「オルチョ」でおなじみのアサクラが紹介する新たなおいしさ、イタリア、トスカーナの自然の恵みたっぷりの「Radici(ラディーチ)」のジャム。代表の朝倉玲子氏にお話を伺いました。
―「Radici」の生産者であるサンドラ・ピッピアーノ夫妻とは、いつ、どのように出会われたのでしょうか?
震災の年です。私は、あの地震があったときにイタリアに剪定の為に滞在していました。 震災の後原発問題があり、食材の放射能汚染を多くのイタリア人から指摘されたんです。その為、豆を中心に日本の現状にあうものと探し、あの時の原発問題で、すさんだ日本人に少しでも心地いいものを提供したいという思いから様々な生産者をめぐりました。 フィレンツェの小さなオーガニックマルシェで夫のビッビアーノが在来種の自家採取の種を販売していたんです。それをきっかけに彼の農場を訪れ、ジャムや果汁をみつけ販売になりました。自分の姪を含め、子供たちに楽しみを与えたい、というのもありました。
―お二人は元々、ジャムなどの食品作りの経験をお持ちだったのでしょうか?
ビッビアーノもサンドラも農業従事者ではなく、始めは勤め人でした。しかし、子供が授かり食べ物の大切さをあらためて考えるようになりビッビアーノの実家が持つトスカーナの栗林を起点に就農しました。
少しずつ生産品を増やし、いまではありとあらゆる農産物を栽培しています。直接栽培したものを宅配やオーガニックマーケットで販売したり、殆どの農産物を加工しジャムなどのように二次製品に変えたりして販売しています。その加工品は基本はトスカーナの伝統的な調理法を元にサンドラがアレンジしたオリジナルレシピで調理されています。
―製品化する中で特に大変だったこと、手間のかかったことは何でしょうか?
農産物の出来が季節や年によって大きく変わり、それらをなるべくおいしく、オリジナルレシピとして満足度の高いものにすることです。
何度も失敗を重ね、レシピを完成させました。
―朝倉さんがお付き合いされる中で感じる、ご夫妻やご家族の雰囲気を教えてください。
ビッビアーノ、サンドラの2人はとにかくよく働く。夫のビッビアーノは肥料も緑肥のみで無農薬で栽培しています。さらにその農産物のを殆どを自家採取の種で作り出しており手間がかかるのはいうまでもありません。
妻のサンドラは加工所の管理と販売を一手に引き受け、全てを取り仕切っています。
息子2人に双子の姉妹と4人の子どもをもつ大家族でみなそれぞれが一生懸命に生きている、という印象です。
―おすすめの食べ方があれば教えください。
ジャム類はパンやスコーンに添えるのはもちろん、生クリームやヨーグルト、また肉料理の調味料などにもとてもあいます。ジャム=パンとともに、の概念を外してお使いいただけるとより楽しいと思います。
―朝倉さんには、オルチョサンニータ、パスタ等もご紹介いただいていますが、今後の展開はどのようにお考えですか?
イタリアで一生懸命自然に負荷なく栽培している人たちがいる。そして栽培するだけではない、私の扱う製品は全て加工という行程があります。自然環境に則した栽培と本来の作り方をした真っ当な人たちの製品を日本のみなさんに伝えること、食べる人に伝えていきたいと思っています。
今お付き合いしている人とさらに深く関わり、日本のみなさんにも現地を訪問し生産者と関われるような機会も持つ環境を作りたいと思っています。食べるだけでなく、生産者と密接に関われるよう、そして生産者とイタリアの産地をより深く知り理解していただけるようにしていきたいと思っています。
―2011年3月11日から3年が経った今、当時と比べてどのような変化があったでしょうか? お客様をはじめ私たちが力になれるのはどのようなことでしょうか?
より安全で身体にいいものを食べたい、特にオリーブオイルのいいものを食生活に取り入れたいという方が増えています。古代小麦のパスタの輸入して8年ほどたちますが、オリーブオイルと同じく本来の作り方をしたパスタの需要が増えています。なにしろ、一度食べた方はオリーブオイルもパスタもジャムも別なものに戻る事はできない、と皆さんおっしゃいます。
購入していただける、ということはイタリアの真っ当な農地の耕地面積が増え、ますます自然環境がよくなるわけです。
放射性物質と言う厄介なものと付き合わねばならない昨今、すこしでも環境がよくなるよう、イタリアという遠い国ではありますが、繋がっているんだということをご理解頂き食べていただくことで、それらの農地が増えていく、環境がさらによくなっていく、ということを意識していただけるようになったらとても嬉しいです。
今回、私の思いを伝えていただける機会を与えていただいたことも非常にありがたいです。
<らくなちゅらる通信編集部>
お話 アサクラ 代表 朝倉玲子氏 イタリア南部・料理修業中にオリーブオイルに開眼。その魅力にはまり続けて10数年。 帰国し本物のオリーブオイルの紹介とそれに伴って自分が食べたい食材を輸入販売しています。ただおいしいだけじゃなく本物をまじめに作る作り手とそれを必要としている食べる人をつなぐお手伝いをしています。 |