「女性は冷えやすい」といわれているので、なるべく身体を温めるようにしています。食べ物には身体を冷やす陰性のものと身体を温める陽性のものがあると聞いたことがありますが、やはり陰性の食べ物はあまり食べないほうがいいのでしょうか。(京都市・お肉とワインが好きな主婦)
A.体質に合った陰陽食でバランスをとって
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
陰性、陽性という言葉を聞いたとき、どちらがいいイメージがあるでしょうか。今ならコロナに感染した人は陽性というので、あまりいいイメージがないですよね。しかし陽性は「元気ハツラツ」といったイメージもあります。このような言葉のイメージもあってよく勘違いされますが、陰性と陽性はあくまで性質のことであって、どちらがいいということはありません。そして、食品の陰性と陽性とは、いうなれば目に見えないエネルギーを判断するためのひとつのものさしです。
食品の陰性と陽性を簡単にいうと、陰性のものは「冷やす」、陽性のものは「温める」です。エネルギーのベクトルとしては、陰性のものは遠心性を持ち、広がる、ゆるむ、上昇する。逆に陽性のものには求心性があり、収縮する、固まる、下降する。単純にこれだけ覚えておくと、食べ物を見たときに陰性か陽性かということはわかります。
豆でいうと、大豆と小豆を比べると読んで字のとおり大豆のほうが陰性です。大豆ににがりを加えて豆腐をつくりますが、にがりは陽性で大豆が陰性だからバランスよくマッチします。小豆の場合は、砂糖を入れてあんこにしますが、小豆は陽性だから陰性の砂糖と相性がいい。このように昔の人はなにかを研究したわけでなく、生活習慣のなかで陰性と陽性のバランスをとってきました。また、日本の場合は春夏秋冬の季節がありますから、いわゆる旬のものを食べるようにすると自然と陰陽のバランスがとれます。夏は暑い時期によく育つきゅうりなどの陰性のものを食べることでほどよく体を冷やし、冬は寒い時期によく育つ根菜などの陽性のもので体を温めるということですね。
しかしここで重要なのは、法則のように万人にとって陰性、陽性が決まっているわけではないということ。食品の陰陽は相対性、つまり「比べてみれば」ということです。人の場合、男と女がいます。人という本質は同じで、生理的な違いで男が陽性、女が陰性といいますが、男性でも陰性の方がいたり、女性でも陽性の方がいたりします。性別の話だけでなく、10人のうち9人が陽性でも自分は陰性かもしれませんから、一般論で聞いてもまったく意味がありません。日々の実践のなかで自分自身の性質を知り、自分にとってなにがいいのかを自問自答する、感じ取ることが一番大切です。
そうはいっても、自分が陰性か陽性かわからないという方も多いです。そういう方でなんだか調子が悪いという場合は、陰性でも陽性でもない中庸(マクロビオティックでいうところの「陰陽調和」)のものである穀物や玄米を食べると、陰性、陽性の体質に関係なくバランスがとりやすくなり、さらに、いったんバランスがとれると、自分が陰性か陽性かを比較的体感しやすくなります。
人間というのは中庸にバランスをとろうとするので、普段の食事のなかで自分自身で体感して調節していければいいのですが、体質は変わりますし、生活習慣の乱れなどでどうしても陰性や陽性に傾く場合があります。そういうときは極端な陰性である砂糖やアルコール、極端な陽性である肉、魚、卵などを摂りすぎている可能性もあるので、それらを減らすように意識すると中庸に戻すことができます。このように普段から自分の体調を整えるために、食品の陰性と陽性を少し意識しながら食事を摂るようにするとよいでしょう。