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カンボジア地雷除去支援

江角泰 (えずみ たい)

NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア事業担当者。
大学時代に、NGO地雷ゼロ宮崎のメンバーとして参加した「テラ・ルネッサンスのカンボジア・スタディツアー」が、テラルネッサンスとの出会い。
現在は、カンボジアにおける地雷問題に取り組む他、弊社が進めるラオス支援活動も担当中。

【Vol.55】地雷原から議場へ、議場から一般市民へ ~対人地雷禁止条約第11回締約国会議から3

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前号からの続きで、2011年11月28日からカンボジアの首都プノンペンで開催された、対人地雷全面禁止条約(通称…オタワ条約)の第11回締約国会議の様子を、報告いたします。今回は、会議3日目、11月30日です。

この日は、前日の続きで、地雷除去に関するセッション。オタワ条約の第5条には、「締約国は、自国の管轄又は管理の下にある地雷敷設地域におけるすべての対人地雷につき、この条約が自国について効力を生じた後できる限り速やかに、〝遅くとも10年以内に〟廃棄し、又はその廃棄を確保することを約束する。」とあります。この〝10年以内に〟という期限をすでに守ることが不可能で、地雷除去期限の延長をした14カ国、モザンビーク、ベネズエラ、イエメン、セネガル、ペルー、エクアドル、モーリタニア、タイ、クロアチア、英国、アルゼンチン、カンボジア、タジキスタン、コロンビアが、地雷除去活動の進捗状況を報告しました。

モザンビークは、ジンバブエとの国境にある地雷原の除去に関して、ジンバブエと協力して除去する必要があると発言。タイも、NGOや近隣諸国との協力を強化していく戦略に改訂していることを表明しました。例として、これまでの経験を共有するために、カンボジアへの訪問をすることなども挙げていました。地雷は、国境沿いに埋められることが多いため、自国の都合だけで除去していくことが難しい場合もあります。当然、隣の国との関係が良くないと協力なんてできません。カンボジアとタイの関係は、最近世界遺産に登録されたプレア・ヴィヒア遺跡をめぐる国境紛争で、悪いイメージがありますが、地雷に関してはどちらもオタワ条約の締約国で、協力していくことができるのかなと思いました。カンボジアとタイとの国境の村で村落開発をしていると、国境の紛争はどちらの地元住民も望んでいないし、得にはならないことだと感じます。一方で、クラスター爆弾禁止条約に関しては、両国はまだ批准していません。

さて、この日発言する14カ国の中に、英国が含まれていました。実は、アルゼンチンとの領土紛争であるフォークランド紛争(※1)のときの、フォークランド諸島に地雷原が残されたままなのです。英国の発言によると、フォークランド諸島での除去プロジェクトの第2段階は、2012年1月から3月にかけて実行されることになっており、フォークランド諸島の地雷埋設地域はすでに示され、コミュニティにあたえる影響は低く、また地理的、天候的に除去するコストが高いとのこと。そして、〝人的な影響〟がある除去に、引き続き焦点を当てることを主張しました。この発言に対して反応したのがアルゼンチン。フォークランド(マルビナス)諸島のアルゼンチンの主権を主張しました。地雷廃絶国際キャンペーン (ICBL※2)は、コメントのなかで、残されている地雷が人へどれだけの影響があるか(〝人的な影響〟)とは関係なく、英国は10年以内のすべての除去の完了を約束したこと、英国が2010年6月までに詳細な除去計画を提出することに同意したことを思い出させ、締約国は義務を果たさなければならないと英国の発表を非難しました。またICBLは、2年連続してフォークランド諸島で除去が全く実施されていないこと、全体で7キロ平方メートルにおよぶ110の地雷汚染地域を完全に除去するために、英国には除去期限までに7年も残されていないことに言及しました。

この他のICBLのコメントは、ナイジェリアの除去義務完了の公式発表への感謝、また除去期限の延長をした22カ国のなかで、1カ国しか除去が完了しておらず、14カ国が除去期限を達成できない可能性があることへの懸念、ボスニア・ヘルツェゴビナが会議に参加もせず、除去の進捗状況を報告しないことを残念に思うというものでした。その後、22カ国中の14カ国の1つとして非難されたエクアドルからICBLの発言の訂正があり、「除去は順調に進んでいて、今年の末までに終わります」とのグッドニュースもありました。

カンボジアの地雷除去に関していえば、ここ数年の地雷除去は、撤去方法の効率化などによって、1年で撤去できる面積自体は拡大しています。しかし、資金的な支援はどんどん減っているので、2020年の除去期限までにこのままでは間に合わない危惧が、地雷撤去団体にあります。世界的な経済危機に加えて、地雷問題への関心もかつてほど大きくなくなっており、皆さんの地雷問題への関心が継続して必要になっています。。

※1:アルゼンチン沖500キロの大西洋上のフォークランド諸島(スペイン語名/アルゼンチン名…マルビナス諸島)の領有を巡り、イギリスとアルゼンチン間で1982年に行われた紛争。

※2:地雷廃絶国際キャンペーン(ICBL=International Campaign to Ban)は、対人地雷を廃絶するための、非政府組織(NGO)による国際的なネットワーク。対人地雷全面禁止条約締結のための運動が評価され、ICBLは97年度ノーベル平和賞受賞。

江角泰(えずみ たい)

江角泰(えずみ たい)氏
NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア事業担当者。
大学時代に、NGO地雷ゼロ宮崎のメンバーとして参加した「テラ・ルネッサンスのカンボジア・スタディツアー」が、テラルネッサンスとの出会い。
現在は、カンボジアにおける地雷問題に取り組む他、弊社が進めるラオス支援活動も担当中。
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- カンボジア地雷除去支援 - 2012年4月発刊 Vol.55

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