臓器の機能は心や感情に左右される
昨年8月からこのコラムを書かせていただき約1年経ちました。いろいろな感想をお持ちの方がおられると思いますが、人それぞれに思いは違うものです。そこがこの世の面白いことだと思います。千差万別といわれるほどに、衣食住の好みは異なります。住んでいる場所の気候によって採れるものも違いますので、違いがあることは不思議ではないと思います。食養生も、その方によって違って良いと思います。絶対というものはないのです。
西洋医学の父であるヒポクラテスは、健康には「食」が大切であることを最初から説いていましたが、実際、病気の方を診察して、その通りであると、実感しています。それだけではなく、「心」「感情」にも、体の臓器の機能がかなり左右されることもわかってきています。心と体は一体であるということです。
私は一環して「予防医学の大切さ」について述べてきていますが、日本では、まだまだ浸透していないのが現状です。現代医学に欠けているところは、病気を全体から診るという視点。部分的に診て、そこだけを治そうとするところに無理があるのです。医師は熱が出たら熱だけを下げる解熱剤を処方しますし、患者さんも胃が痛ければ胃薬を買って飲みます。根本の原因を解決せずに、病気を治そうとするところに無理があります。
薬は安易に飲んではいけない
発熱することには意味があります。体が免疫を上げようとして体温を上げているので、むやみに解熱すると大変なことになることもあります。また、漢方などは「証」をちゃんと診て、全体像で合うものを処方してもらうと、よく効きますが、誤って違う「証」を処方すると、かえって火に油を注ぐことになります。例えば、風邪を引いて漢方が効いたからといって、自分が処方された漢方薬を、知人に薦める方がいらっしゃいますが、これは大変危険です。たまたま「証」が同じなら効くこともありますが、不調の原因は人によって異なりますので、個人の判断で薬を選んだり勧めたりすることは絶対にやめましょう。
現在、不眠で悩んでいる方が多くいらっしゃいます。内科、外科、整形外科、精神科などいろいろな科から、睡眠薬や精神安定剤を処方され、その副作用で苦しんでおられる方もたくさんおられます。習慣になって飲まないと眠れなくなり、パニックに陥る方もおられます。眠りはとても重要です。むやみに薬に走らず、別の方法を知ることも大切です。たとえばハーブティーや、音楽、アロマオイルなど、自然のものでまずトライしてから、それでもどうしても眠れないときに睡眠薬や精神安定剤を考えるようにしないと、薬依存症になり、そこから抜け出せなくなっている若い人が増加しているのも事実です。
携帯電話、パソコンや電化製品が周りにあふれ、脳が過剰刺激を起こしているために、リラックスできなくなっていることも原因の一つです。ときには自然の中で土の上で裸足になってみましょう。海の砂浜の波打ち際で裸足になって歩いてみたり、土いじりをしたりすることで、体内のたまった磁気や静電気を取り去りすっきりした眠りをもたらすことにも繋がります。ぜひ一度、試してみてください。
自然の恵みの中に素晴らしい良薬が見つかるものです。人間はもっと自然に還って自然とともに生きていく生き方をしていかないと、精神がドンドン参っていってしまうのではと心配になります。
そろそろ、地球はいろいろな転換期を迎える時期にきています。おのおのが、本当にこのまま進んでいいのか、地球や宇宙全体にとってなにがいいのかを考えて行動したいものです。私も一人の人間として、宇宙の一員として、できることを精いっぱいできるよう、日々研鑽していきたいと思っています。
このコラムは今回で終了です。長い間読んでいただいた読者の皆様に感謝と健康を祈りつつ、ペンを置きたいと思います。1年間、本当にありがとうござい
ました。感謝を込めて。
クリニック真健庵 院長
医師 吉村 尚美(よしむら なおみ)
全人的医療を目指した自由診療のみのクリニックを開業。食事療法をはじめとし、腸内洗浄や遺伝子治療などの最先端医療を行っている。放射線科専門医、アンチエイジング専門医、サプリメントアドバイザー、メディカルアロマテラピストなど幅広い資格を取得。著書に『「平熱37°C」で病気知らずの体をつくる』など。
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