ここのところ、長年にわたり病気を患っておられる人との出会いが続きました。
聞いているだけで辛くなるほどの経験をしてこられた人もいらっしゃいます。
長期の経過からして、これから長いおつき合いになるかも知れないこと、
ご自身で取り組んでいただく課題が出てくるであろうことなどを、
まずはお伝えさせていただきます。
素直に「はい、お願いします」と受けとめてくださる人、
「そうですか……」と残念そうにされる人、
「やっぱり」と去って行かれる人、さまざまです。
勇気をもって扉を開いてくださった人に、
こちらとしても申し訳ない気持ちになるのですが、残念ながらそれが事実なのです。
扉の向こう側とこちら側とは地続きでつながっているものです。
扉の向こう側に特別なものはありません。
もしも長年の患いが突然にわずかな期間で良くなったら、
その変化に体がついていけずに余計におかしくなってしまうこともあり得るのです。
病気の三段階
病気になるのは気づきのきっかけであって、
病気が治っていくには大きく三つの段階があります。
①病気が治らない
②病気が治って良かった
③病気になって良かった
多くは①と②の間で揺れるのですが、その先に③の段階がある。
そもそも病気になったのはそれまでの生活という原因に対しての結果。
病気が治った・治らないというところを抜けて、これまでの自分を見つめ、
仕事に追われて休むことをしなかった、食事や睡眠を疎かにしてきた、
家族との時間を大切にしてこなかった、などの振り返りができると、
そのおかげで自分の生き方を変える必要性や自分の生命の大切さに気づけた、と。
病気にならなければ気づけなかったこと、病気なって良かったのだ、と。
そこに気づけた途端、体が軽くなった、
やがては検査データからも異常がなくなった、という人は少なくありません。
だから治らないことに執着することを脇に置いて
自分を見つめなおしてみたら、と伝えてみることもありますが、
なかには「執着をやめたら本当に治るんですね?」と問い詰められることも……。
それが執着なんだけどなぁ。
自分を他人に委ねない
昨年から「セルフケアのための脈診講座」を開催しています。
これまでに数十人が脈診をヒントに自分の状態を確認できるようになってきています。
東洋医学者の世界では「脈診十年」といって、脈に触れただけで病態を把握し、
治療法(刺激するツボ、処方する漢方薬)までを瞬時に導き出すには
相当の鍛錬と経験が必要とされます。
とはいうものの、千里の道も一歩から。
十年のキャリアも日々の自己観察から。
自分のやりたいことをやれるようになるために、自分の状態を知る。
自分を知るのに、他人に委ねない。
器具も必要ない。
自分を見つめるツールとしての「セルフケアの脈診」ができる人は、
今年中に百人を超えそうな勢いです。
無駄な医療費の削減につながるかと期待しています。
少なくとも自己観察という能動的なプロセスの体験により前向きな人が増えるでしょう。
自分のことは自分で決める。
当たり前のようですが、現代の日本ではなかなか難しいことです。
「自分」という軸がしっかりすれば、そこから回転する範囲は拡がり、
活躍できる役割も大きくなっていくでしょう。
一方「……でなければならない」との思い込みは執着を生み出します。
枠が決められ、そこから先への拡がりは出てきません。
拡がるか縮まるか、それを決めるのは自分でしかないのです。
まずは「ある」に目を向ける。
いまからでも、ここからでも、始めることはできます。
圭鍼灸院 院長 鍼灸師
マクロビオティック・カウンセラー
西下圭一
(にしした けいいち)
新生児から高齢者まで、整形外科から内科まで。
年齢や症状を問わないオールラウンドな治療スタイルは
「駆け込み寺」と称され医療関係者やセラピストも多数来院。
自身も生涯現役を目指すアスリートで動作解析・運動指導に定評があり
プロ選手やトップアスリートに支持されている。
兵庫県明石市大久保町福田2-1-18サングリーン大久保1F
HP:http://kei-shinkyu.com