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生産者さん紹介

プレマの商品を作ってくださっている生産者さんたちを紹介。 その魅力に迫ります

丁寧に作って自然に還す 未来のために布ができること
益久染織研究所 代表取締役社長 吉井 委代 氏

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自然栽培100%の綿花を、人の手で1本1本紡いだ糸を素材にした製品を生み出してきた益久染織研究所。高度経済成長期の大量生産の時代に、あえて手紡ぎ、天然染色のモノづくりを始めました。優しい手触りの布からは、未来に残したい、自然を敬う暮らしが見えてきました。

幼少期は父の故・廣田益久氏が持ち帰る布の見本帳で遊ぶのが好きだったという吉井氏。テキスタイルが専門で、自身も染めと織りをこよなく愛する

私たちの歩みは、創業者である父の廣田益久の歩みそのものといえます。父は、昭和3年に兵庫県西脇市で機屋の次男として生まれ、その後、大阪で独立し紡績業を始めました。当時は70年代の高度経済成長期。天然繊維に代わり化学繊維が台頭してきた時代です。父は忙しく全国を飛び回り、商売は順調でしたが、昭和49年に取引先の倒産により、すべてを失ってしまいます。思い悩んだ末に、自宅で手紡ぎと手織りと天然染色の教室「手織りひろた教室」を始めました。

父はその少し前から、出張先の工場で天然染料の色に魅せられ、仕事の合間に少しずつ技術を学んでいました。また当時から環境問題に関心があったので、それまでの自分の商売は、化石燃料を原料とする糸の販売だったことに対する反省もあったのでしょう。その後は自然の声を聞いて世の中に役立ちたいと考え、これまでとは真逆の道を選んだのです。

同じ頃、日本古代の色彩を研究する前田雨城先生との出会いがありました。先生から学んだのは、「自然」という二文字。水や空気など自然界の力があり、植物の命を頂いて、その色が現れるということ。ものを売る世界から、ものを創る喜びを教える世界へと転向したことが、今のものづくりに発展したのです。私も、美大を出て繊維商社に勤めた後に家業に加わりました。

教室が10年続いた頃、中国の開放政策の一環で、父は中国の農村へ綿製品の輸出をする指導のために招かれました。その農村の綿畑では、過去に一度も農薬や化学肥料が使われたことがなく、綿を手摘みし、昔ながらの手紡ぎで糸を作っていました。土を手に取るとほっこりして、本当に美味しそうなぐらい。農薬を使わないから、土が元気なんです。ただ、彼らは布が続けて織れていれば、途中の色が違っても穴があっても問題ないという感覚。土の上に糸を置かないとか、機械を掃除するとか、そういうところからの指導でした。感覚的な違いを理解しあうのに時間を要しましたが、父は根気強く伝え続けました。

1991年には、中国の商社と現地法人と共に合弁会社を設立。しかし、日本からのオーダーが入り始めてからも試行錯誤は続きました。品質が追い付かず、取引先からのクレームもありました。難しかったのは、本来、手紡ぎの糸は手織り機でゆっくり織るような糸なので、動力織機で織ると強度が足りず、切れやすいこと。何年もかかりましたが、彼らが切れた箇所を補修する方法を習得してくれました。糸を紡ぐおばあちゃんたちもどんどん技術を磨いて糸の強度が増し、9割以上をA品で出せるようになったのが2010年頃。気づけば、手紡ぎの世界ではどこにも負けないレベルに達していたのです。

しかし2018年から高齢化などの問題で、現在は手紡ぎの代わりにガラ紡という機械を使っています。ガラ紡は明治期に日本人が発明した唯一の和式紡績機で、手紡ぎとほぼ同じ性質の糸を生産することができます。天然染色の原料は、中国の関連工場で作られる植物100%の粉を使っており、色のバリエーションが豊かです。このように、私たちは綿の栽培から最終製品まで現地での一貫生産をおこなっています。繊維産業では分業が当たり前なので、稀有なことです。

お客さまが仰ってくださるのは、私たちの布製品は肌に触れるとホッとするということ。手紡ぎやガラ紡の糸には、作り手の手の温もりや綿本来の良さがそのまま紡がれています。人には、身体に優しいものを見分ける力があるのだと思います。私たちの製品は、出来上がった時はまだ七分目。経年変化によって少しずつ使い心地が良くなっていきます。最初は高価に思われるかもしれませんが、大切に使っていただくと長持ちします。土から生まれ、最後は土に還ります。

父は、中国でも日本でも環境汚染の問題を語り続けてきました。衣類が環境や自身の健康に及ぼす影響は、なかなか意識しづらいことだと思います。私自身、本当に気づいたのは育児を始めてから。水も、肌も、少しでも綺麗になるならと石けんや洗剤を使うのをやめました。口から入るものだけでなく、本当は肌、つまり経皮から入るものも身体に害のないものが安心です。いきなり変えるのは難しいけれど、少しでも軽減することをお伝えしていけたらと思っています。目に見えないところで影響を受けているのが布製品。私たちは日常に使うものこそ良いものを、との思いをこめて、暮らしの様々な場面で使っていただけるものを作っています。気持ちのいいものに触れていると、一日気分がいいですよね。お客さまのなかには寝具やカーテンを変えてから体調が改善されたという方もいらっしゃいます。

父は先を見る目を持ち、言葉だけではなく常に行動する人でした。父が授けてくれた価値あるものを大切に、これからも私たちのもの作りを続けていきます。

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丁寧に作って自然に還す 未来のために布ができること益久染織研究所 代表取締役社長 吉井 委代 氏

- 生産者さん紹介 - 2021年12月発刊 vol.171

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