「糖質制限ダイエット」という言葉を耳にされたことがあると思います。炭水化物の多くは植物性食品に存在するため、糖質制限ダイエットではおのずと肉食過多になります。
糖質と炭水化物を混同して使われる場合も多いのですが、ヒトの消化酵素で消化される「糖質」と消化されない「食物繊維」を合わせたものを「炭水化物」と呼びます。
「太る炭水化物」には、パン、白い砂糖、白米、うどん、粉モノなどが挙げられます。これらはプラントベースですが「ホールフード」ではありません。「太らない炭水化物」は、水分や食物繊維、ビタミン、ミネラルを豊富に含む果物、野菜、そして精製加工されていない全粒穀物、豆類などの「プラントベースホールフード」の食品です。「糖質制限ダイエット」ではそれらの区別を曖昧にして「糖質」と分類している傾向があります。
たくさん食べて痩せて健康になる
さて本稿は「カロリー密度」についてのお話です。カロリー密度とは食品単位重量当たりのカロリー、つまり食品に含まれる重量当たりのカロリーのことです。ものによって40倍以上の開きがあり、太る食べ物か痩せる食べ物かが簡単かつ正確にわかる方法です。
減量のために食べる量を減らす辛いダイエットをして挫折した経験はないでしょうか? カロリー密度が低い食べ物ならお腹いっぱい食べても太ることはありません。「カロリー密度」は、食べたいだけ食べて体重を減らし、さらに健康で長生きする食の考え方です。
野菜でお腹をいっぱいにした場合とクッキーでお腹をいっぱいにした場合の摂取カロリーを比べてみましょう。日本人の平均的な食事重量は1回約800グラム、1日約24000グラムといわれています。仮にこの重量を野菜だけで満たした場合、摂取カロリーは528キロカロリーですが、クッキーでお腹を満たした場合、12240キロカロリーになります。カロリー密度の低い食品は水分と食物繊維を豊富に含み、カサが高いのに比べて、カロリー密度の高い食品は脂肪と糖分が多くなります。カロリー密度の低い食品を選んで食べることで摂取カロリーを抑えて満足感を得やすくなるのです。
カロリー密度ダイエット
カロリー密度の考えを減量目的で適用する際の要点をまとめます。
1.空腹感と満腹感をしっかり意識しましょう。お腹が空いたときだけ食べ、食べるときはちょうど良くお腹が満たされるだけ食べます。苦しくなるまで食べることがないようにします。
2.食べる順番を工夫します。サラダ、スープ、果物を先に食べることで、カロリー密度が低い食品である程度お腹が満たされるので、後に食べるカロリー密度の高い食べ物の量が減らせます。
3.清涼飲料水やアルコールは控えましょう。液体は同じカロリーの固体の食品に比べてお腹を満たしてくれません。
4.葉物野菜などでんぷん質が少ない野菜はカロリー密度がもっとも低いので、料理に葉物野菜をたくさん添えればカロリー密度は低くなります。お皿の半分をでんぷん質の少ない野菜や果物で満たし、半分はでんぷん質の多い野菜と精製されていない穀物や豆などを極力油を使わずに調理した料理で満たせば全体のカロリー密度は低くなります。
5.プラントベースホールフードであっても、減量中はカロリー密度が高いドライフルーツ、脂肪分の多い植物性食材(ナッツ、種子類、アボカド)、全粒穀物加工品の一部(ベーグル、クラッカー、シリアル、トルティーヤ、ポン菓子、ポップコーン)は控えます。
カロリー密度は難しく考える必要はありませんが、減量が目的の場合は少しの注意が必要です。減量ができても健康を害しては意味がありません。健康で長生きできるダイエットこそ価値があると思います。