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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

【Vol.35】アクセルを踏みながらブレーキを踏む愚弄

投稿日:

『税金という燃料を膨大に消費しながら、もっと前へとアクセルを踏み、同時にブレーキを全力でかけ続ける国がある』と聞くと、なにやら外国の話のように聞こえるかもしれません。残念なことに、この非常に変わったシステムを持つ国は、私たちの住む日本なのです。

こんな会話がありました。

社長
「この○○は、いま市場に出回っているようなレベルのものではないのです。なぜなら、私たちは産業振興のための助成金を3千万円ほどもらって、水の基礎研究をしました。もちろん大学の医学部も、国の産学協同のかけ声のもとで基礎研究や臨床試験までやってくれました。国のお金をもらって、健康にも産業にも寄与できるように一生懸命がんばりました。」
 

中川
 「非常に興味深く、効果も充分にあることが想像できます。しかし残念ですが、この商品を私たちがお客さまにたくさんお届けすることは、非常に難しいと思います。最近は薬事法の制約や景品表示法、健康増進法などの法律による規制が強化されています。薬事法違反に至っては、私や会社は逮捕されることすらあります。ですから、法規制の枠内で取り組んだとしても、商品の魅力はほとんどお客さまに伝えることができないので、広く流通させるのは非常に難しいです。」

社長
「そうなんです。ほんとうにおかしな国ですよね。経済産業省や自治体などは税金を大量につぎ込んで産業振興のために研究費などの費用を出してくれます。国の費用や国公立の研究施設を使って研究に力を貸してくれて、客観性のある根拠やデータも取得できました。その一方で、厚生労働省や消費者庁などが消費者保護のかけ声のもとで、これまた税金を使って表現調査をし、健康や環境増進に関係する商品を取り締まっています。そうかと思えば、どう見ても薬品を大量に使って抽出した毒にしか見えない油をトクホに認定して、健康によいとお墨付きをつけていました。」

中川
「もちろん、世間に悪徳な業者がいるのもわかります。しかし、たとえ国費で研究して国公立大学でデータを積み重ねたとしても、広告にそれを謳うだけで悪徳業者と完全に同列に扱われます。それは違法な表現だ、と。それに対する反論の機会も、第三者機関による審査もありません。ただ広告表現が違法か合法か、それだけしか判断されないのです。法律を守りたいと思って事前に問い合わせても、明確に回答してくれる機関はどこにもありません。消費者保護が目的でありながら、その会社の消費者に向かい合う姿勢や、クレーム発生時にはすべて返金しているとかは、一切検討されることもありません。ただ違法表現の酷いやつ、だから制裁という結論だけなのです。特に健康関係の広告では、お客さまの声はもちろんですが、国が与えた特許の名称ですら表現できないケースがあります。」

……こんな話は、私たちの周囲には数限りなくあります。燃費向上グッズを安価で開発したとしても、特定のデータをとるのに大手自動車メーカーが行うのと同レベルの試験を数千万円を使って取得しないと、ホームページなどで合法的に広告できるデータは取得できません。数千円~数万円の売れるか売れないかがわからない商品に、それだけの費用を捻出できる会社があるでしょうか?安価な民間機関で、きちんとしたデータをとって掲載していた会社が、「科学的に効果のない商品を効果があるように表現した」として大量に摘発されたのはごく最近のことです。健康や環境に寄与する産業の拡大は、国の財政にも、国際競争力のアップにも、国民の健康増進にも、子どもたちの未来のためにも役立つ、というのは私の思い込みのようです。自分の領分だけ果たせばいいという縦割り、部分的な仕組みや思考によって、不景気ゆえの産業振興と、かたや行き過ぎた規制の両方に、税金や借金を浪費し続けています。「科学的根拠」に対する行き過ぎた盲信も、研究にかけるお金のあるなしに左右されますし、一般科学の過去の蓄積でしか何も説明できませんから、ベンチャーマインドなどはすぐに押しつぶされてしまいます。

このような件を、事業仕分けの筆頭に立っていた先生にもお伝えしましたが、「それはどのようにやったらいいのですか?」と怪訝に質問されただけでした。答えはただ一つ、「全体にとってどうか」、それを検討する横断的な仕組みをつくるしかない。まさにそれが政治そのものなのです。今回提起したような小さな件に限らず、業界や派閥などのミクロ(部分)ではなく、全体(マクロ)にとってどうかを検討・論議し、ラフを描き、よりよい未来のために理想を実現していくのがほんとうの政治の努めだと思うのです。

- 中川信男の多事争論 - 2010年7月発刊 Vol.35

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