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石塚 とも (いしづか とも)

東京都生まれ、慶応大学文学部卒。大手出版社勤務を経てフリーに。2001年、品田雄吉賞を受賞し、映画評論家として活動開始。
2006年、ローフードを推奨する健康法「ナチュラル・ハイジーン」と出会い、体重10キロ減を初めとしてさまざまな心身の変革を体験。ローフードが持つ科学的、社会的、人文学的な魅力に魅せられ、研究を重ねる。書籍、講演、ブログを通じて、ローな自分と世界に起こるさまざまな変化を発信し続ける。
著書に『ローフード 私をキレイにした不思議な食べもの』など。

【Vol.29】もう持っておけないもの

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今だから話せることなのだが、10月から11月にかけて、本当に腰が痛かった。ローフードな生活になってからこんな痛みは一度も出たことがない(ローになる前はしょっちゅう出ていた。恐ろしいことだが)。肉体的にもつらいけれど、心にダメージを与えるような痛みなのだ。朝、目覚めた瞬間からちりりと痛みが走り、寝るまで続く。かがむのが面倒くさいとので、掃除が苦手になり、髪を洗ったり、身なりをこぎれいに保っておくのも後回しになる。垢は自尊心を下げる……。

 「石ともさん、お疲れのようですよ」。あちこちからそういわれるようになっていた。適当にごまかしていたが、身体の問題が周囲にばればれになっていることにびびっていた。せっかく築き上げた健康が、内側から壊れていく……。そんな不安にひとり怯えていた。

 さて、そのころ、私はもう一つ、手を打たなければいけない問題に気づいていた。

 本にも書いたし講演でもしゃべっていることだけれど、私がロー・ベジタリアンの生活を始めたのは、「きれいになった」とある男性からいわれたかった、という、超個人的な動機がきっかけである。「愛されるためなら何でもする」というなりふりかまわぬ気持ちと、「でも、本当に自分が健康で幸せと思えるライフスタイルでないといや」という気持ちが、ローフードを引き寄せた。その結果は恐るべきもので、久しぶりに再会した彼が、9キロやせてドレスアップした私を眺めて唖然としたときの顔、「きれいになったね」と何度も繰り返したときの顔は、今も記憶に鮮やかだ。

 しかし、所属する会社の海外移転にともなって日本を離れてしまった彼からは連絡も途絶え、ついに、余計な執着を手放さないといけないときがきたのである。

 何をしたかというと……、水だけ飲んで、寝ていた、三日間。ストレスは内臓にずいぶん負担を与えていたらしかった。こんこんと眠っていたので、断食がつらかったという記憶はない。そして三日目、ふとめざめてベッドから出て、柔軟体操してみたら、寝起きなのに、上体が床にぺたりとついた。そして、腰の痛みも消えていたのである。

 あれは、小さな運命の曲がり角だった。世に過去の恋の痛みを抱えて生きている女性はたくさんいるし、そんな甘酸っぱい生き方もいいと思う。でも、自分の中で、「そんな気持ちをもっていてはいけない」と何かが言い始めた。腐って、いやなにおいを放ち、自分を害するものになっていった。 

 今も本名も知らない人に恋したことが私の身体に起こしたドラマは、他には代えがたいものだった。でもそれは一つの役目を終え、もうそこにはとどまれないときがきたのである。映画『タイタニック』のラストで、「私は自分の人生を生きる」と決意したローズが、冷たい海の中で力尽きてしまったジャックの手を静かに振りほどいて、救命ボートに向かって泳ぎ出したように。


石塚 とも

石塚 とも氏
東京都生まれ、慶応大学文学部卒。大手出版社勤務を経てフリーに。2001年、品田雄吉賞を受賞し、映画評論家として活動開始。
2006年、ローフードを推奨する健康法「ナチュラル・ハイジーン」と出会い、体重10キロ減を初めとしてさまざまな心身の変革を体験。ローフードが持つ科学的、社会的、人文学的な魅力に魅せられ、研究を重ねる。書籍、講演、ブログを通じて、ローな自分と世界に起こるさまざまな変化を発信し続ける。
著書に『ローフード 私をキレイにした不思議な食べもの』など。

- とにかく、毎日お片付け。 - 2010年1月発刊 Vol.29

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