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インタビュー取材しました。

「適材適所」で誰もが生きがいを持てる場を やまぶき組石作業所 理事・所長 織田 味香 氏 インタビュー

投稿日:

今から20数年前、障がいのある女性が外に出て働くことは今ほど一般的ではありませんでした。そんな社会を変えていきたいと、仲間と一緒に女性のための共同作業所を立ち上げた「やまぶき共同作業所」の織田味香さん。未開の道を行くのはいつだって険しいもの。壁にぶつかりながらも大切に作り上げてきた、誰もが自分らしく仕事ができる場所について、思いを伺いました。

梅干しの詰め作業やカカオ豆の選別などでプレマの商品作りを支えてくださっている作業所のみなさん。「なんでも楽しくが大事」と話す織田氏(前列左)

特定非営利活動法人 山吹の会 やまぶき共同作業所 やまぶき組石作業所 理事・所長
織田 味香(おりた みか)

京都生まれ。企業にて電話の交換手として勤務しながら夜間学校に通って社会福祉を学ぶ。授産所で勤務したのち、2001年に同僚と共に女性のための共同作業所である「やまぶき共同作業所」を創設。小規模ながら多様な委託作業を請け負う。現在は男性も通える作業所となっている。
特定非営利活動法人 山吹の会 やまぶき共同作業所
TEL:075-873-1370 / FAX:075-873-1371

 

障がいのある女性が
社会参加できる場を

——福祉の仕事を選んだきっかけはなんでしたか。

20代は電話交換の仕事をしていました。でもいずれ消えゆく職業だということで、なにか手に職をつけようと考えたとき、母親が介護ヘルパーの仕事をしているのを見て、私もやってみようと思ったのです。働きながら夜間学校に通って社会福祉を学び、資格を取りました。その後、授産所(障がいのある方が作業を通して社会参加や訓練をする場。2005年の障害者自立支援法の設立以降は就労移行支援A型事業所やB型事業所と呼ばれる)で5年ほど働きました。

——2001年に自身でやまぶき共同作業所を開所されたのは、どんな思いからでしょう。

当時、授産所や作業所(障がいのある方が就労や雇用促進の訓練をする場。現在は就労移行支援A型事業所と呼ばれる)を利用しているのはほぼ男性でした。女性も中途で障がいを持たれる方はいるのに、そういう方はどうされているのだろうと気になりました。調べると、事故や病気で障がいを持ったときに訓練をするリハビリセンターでは、男性は仕事に復帰するためのリハビリをして作業所など外で働くことを目指すのですが、女性は主に洗濯や料理などの生活面でのリハビリを受けていました。もちろん家事も大事ですけど、それがある程度できるようになって、次のステップというときに、女性には自分で働くという選択肢がなかったんです。今から20年以上前になりますが、社会参加のところで男女差がすごくありました。もし私だったらと考えると、女性同士で楽しく喋ったり、自分の欲しい物を買うために少しでも収入を得たいと思うだろうなと想像して。「そこを変えたいね」「私がやってみようかな」と話していたら、たくさんの方が手を貸してくださって、一年ぐらいの間にぱぱっと開所することが決まっていきました。もうこれは運命だなと思うぐらいに。

女性だけの作業所は京都では初めてで、新聞にも掲載されました。最初の利用者さんたちは、それを見て「応援したいから来た」と言って来てくださった方たちです。みなさん年配の方が多かったので、なにもかも手探り状態のなか、母親のように支えてくれたのは心強かったですね。当初からプレマさんにお仕事をいただいていました。

——プレマの創業地は京福電鉄の太秦広隆寺駅にあって、やまぶき共同作業所さんと近所だったのですよね。代表の中川とはどのように出会ったのですか。

私の父は京福電鉄の社員で、プレマさんの店によく回数券を納品しに行っていました。そこで中川社長に「娘が作業所を開く場所を探している」と話したところ、今の場所を使ったらと言ってくださって。それ以来、梅干しを詰める作業やシール貼りなどの作業をずっと発注していただいています。中川社長とのご縁もそうですし、本当に周りのサポートがあって、自然とこの場ができていったんです。私たちが普通にしている、外に出て、人と接したり自分にできる仕事をしたりして生活にメリハリをつけること。それは障がいがあってもできるはずですが、行く場所がなかったり、合わなかったりします。そんな苦労のなかでうちに来てくださる方には「今日も楽しく作業していこうか」と思っていただける場であれたらと思います。

