オリーブオイルと日本人

日本人の私にとって無に等しい経験値であった新しい食材、オリーブオイル。「その素晴らしさを他の日本人に伝えたい」を胸に、2000年にオリーブオイル・オルチョサンニータの輸入を開始しました。
しかし、その熱い想いとは裏腹に現実に直面しました。自分もそうであったようにオリーブオイルというものを全く知らない人に対して販売をしなければならないことを思い知らされます。
オルチョサンニータは、南イタリアのベネヴェントで作られる上質のオリーブオイルです。和の食材と併せてもおいしく、日本人の舌に馴染みやすいと自信をもって選んだものです。数えきれない生産者をめぐり、まさに自分の足と目と舌で選んだものです。どこに出しても恥ずかしくないオリーブオイルとして自信満々でした。しかし、そこを熱く語っても伝わらず、ましてや「おいしい」などとはまったく想像できないようで、みなさん戸惑われるわけです。 （1）オーガニックであること（2）混ぜ物だらけのオリーブオイルが多いなかジョバンナさん一家が作る貴重な一軒ものであることの2点をアピールして販売しましたが、いまひとつわかりにくく、また本物が決して安くないことへの理解も薄く、オリーブオイルの必要性も感じられていない方がほとんどでした。

オリーブオイル使い方講習

その壁を超えるきっかけになったのは、友人の素朴な一言でした。『オリーブオイル、どう使ったらおいしいって思えるの？
使い方を教えてよ。うちの台所でやって見せてよ』。
私が感動したイタリア人が普段食べている家庭料理は、オリーブオイル無しでは成り立ちません。シンプルなあの料理を作り方を見て味わってもらえば理解してもらえるかもしれない……。おいしいと言ってもらえる自信はありませんでしたが、友人と他３人を囲み、野菜を中心に塩とオリーブオイル・オルチョサンニータのみで、シンプルに料理をしたところ想像以上に喜んでもらえ、全員がおいしさを理解し購入までしてくれました。
それを機に、全国の人に向け実際に見てもらえないだろうか、とインターネットの力も借りて「オリーブオイル使い方講習をやります、全国どこにでも行きます」と発信。それが私のメインの仕事となっていきます。

だれでも簡単に今すぐ！

ほとんどの人が良さを全く知らないモノクロの世界の素材だったオリーブオイル。その使い方とおいしさを知れば、オイルの色のごとく黄金でピカピカに輝く価値が理解でき、料理観が変わる……といってもいいほど素晴らしい素材です。
知ることは、まず実践。すぐチャレンジできるレシピをご紹介しましょう。

【ブルスケッタ】

（1）お好みのパン（カンパーニュやバケット）を厚めにスライスしたものを軽くトーストします。

（2）半分にカットしたにんにくの断面をパンの片面に軽くこすりつけ、オリーブオイルをたっぷりかけていただきます。

【ミニトマトのブルスケッタ】

（1）ミニトマトは小さめのキューブに切り多めのオリーブオイルと少々の塩（あればバジルの葉やドライオレガノ）を加えて冷蔵庫で冷やします。

（2）充分にトマトの汁が出てきたらよくかき混ぜ、トーストしてにんにくをこすりつけたパンに乗せていただきます。
だれでも簡単にオリーブオイルの美味しさを味わっていただけるレシピです。
食用油をおいしいと表現することは、あまりないと思います。オリーブオイルは他の食用油と一線を画す「おいしい」を実感できる食用油なのです。