二〇二四年も残すところわずか。今年の干支の「甲辰」は、殻を破ることを意識してみると良い年ですが、一年を振り返ってみていかがでしょうか。
年始に「初詣」に出かけた人は多いでしょう。一方で、年の瀬に「年末詣」をする人は少ないかもしれません。年末詣は「詣納め」とも呼ばれ、12月中旬から大晦日の間に、一年間を無事に過ごせたことへの御礼参りです。
一年で最も日照時間の短い日である冬至。冬至を境に日は長いほうへと向かい始めることから、陰と陽の切り替えのタイミングともいえます。年末詣はこの冬至により近いほうが、縁起は良いとする考えもあるのです。さらに、多くの神社や寺院も年末は煤払いをして敷地内を整える時期であり、初詣よりも人が少ないので気持ちよく参拝できるため、神様や仏様に自分の声を届けやすく、縁起が良いとされています。必ずしも神社仏閣ではなくても、日常から場所を変えて一年間を振り返るのは良さそうです。今年一年で、なにか殻を破ることができたこと、新たに始めたことを振り返り、成果を書き出してみると良いでしょう。初詣のお願いごとをほったらかしにせずに、自分の成長を確認できたら、新たな年を気持ちよく迎えられそうです。
自己完結の積み上げ
冬の季節は、春の新しい年度に備える時期です。年が明ければ、高校や大学などの入学試験も本格化していきます。なにかと慌しく、周りと比較して、自分だけ取り残されるような焦る気持ちにもなりやすいときです。いまの自分に必要な準備へと気持ちを切り替えることも大切です。
やってみてうまくいくかどうかは自分にはどうしようもない要因が絡んできます。だけど、やるかやらないかは自分の判断。勝算のある決断よりも、自分に恥ずかしくない決断に注力したいもの。もし納得のいかない結果が待っていたとしても、その結果にとらわれるのではなく、その先を見据えていくことも必要でしょう。失敗は「敗け」を「失う」と書くように、失敗を受け入れた先には前進しかないのです。
大切なことは、自己完結できること。他人との比較ではなく、すべては自分。たとえば「合格したか」よりも、「合格に向けてがんばれたか」。「合格する」では自分だけではない要因が絡みますから、「合格に向けて努力する」と目標設定しておくと自己完結できます。さらに「努力」を「この参考書を1冊終わらせる」など具体化し、「今月中に1回やり遂げる」、「今日はこのページまで進む」と細分化していく。着実にやり終えていく成功体験を積み重ねていくのです。
目標というと「やりたいことがあるからがんばる」というように大きく設定しがち。だけど、やりたいことを探すのではなく、いまやっていることが中途半端になっていないか見直してみることも、やりたいことが見つかる近道になることもあります。自分が納得のいく自分の姿を描き、そこに一歩ずつ近づいていくことが大切なのです。
邪魔をしない
禅の言葉に「無心帰大道」とあります。無心とは空白状態ではなく、あれこれ選り好みや計らいの気持ちをなくすこと。大道とは悟りで、やり続けていけば道は開けてくるということです。余計なことを考えるのは、たどり着く邪魔になるのです。先入観や思い込みの殻を破って、自分が本当にありたい姿を描き、その姿に立ち返ること。そうすることで、おこないが正しい真理に一致していくという教えです。
他人と比較しない、人のせいにもしない。自分で責任を持ち、自分の人生を生きたいものです。