 

個人の特性を生かして
好循環につなげる

——利用者さんが心地よく通えるように大切にしていることや工夫していることはありますか。

ひとつは、継続的に仕事を依頼していただけるように、当たり前のことですがお受けした以上は完璧な仕事をしようと伝えています。作業の内容は、箱詰めなど商品が完成する手前のものが多いので、これは自主製品じゃなくて預かりものなんだから、自分が買ったときに残念な気持ちにならない状態に仕上げてねといつも言うんです。お喋りして楽しく作業することもあるけれど、手元が疎かにならないように。あとは障がいの特性によって、同じことをずっと続けられないとか、逆にずっと同じ作業をするほうが得意というような個人差があるので、なるべくその人の持っている特性を生かして作業ができるように作業を割り振っています。たとえば、私たちでは見過ごしてしまう細かな違いを見つけられるというような優れた能力をうまくマッチングできると、作業の効率がぐんと上がるし、ご本人にとってもやりがいにつながります。

——ぴったりと見極めるのは大変そうですね。

はい。私たちもそうですが、お金をいただいてする仕事だから急ぎもあるし、嫌だと思ってもやらねばならないときもある。だから本人に事情を説明して納得してもらえることもあれば、できないときもあって、適性の見極めと仕事としての割り切りの部分で、判断が難しいです。うちはB型で、社会に出るための訓練をする所だから、いずれ本人が困らないようになるべくわかってもらえるように伝えていく。でも特性も考えないといけないし……というところで日々悩みます。言葉で上手く表現できない方もいるので、手探りですね。

——みなさんが自分の特性を生かして作業できるように配慮するのは根気のいる仕事ですね。現在、弊社のプレマルシェ・カカオレート・ラボで使うカカオ豆の選別の作業や包装紙を折る作業などを請けていただいています。その様子を教えていただけますか。

今、豆の選別は一人の方が責任を持ってやってくれていて、それ以外はみんなでやっています。もし私がカカオ豆の選別をやってといわれたら、うーん、となってしまうぐらい神経をすり減らす作業なんですけど。一人で黙々と作業するほうが落ち着いて作業できる方がいて、カカオ豆の依頼をいただいたときに、ぴったりだな、ありがたいなと思いました。私たちは、豆がばーっと広がっているなかから必要なところだけを見て選び分けますが、その方は、見聞きするものの情報が全部頭に入ってきて、あれもこれもと気になってしまうので、今選別する分だけを少しずつ出しながらやっています。楽しい?と聞いたら、うん楽しいよって答えてくれました。

——カカオ豆の作業はその方にぴったりだったんですね。作業を依頼しているカカオレート・プロデューサーの中川愛さんに聞いたところ、最初は1週間分として30‌kgをお願いしていたそうですが、2、3日で終わるようになって、40‌kg、60‌kg、80‌kgと増やしていったとのこと。あっという間に選別を終えた豆が戻ってくるので、むしろ工房での作業が間に合わないぐらいだそうです。すごい技をものにされているんですね。

慣れてきたらどんどん捌くのが早くなってきて、ものすごい集中力でぱっ、ぱっ、とやっています。あまりにも早過ぎて、「もう一回見て」と言うときもあるぐらい(笑)本人は「これが私の仕事だから」とよく言っています。できたら今度みんなをお店に連れて行って、自分の作業が社会でどんなふうに役に立っているのか、見せてあげたいと思っています。その体験がまたやりがいになり、仕事への責任や丁寧な作業につながると思いますから。

——うまくマッチングができると、利用者さん、作業所、企業の間で好循環が生まれそうです。

企業さんから頼まれる作業のなかには、それは無理だという内容もあるんですけど、利用者さんの特技や才能を活かしたらいくらでも社会に貢献できる可能性もある。そこを見極めて、丁寧にマッチングするのが私たちの役割だと思っています。

