健康的な生活の秘訣、それは季節感を大切に自然の中で生かされていることを感じながら、日々の生活をきちんと送ることです。
節分の福豆
2月3日は「節分」。季節が冬から春に変わる「立春」の前日で、「節替わり」とも呼ばれるように季節の分かれ目の日です。
節分といえば、「福は内、鬼は外」の豆まき。健康と繁栄の「福」を呼び込み、病気や心配ごと、災いといった「鬼」を追い払う習慣で、室町時代に始まったといわれています。マメは「魔滅(まめ)」に通じ、邪気を祓って丈夫で健康な身体になることから転じ「よく働くこと」の意味になったようです。
季節の変わり目には体調を整えておくということから、栄養の豊富な大豆の大切さを伝えるための行事でもあります。大豆にはタンパク質・レシチン・イソフラボン・ビタミン・ミネラルが含まれていて、身体が丈夫になるというのもうなずけますから、節分のみならずいただきたいものです。
大豆の性質
大豆に限らず、どんなものでも食べすぎには注意したいもの。とくに大豆は「枝豆」として知られるように、夏場から旬を迎え、体を冷やす性質があります。豆乳・豆腐などの大豆製品も摂りすぎれば体は冷えてしまうのです。
「湯豆腐だから大丈夫」と言われそうですが、実はそうとも言い切れません。というのも、「湯豆腐」というのは食べるときの「状態」を指しているのであって、もともとの体を冷やす「性質」は基本的には変わりはないからです。「凍み豆腐」とも呼ばれる高野豆腐であれば、冷やす性質は和らいでいますのでさほど心配はいりません。
また、納豆や味噌のように発酵させることによって、体を温める性質が強くなってきます。
味噌汁の医者殺し
一杯の味噌汁は体を温めてくれるだけでなく、さまざまな効用があります。伝統製法でつくられた味噌には乳酸菌などの生きた微生物が存在していて、腸内環境を整えるのに一役買ってくれます。腸内の腐敗菌や有害物質を排出し、体のなかに溜まった毒素を流してくれるのです。
味噌には肥満や生活習慣病の予防に効果があることが認められ、欧米でも「ミソ・スープ」は広く人気が出てきています。味噌汁を常食することで病気を遠ざけることから「味噌汁の医者殺し」との言い伝えもあります。
近年、減塩志向によって日本人の味噌汁離れが進んでいるようです。しかし、味噌汁は単なる塩水ではなく、季節の野菜も同時に摂れる大切な「食事」です。一日の栄養摂取量のうち、実にカルシウム・鉄分の25%、タンパク質・ビタミンAの15%もの量が、1日に2杯の味噌汁から摂られていると報告された栄養調査もあるのです。これだけの栄養を味噌汁以外から補おうとすると、現実的には難しいところではないでしょうか。
冷え対策は首から
春からの活動的な季節に備えて、いまのうちに「冷え対策」はきっちりとやっておきたいものです。体を温かくしておくためのポイントとしては、「首」を冷やさないこと。薄手でもいいのでマフラーなどで首を覆い、冷たい風に直接当たることなく保温できるようにしておきましょう。肩こり・目の疲れなどはもちろん、ストレートネックやヘルニアなどによる神経痛・手の痺れも改善していきます。
また同様に「手首」「足首」も冷やさないようにするといいでしょう。とくに足先の冷えの気になる人は、冷えるところにカイロを貼ったりするよりも、レッグウォーマーなどを活用して足首周りを重ねて覆っておくことで足先の冷えが改善されるものです。
「冷えは万病のもと」とも言われます。あれこれ考えすぎるよりも、先人の智恵を借りながら小さなことをきちんとやっていきたいものですね。
執筆 圭鍼灸院 院長 西下 圭一 病院勤務を経て、プロ・スポーツ選手からガンや難病まで幅広い患者層に、自然治癒力を引き出していく治療を特徴とする。 鍼灸師、マクロビオティック・カウンセラー、リーディング・ファシリテーター。 |