次男と同じように〝発達障害〟と診断された子どもたちに出会う機会が増えています。発達障害をもつお子さんを育てる親御さんや施設関係者へ向けた講演会やワークショップ、ヒプノセラピーの個人セッションに、お子さんを連れてこられる親御さんも少なくありません。また、発達支援学級に通う子どもたちのための〝心の授業〟を、学校へ出向きおこなうこともあります。
本当にかわいい、愛おしい子どもたち。人一倍繊細だからこそ傷つくこともたくさんあることでしょう。けれどそんな自分を毎日健気に精一杯生きている。彼らと接していていつも感じることなのですが、彼らは心にフィルターをかけることなく、真理を受け取る純粋性のアンテナをもっています。それはとても傷つきやすいアンテナだけれど、彼らはそれを鈍らせて穢すくらいなら、傷ついても敏感でいることを選んで生まれてきた勇敢な魂さん。
発達障害をもつお子さんのなかには、状況の把握や、気持ちの言語化が苦手な子もたくさんいます。幼いころから霧のなかをさまようような不安感とともに、実に複雑な感情をたくさん味わってきているはずです。周りとなにかが違うけれど、なにが違うのかがわからない。まるで自分が外界から閉ざされた世界で独り生きているような。周りに馴染めないことを良しとしない環境に身を置けば、さまざまなプレッシャーが重圧となり息苦しさも感じることでしょう。自尊心は傷つき、行動面に問題が生じ、人との関わりに恐怖感を抱き、誰にも理解してもらえない悲しみから、場合によっては精神疾患の症状がみられ二次障害が出ている子も少なくありません。個人セッションへ来るお子さんのなかには、パニック障害や強迫性障害、鬱や自傷行為など深刻な問題を抱えている子もいます。
私がいつも子どもたちに言っているのは、「傷つきやすい心は弱さではないよ。人一倍繊細なアンテナをもっているかもしれないけれど、そのアンテナは創造力の源なんだから!」ということ。とにかく自尊心を回復するための言葉かけを続けます。
そして親御さんとの面談では、親の言動や態度が子どもの発達にどのような影響を与えるのかを知っていただき、親御さんご自身の幼少期のトラウマを癒すべく個人セッションをおこなうケースもあります。
あるがままを認める
実のところ、子どもの症状を緩和するには、そばで寄り添う親や教育者の意識の変革こそが必要なのです。大人が自身のこれまでの人生で、環境や身近な人たちから植え付けられてきた条件付けの枠組みをはずし、自らを解放し、柔軟な姿勢で子どもを理解し、彼らの個性を認め、受け入れるところから始めなければならないのです。
子どもの個性をあるがまま認め、「ただ生きてくれているだけでOK!」と本心から言える自分自身を取り戻すことです。子どもの深刻な症状は、大人の自己矛盾を見事に顕現してくれる鏡のようなものなのですから。
子どものあるがままを認められるようになるためには、まず自身のあるがままを認め、己を知ることです。一人一人違って当たり前。唯一無二の存在を他者と比べないでください。あなたはあなたのままで祝福され、大いなる宇宙によって愛されているのですから。
制限だらけの思考では子どもの可能性に目を向けられません。その制限はこれまで歩んできた人生のなかで植え込まれてきた条件付けや思い込みからの反応です。
私が日々、大人の枠組みのなかで身動きが取れなくなっている子どもたちに言っていることは、「世界は広い!」ということです。自分の本質を輝かせる場所は必ずあります。諦めないで信じて、本当に好きなことが見つかったら、そのために努力し続けてください、ということを伝えたいのです。