最近、腸の健康が身体の健康につながるという話を聞き、腸活をしようと思います。具体的にはなにをすればいいのでしょうか?(おなかがゆるくなりがちな50代主婦)
A.食事に気をつけて舌を潤せば、腸が整う
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
地球ができて生命が生まれ、生き物はさまざまな形に進化してきました。人間や動物、ミミズや昆虫など、見た目は違っても共通しているのは、腸を持っていることです。食べ物が口から入り、胃や腸を通ってお尻から出るように、体は1本の管のようなものだといえます。しかし、食べ物を口にするだけではダメで、食べ物が腸を通って初めて、栄養素として吸収され細胞を作るエネルギーや材料になります。人間はこの腸の働きによって、神経ができたり、脳が発達したりして進化してきました。
腸の働きを担っているのが腸内細菌、つまり微生物です。腸内を顕微鏡で見ると、まるでお花畑のように見えるので腸内細菌叢を「腸内フローラ」と呼び、それがとてもきれいな状態が健全な腸内環境といわれています。体の細胞の数が60兆個に対し、腸内細菌の数は200兆個といわれていますから、細胞よりも腸内細菌のほうが数が多く、体内に微生物がいないと健康は成り立たないといえるでしょう。
腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類のバランスが重要といわれています。善玉菌は人にとってメリットがあり、悪玉菌は人にとってメリットがなく、日和見菌はどちらでもないというもの。それらの適切なバランスは「善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割」だといわれていて、そのバランスを保つことが「腸内環境を整えること」になるのです。
では、どうすればバランスを保てるのかというと、腸内環境を整える薬はないので、結局は食事です。いかに悪玉菌を増やさずに善玉菌が喜ぶようなものを摂るのかが重要です。善玉菌が一番喜ぶのは水溶性の食物繊維です。昔は、食物繊維は栄養にならず摂るだけ無駄だといわれてきましたが、栄養学の進歩により、今では腸内細菌にとってベストだといわれています。食物繊維には不溶性のものもあり、摂取すると便の代謝がよくなるので、便秘や下痢の方は水溶性と不溶性の2種の食物繊維をバランスよく摂るとよいでしょう。
さらに腸内細菌は菌ですから、菌の仲間が好きです。麹菌、酵母菌を使った味噌や醤油、乳酸菌が含まれる漬物、納豆などの発酵食品を積極的に摂り、悪玉菌が好む動物性の食べ物や食品添加物、農薬が残留した食べ物などを控えるようにすると、自然と腸内環境が整うでしょう。
ただし食事に気をつけたからといってすぐに腸内環境が整うわけではなく、時間がかかります。そんなときには腸内環境を整えるサプリメントを活用するのもよいですが、簡単にできる最高の腸活をご紹介します。腸活の「活」という字は「さんずい」に「舌」と書きます。さんずいは水を表しているので、舌を水で潤しておく、つまりよく噛むということ。腸内細菌と同じように口の中にも微生物がたくさんいて、口内の唾液や酵素とともに健康に役立っています。よく噛むと唾液が出る、舌が潤う、それを飲み込むことで腸内の微生物が喜んでくれます。
いま増えている脳の病気やうつ病、アレルギー、ガンなども、腸内環境が整うと改善に向かうことがわかっています。だから、現代人にとって腸活を考えることは大切です。誰でも簡単にできる「よく噛むこと」。だまされたと思って、ぜひやってみてください。