質問: 年末年始、親戚が集まったり、忘新年会などがあったりして、普段は節制しているつもりなのですが、この時期だけはどうしても暴飲暴食になってしまいます。自分にダメだと言い聞かせるのですが…中川さんはどうやってコントロールされていますか? 東京都 ワイさま |
答え: このご質問に回答することは、回答するわたしがわたし自身に言い聞かせることのようですね(^_^;)でも、年末年始の暴飲暴食に限らず、普段から「どうしても食べもののコントロールができない」と悩んでおられる方が多いのも知っていますので、そういった方にも参考になるようにお答えしたいと思います。 ●「ダメ」は人をもっともダメな方向にモティベートする こんなテストの結果もあります。子ども2人を留守宅に残し、「棚においしいお菓子が入っているけれど、絶対食べたらダメよ」といって親は出かけてしまいます。数時間後、親が帰ってお菓子の数をチェックすると、実に8~9割の確率で、お菓子は減っているのだそうです! わたしたちのお客様の場合、お子さまがアレルギーなどの理由で、砂糖や乳製品たっぷりのお菓子などを「身体に悪いから絶対ダメ」といって制限をされている方が多いのです。しかし、そういうご家庭でもおじいちゃん、おばあちゃんが「かわいそうだから」ということで市販の甘いお菓子をあげて、親御さんは憤慨されてそのことをわたしにお話しされますが、お子さんはおじいちゃん、おばあちゃんが大好きになります。孫に甘いから好かれているというよりも、親が禁止していることを許してくれるから、よりいっそう強く禁止する親を疎ましく思うのです。 実例をみればみるほど、私たちの脳は「ダメ」といわれた内容そのものに強いフォーカスを与え、頭の中はダメなことでいっぱいになるようにできていると考えざるを得ません。よって、「ダメ」だと定義づけることが、ダメなことを助長するということを知っておいて損はないと思います。 ではその代わりにどうすればよいのでしょうか。ひとつは『適度に痩せていて、ツヤツヤしている自分』を頭の中で強くイメージします。太っていて不健康な自分をイメージして戒める方法は、「ダメ」と同じ暗示になり、ますます節度なく食べてしまい、太ったり、体脂肪が増えすぎたり、不健康になります。もう一つは、『食べ過ぎた時に損するできごとを、できるだけたくさんリストアップしておき、それを時々見直す』ことです。具体的にどういう側面でどんなことを失い、辛い気持ちになるだろうかと、できるだけ多く想像し、記録し、それを再確認することは非常に力強いメソッドといえます。 ●人のせいにしない 知識は、人を豊かに幸せに、そして自由にするために存在するはずです。少なくともわたしはそのように考えているのですが、知識を得ることで不幸になる考え方…つまり、酷い食べものを売る商売人や世の中のせいにしてしまったり、薬を大量に投与した医師を恨んだりしてしまう人がいます。つまり、「自分以外の誰かが、わたしを取りまく環境を悪くしているからだ」という気持ちが湧いてくることによって、『不幸感の自動運転』を開始してしまうのです。 確かに、我が国の食や医療にまつわる制度や考え方が遅れていることは間違いありません。とはいえ、そのことを解決したら自分が健康になるという前提条件にしたとしても、自らが救われることはありません。アメリカでは、「自分が肥満になったのは、マクドナルドのせいだ」ということで、提訴している人がいるそうです。仮にマクドナルドが敗訴したら、その人は肥満状態から脱出し、健康を手に入れ、素晴らしい人生を謳歌できるのでしょうか。もし、その人が敗訴したら……考えるだけでも、心が苦しくなります。 ワイさま、そして「食べ物のコントロールができない」とおっしゃる方にとって、何らかのヒントになりましたでしょうか。引き続き次号では、暴飲・暴食をしてしまった場合のリセット方法について、お話をしたいと思います。 |