2018年が明けました。今年の干支は、戊戌(つちのえいぬ)。東洋医学の五行論では、戊は「土」の性質を、戌もまた「土」の性質を持つものと考えられます。土とは自然界では、万物を育てるもの。季節では、それぞれの季節の変わり目に存在するのが土用となります。土用といえば、うなぎを食べる「夏の土用」が知られていますが、春夏秋冬の四季のすべての変わり目にあります。近いところでは1月17日に冬の土用を迎え、寒い冬から春の温かさへの準備を始めていき、2月4日の立春でもって、暦の上では春に入ります。
戊と戌の二つの「土」が重なる今年は、あらゆるものを育てつつも、次の時代への変わり目となる重要な年となりそうです。場合によっては、これまで追いかけてきたものを見直すことで新たなものが見えてくる、そのための準備の一年とも言えそうです。しっかりと足元を固め、常に偏りのないニュートラルな気分でいることが大切ですね。
おもてなしの心
先を見据えて2018年を考えてみましょう。来年2019年にはラグビーワールドカップがアジアで初めて日本で開催され、北海道から九州まで12都市での試合開催が決定しています。2020年は東京オリンピック・パラリンピック。翌2021年には生涯スポーツの世界大会「ワールドマスターズゲームズ」が開催されます。3年連続でスポーツの世界大会が開催されることは極めて稀といえるでしょう。今年は、その準備の一年と考えられます。
2020年東京オリンピック招致のキーワードは「おもてなし」でしたね。おもてなしとは、心のこもった接遇のこと。もう少し深い意味を考えてみますと、おもてなしとは表がないこと、表がなければ裏もないということで、正直にあるがままでいることという意味になります。人からは見えないところも手を抜かないくらいの姿勢でいることが大事で、なにか特別なことをするわけではない。むしろそういう「ありのまま」の姿勢を試されるくらいの心構えでいたいものです。
ノーマライゼーションの課題
2020東京オリンピック・パラリンピックに向け、各競技団体が幼少期からタレント発掘を目指した育成や、他競技からの移行に取り組んでいます。
課題を抱えているのはパラリンピック。ノーマライゼーションとは、障がい者と健常者とが特別に区別されることなく社会生活を共にするのが本来の望ましい姿とする考え方。この考えの拡がりとともに障がい児の普通学校への進学が増えているのは良いことなのですが、受け入れる学校教諭の特別支援教育の取り組みが追いついておらず、体育の授業で見学にまわる児童が多いようです。そのため成長期に運動習慣が身につかず、競技志向の障がい者アスリートが育っていないと聞きます。個々人のもつ特性や可能性を伸ばせないのでは意味がありません。まだまだ真のノーマライゼーションに向けた課題がありそうです。個性として認めあえる社会の実現に向けても、時代の変わり目となっていくときなのでしょう。
いつやるの?
禅の言葉に「更待何時(さらにいずれのときをかまたん)」とあります。いま動かずしていつ動くのかという意味です。来年からの3年間、それらのスポーツの選手や関係者、観客と一段と多くの人が日本を訪れます。好む好まざるに関わらず、世界中の人が日本、そして、日本人により一層注目します。開催地は東京の一極集中でなく日本全国に散らばっているため、誰にとっても決して他人事ではありません。
日本人として生かされていることに自覚と誇りをもつこと。正直に自分らしくいること。いま自分にあるものに目を向けてみること。人にも、自分にも、優しい社会でありたいですね。
圭鍼灸院 院長 鍼灸師
マクロビオティック・カウンセラー
西下 圭一(にしした けいいち)
新生児から高齢者まで、整形外科から内科まで。
年齢や症状を問わないオールラウンドな治療スタイルは「駆け込み寺」と称され医療関係者やセラピストも多数来院。
自身も生涯現役を目指すアスリートで動作解析・運動指導に定評がありプロ選手やトップアスリートに支持されている。
兵庫県明石市大久保町福田2-1-18サングリーン大久保1F
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