症で終わるか重症化するか。そこを分けるのは自然治癒力が高いことと、初期には発熱や下痢を止めないことがポイントでしょう。
体を温かくする「温活」。最近では、よもぎ蒸しのサロンやサウナなどの施設が増え、体を温める心地よさやその必要性を感じる人が増えています。運動や入浴の習慣に加え、ときにはこうした施設を利用するのも良いでしょう。
体を内側から整える「腸活」。腸内環境が整っていないと、せっかく良いものを食べても吸収されません。腸内細菌のバランスを考えれば、なんでも殺菌という風潮には疑問を感じます。細菌は共存するものであり、好調を維持する善玉菌が優勢な環境にしておくことが肝心なのです。腸内細菌の味方として有効なのがぬか漬けです。何年も手入れを続けたぬか床には、スプーン一杯に乳酸菌が億の単位で存在するといわれるほど。ぬか床は手間がかかり大変という声もありますが、生きている菌を育てることはペットを飼育するのと同じことです。ぬか床は、生活環境で乳酸菌を育てているともいえます。
CMで「腸まで届く乳酸菌」というフレーズを耳にしますが、裏を返せば多くの乳酸菌は腸までは届かないという意味。ぬか漬けの植物性乳酸菌の多くは腸まで届きますから、ヨーグルトや乳酸菌飲料などよりも有効で手軽に補えるのです。以前、某テレビ番組で「ぬか漬けは食べる前に水洗いするから、口にするときには乳酸菌は存在していない」と言われていたそうですが、水洗いだけで菌がいなくなってしまうなら、コロナウィルスの殺菌消毒はなんだったんだ? ということになりますね。水洗いで菌は減ることはあってもゼロになることは考えられません。
温故知新
「おばあちゃんの知恵」と呼ばれるような古くからの知恵を活かしている人ほど、新型ウィルスの騒動でも日ごろと変わらない生活を続けられていたように感じます。一方で、便利さを求め、目先に振り回される人ほど、右往左往させられていたともいえそうです。
禅の言葉に「一息を生きる」とあります。ひとつ呼吸をする今この一瞬こそが生きているということ。その積み重ねが一日であり、一年にもなる。しっかりと地に足をつけて、やることをやり続ける。当たり前を忘れず、振り回されずに生きたいものですね。