「これさえなければ、今日一日ずいぶん楽になるのになぁ」「これさえなければ幸せなのになぁ」。今日やらなくちゃいけないことで「これさえなければなぁ……」と思うことはなんでしょうか?
例えば、仕事、学校、家事、地域の役割、おつきあいなどなど。なにか一つくらいはあると思います。「いっぱいありすぎて一つに絞れない!」という人もいるかもしれません。とりあえず、一番イヤだなぁと感じるものを一つイメージしてみましょう。そのことについて考えるだけで、気持ちが萎えたり、ため息が出たりすると思います。“やらなくちゃ”いけない!と思っていることは、本当はやりたくないことです。好きなことや得意なことだったら“やらなくちゃ”とは思いません。本当は嫌で苦手なことだから、“やらなくちゃ”いけないと思っているのです。
苦手をがんばっても評価されない?
話は飛びますが、この原稿を書いている時点で、プロ野球日本シリーズの決着がつきました。父が元阪急ブレーブスファンで、近鉄沿線の住人だった僕は近鉄バッファローズを経て、現在、オリックスバファローズを応援しており優勝してほしかったのですが(阪急ブレーブス→オリックスブルーウェーブ→近鉄バファローズと合併してオリックス・バファローズ誕生)、ヤクルトスワローズの優勝でした。コロナ禍でのリーグ戦、クライマックスシリーズ、日本シリーズ、本当に大変だったと思います。おめでとうございます。閑話休題。本当は嫌で苦手なことを「がんばってやる」というのは、野球に例えると、運動神経が良くない人が「わたしがんばります!」といってバッターボックスに無理に立とうとすることと同じなのです。周囲の人は「いやいや、そこはあなたの持ち場ではないですよ」「言いにくいけど迷惑だなぁ」「上手な人に任せましょう」という反応になるでしょう。
苦手なことをしない工夫
これさえなければなぁと感じることは、本当は嫌で苦手なことです、できればやめましょう。ほかには、逃げる・人に任せる・お金で解決する(掃除が苦手ならダスキンさんにお願いするなど)・ズル休みする・諦めるなど。普段だったら、そんなのありえない!人としてダメ!と感じることですが“やらなくちゃ”いけないと感じることは、苦手なことです。上手にできないことです。あなたがするより、得意な人に任せたほうが、短時間で効率よく終わります。苦手なあなたががんばると、時間がかかり、こじれて、トラブルが起きます。コストも掛かります。どうしても代わりの人がいない場合は、少しでも減らす・途中までする・上手にごまかす・体裁だけ整える・手伝ってもらうなど、できるだけ、そこにかけるエネルギーを減らす工夫をしましょう。そこに知恵を使いましょう。こういうアドバイスをしても、「でも」と抵抗を感じる方が結構多いのですが、そのときはちょっとキビシ目に次のようにお話をします。「もしかすると今日病気や怪我で入院するかもしれません。もしかすると今日が寿命かもしれません。それでも世界は続いていきます。あなたがいなければ世界は回らないのでしょうか? いつか年をとったり、病気になったり、寿命がきたりして、あなたの“やらなくちゃ”いけないことができなくなる日が来ます。少し早めに諦めてみませんか?」。
悪魔のささやきにあなたはチャレンジしますか? それとも今まで通りをつづけますか? 最後のハードルを超えるのは「えいやっ!」というあなたの勇気です。そして、やめると決めた後、苦手なことに使っていた時間とエネルギーは、やりたいこと、楽しいことのために使いましょう。生きる力が湧いてきて、それが免疫力につながっていきますよ。