変化の波に呑まれず
利用者の居場所を守る

——開所から約20年が経過するなかで、さまざまな変化を乗り越えてこられたと思います。今後どうしていきたいと思いますか。

まず20年前と今では時代がまったく変わりましたよね。政策も変わったし、自分の考え方も変わってきているし。新型コロナウイルスにも大きな打撃を受けました。この先どうなっていくのかは私もわかりませんが、柔軟に流れに沿って、呑み込まれないようにと思っています。

2005年に障害者自立支援法が設立されて以降、障がいのある方も、そうでない方と同じく社会に参画しようという流れができています。つまり、障がいのある方も社会に出て競うことが求められ、作業所も生産性が優先されるようになりました。資本力を持つ大手企業が福祉施設を設立して、自社で仕事を回したり、多額の設備投資をして運営しています。そういったところでは工賃が高くなるので、利用者さんも集まりやすく、多くの補助金を集めることもできます。障がいのある方とそうでない方の壁がなくなるのはいい面もありますが、現場で長年さまざまな利用者さんと接してきた立場で見ると、いいことばかりではないと感じています。実際はいろんな障害を持っている方がいて、機会があれば社会に出て働ける方がいる一方、人とのコミュニケーションが取れないから無理だという方もいる。作業所を就労支援の場としてだけ見ると無理が出てきます。だから障がいを一括りにするんじゃなくて、一人ひとりに合った社会参加を、私は支えていきたい。そのことは、私たちがもっと声を上げないといけないのかもしれません。

これまで必死にやってきて、振り返ればもうこんなに経ったのかという感じもします。ひとつ山があって片付いたなと思っても、また次の山がくる。そんなふうにひとつずつ積み重ねていければ、これからも続けていけるのかもしれない。山が現れるたびに必ず助けてくださる方がいてくださって、今も無償で手伝ってくれている方もいる。だからがんばれるのもありますし、利用者さんたちが「また明日来ます」とか「明日もよろしくお願いします」と言って帰っていくのを見ると、この場所をなくしてはいけないなと思います。

——地域の方たちとの関わりはどうですか。

福祉施設に反発する地域もあるなかで、ここ太秦組石町の方たちは、温かく受け入れてくださっています。この建物が完成したときも「気になっていたのよ」と声をかけてくれたりして、ごく自然に付き合えるのがありがたいです。たぶん、福祉施設は建物の中に入ってみれば、みなさんが思っているより普通の会社とあまり変わらないのではないでしょうか。喧嘩したり仲良くしたり、面白いこともしんどいことも、いろいろある。この当たり前の日常を、これからも楽しく続けていきたいです。楽しくないとしんどくなってしまいますからね。


プレマルシェ・カカオレート・ラボの中川愛より

カカオレート作りの工程では、内職的な仕事が多く、人手があるほど製造量を増やせます。開店当初は、少ない人数ですべての作業をしていたので、カカオ豆の選別待ちで加工に進めないことがよくありました。選別にはすごく時間がかかるし、私なんて長時間やっていると眠たくなってしまう。でもやまぶきさんに選別をお願いするようになってからは、選別がすぐ終わって、加工が追いつかないぐらいの状況です。それぐらいチョコレート作りで最初の肝心な作業を担ってくださっています。どの豆がいいか判断に迷うこともあるし、人によって基準が違うので難しいかなと思っていたんですけど、お願いして本当によかったです。包装紙の作業なども、私は他の作業に優先的に取り組めるようになったので、とても助かっています。

 

根気のいる選別作業を楽しげに取り組む
みなさんが手作業で折った箱が商品に

自然食屋のビーントゥバーチョコレート

カカオレート(R)とは、カカオそのものの機能性を生かし、食することで人々を豊かにする進化的な食品です。産地ごとに様々なフレーバーが揃います。

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「適材適所」で誰もが生きがいを持てる場を やまぶき組石作業所 理事・所長 織田 味香 氏 インタビュー

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