3月中旬、桜前線とともにシーズン到来! 多くの人が心待ちにするお花見。今年は、ワンランク上の楽しみ方をしませんか? お花見のことをもっと知って、素敵な春のスタートを。
お花見はいつはじまったの?
桜のつぼみが色づきはじめる頃。なんだかうきうきしてきますね。
京都には、桜の名所が多くあります。円山公園の枝垂れ桜、平安神宮の紅枝垂れ桜、祇園白川界隈の桜や4月中旬頃に咲く仁和寺の御室桜(おむろざくら)、また豊臣秀吉によって愛されたことでも有名な醍醐寺の枝垂れ桜など……。
そもそも「桜」を愛でるお花見は、京都に都が移された平安時代からはじまったもの。平安時代には、桜を詠んだ和歌も多く残されています。それ以前の奈良時代には、中国にならって観梅が好まれたそうです。
ただ平安時代のお花見は貴族の遊びで、庶民がお花見をするようになったのは江戸時代。八代将軍の徳川吉宗が飛鳥山や隅田川の土手などに桜を植えたのがはじまりだとか。当時の人々も今と同じように、桜の木の下で飲んだり食べたり、歌ったり踊ったりして楽しんだといいます。
「花よりだんご」という諺がありますが、お花見の楽しみのひとつは、花見酒や花見団子、花見弁当などをみんなで味わうこと。特に桜の葉や花を塩漬けしてつくる桜餅や桜茶は、この時期ならではの味覚です。桜餅の発祥の地は東京向島といわれています。享保2年(1717年)に和菓子職人山本新六さんが、土手の桜並木の葉を塩漬けにしたもので餅を包み、向島・長命寺の門前で花見客に売ったのがはじまりだとか。関東ではこの桜餅を元とするものが一般的ですが、地域によっても違いがあります。
桜 餅 塩漬けした大島桜の葉を使います。関東発祥といわれる桜餅は、生地を小麦粉でつくります。関西で桜餅というと、道明寺粉をあんで包んで蒸したものが一般的です。 桜 茶 白湯に桜の花の塩漬けを浮かべたもの。茶碗の中でかわいらしく花ひらきます。 桜めし 桜の花の塩漬けをちらして香りづけ。蛸を炊き込む地域も。 花見団子 白ねりのあんと、このあんを桜色、緑色に染めたものを青竹串にさした三色団子。 |
染井吉野は江戸時代に生まれた
桜の種類では、染井吉野が有名です。気象庁による桜前線も染井吉野の開花状況を示しています。しかしそれ以外にも、日本には基本の野生種が10種、変品種あわせて約100種の桜が自生しています。染井吉野などは園芸種であり、園芸種は約300種もあるそうです。
染井吉野の他に一般的に見る機会の多い桜は、平安時代に貴族が愛でた「山桜」、染井吉野より遅れて開花し、桜花の塩漬けにも使われる「八重桜」、開花期が早く淡紅色の「寒桜」、樹齢千年以上のものもある「江戸彼岸」、江戸彼岸の変種である「枝垂れ桜」、伊豆七島や房総半島などに自生する「大島桜」、開花期が4月中旬で関東以北に多く自生する「大山桜」などがあります。ちなみに「染井吉野」は江戸時代から明治時代にかけて、江戸駒込・染井村の植木職人たちによって、「江戸彼岸」と「大島桜」を交配してつくられた品種です。成長が早く花がたくさんつくので見応えがありますが、寿命は短く、60年ほどといわれています。
農業の神を迎える花見もあった
桜を愛でることを目的にした都市の花見とは違いますが、農村でも、春になると山野の花を愛でて自然を楽しみ、屋外で飲食をする風習がありました。これは農業をつかさどる神様を迎える農耕儀礼として行われていたそうです。ひな祭に「オハナミ」と称して行う地域もあれば、「ハナミゼック」「ハナミヨウカ」「ハナミショウガツ」と呼ぶ地域もあるそうです。「山遊び」ともいわれています。
いずれにしても、私たち日本人は古くから春になると花を愛で、自然を楽しんできました。桜の名所は日本全国にありますし、有名ではなくても、自分だけのお気に入りを見つけるのも楽しいものです。
最後に、今年も来年もずっと美しい春を楽しむために、樹を傷つけない(枝を折る、根本を踏み荒らすのは絶対NG)、ゴミは持ち帰るか所定の場所に捨てる、などのマナーはきちんと守りましょう。またこの時期、朝晩はまだ冷えますので、早朝や夜桜見物をされる際は防寒対策も忘れずに。皆さま楽しい春をお過ごしください。
< らくなちゅらる通信編集部>
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