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鍼療室からの伝言

鍼灸師の西下先生による陰陽や自然食。二十四節気など古来の智恵のお話

圭鍼灸院 院長 鍼灸師
マクロビオティック・カウンセラー

西下 圭一 (にしした けいいち)

新生児から高齢者まで、整形外科から内科まで。年齢や症状を問わないオールラウンドな治療スタイルは「駆け込み寺」と称され医療関係者やセラピストも多数来院。自身も生涯現役を目指すアスリートで動作解析・運動指導に定評がありプロ選手やトップアスリートに支持されている。

いつかなくなる「いつか」

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先日、足を怪我しました。気を抜いていて、「しまった」と思ったときには遅かった。みるみる腫れてくる足首、その痛みに冷汗が止まりませんでした。恥ずかしながら、大の大人が泣きそうになるほどでした。

きっとくる……

自分にはなんの関係もないような、他人事だと思っていたことが身近にあるのに気づかされることがあります。新型コロナウイルスに対する配慮が欠かせない日々が続いていますが、自分の周囲にはいないと思っていた感染者が、意外と近くにいて驚いたこともあるかもしれません。

「匂いや味がわからなくなって困った」にしろ、「二、三日も寝ていたら熱も下がって平気だった」にしろ、メディアから聞こえてくるのと知人から直接聞くのとでは重みが違うでしょう。

仏教では、自分の思い通りにならないことを「生老病死」の「四苦」と呼びます。「生」は自分の意志とは関係なく生まれてきて、生きていくこと。やがて年齢を重ねて「老」いる、若いころに「成長」と呼んでいた変化をいつのころからか「老化」と呼ぶようになる。体の不調が出てくるようになり「病」に臥せることもある。そしていつかは「死」を迎える。そのどれもが、生きている限りは近づいていくものです。自らが近づくだけでなく、周囲も同様。体調を崩す人を見る(看る)機会は増え、旅立つ人を見送る機会も増えてくる。その人と自分との関係性や年齢も近づいてきます。年下を見送る悲しいことだってあるでしょう。

生きている限り避けて通ることはできないものと知り、遠ざけるのではなく受け入れる、その準備をしていくことも必要なのです。

「いつまでもあると思うな親と金。ないと思うな、運と災難」とことわざにあります。頼っていてもいつかはなくなってしまうと知る一方で、ないと思っていても運のツキはあるし、油断をしていれば足元をすくわれるということです。あると思ってもない、ないと思ってもある。何事もそうかもしれません。

今でしょ!

予備校のCMから「いつやるの? 今でしょ!」のフレーズが流行ったことがありました。これは受験勉強だけに限ったことではなく、生きていくうえでだれにも共通することではないでしょうか。

禅の言葉に「全機現」、全ての機能を現すとあります。自らの持つすべての能力を発揮する、ここぞというときには全力を尽くすことを意味します。今、生きているこの一瞬一瞬に、生き様すべてが現れるというのです。

「今でしょ!」は突然やってきます。私にとっては冒頭の怪我から、自分で自分を治療することへと気持ちが切り替わった瞬間です。自分で治すことはありますが、このときほど自分が試されているなと感じたことはなかったように思います。

いつもの治療法ではなく、普段は患者さんにはやらないこともいくつかやっていきました。感触は悪くなく、また新たな治療法を発見できるという期待すら湧いてきました。ところが翌日からさらに大きく腫れ、数日間は自然治癒を信じて積極的な治療はせずに過ごすことにしました。期待通りにはいかないものです。

結果、治癒まで想定の何倍もの時間がかかりましたが、これも自分だから今だから許されること。おかげでまた大きな学びになったと確信しています。

「いつか」も「そのうち」も「今度」も「また」もなく、「今でしょ」は身近なところにあるものです。「いつか」はいつかなくなってしまうし、「また」はもうやってこなくなるのです。思い通りにはならなくても、「いま」と感じたら、まずはやってみることですね。

これからも、素敵な人生でありますように。

- 鍼療室からの伝言 - 2022年9月号 vol.180

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