前回は、不安を軽減する方法として、メタ認知と未来を正しく思考する方法を紹介しました。今回紹介するのは、かなりショック療法的ではありますが、効果の高い「最悪の状態をイメージする」という方法です。前回、不安は未来が予測できないことで生じると説明しました。漠然とした未来への不安は、“漠然と”しているからこそ不安が増すので、明確に最悪な状態をイメージすると、不安の正体がわかります。具体的にどんな状況が自分にとって一番嫌だと思うかを考えて、実際にそうなったとイメージをしてみましょう。
自分にとって本当の不安の元を知る
例えば、大きな病気だったらどうしようという不安の場合。「総合病院で検査してもらったら本当に不治の病だった。どうしよう。でも、世の中には実際にそういう人もいる。嫌だけど、そういうこともあるよね。治療にお金がかかるかもしれない。貯金もなくなるかもしれない。嫌だけど、そういうこともあるかもしれない。痛みや苦しみが続くかもしれない。
嫌だけど、そういう人もいるよね。苦しいのに誰もそばに居てくれないかもしれない。想像したくないけど、そんなこともあるかもしれない。誰もいないところで、一人寂しく、苦しんで死んでいくのかなあ。絶対に嫌だけど、そういう状況になる可能性はなくはないよね(ふぅ、書いていて、自分が辛くなってきた……)」実際に自分でしてみたときには、その状況を細部まで超リアルにイメージしてみました。最期はホームレスになって一人寂しく死にました(笑)。
そこで、自分にとっての不安の元は、痛みの恐怖、飢えや貧困の恐怖、孤独の恐怖、死の恐怖なのだとわかりました。最悪、最低のラインがわかると、漠然とした不安はなくなります。そして、この最悪の状態から比べると、今がいかに恵まれた状態なのかがわかります。全てのことに感謝できるようになります。本当に大切にすべきことも見えてきます。不安症状がひどいときは、落ち着いてからおこなったほうがいいかもしれません。少し元氣があるときにチャレンジしてみてください。
一日一度、小さなことでも自分をほめる習慣を
もう一つ、不安を和らげる方法を紹介しましょう。これは、いつもお世話になっている漢方薬局の社長さんが実際にされていた方法を教えていただいたものです。毎晩寝る前に、その日あった出来事を思い出して、自分自身に対して、ほめてあげられることを一つ書くという方法です。普段、なかなか自分をほめるということをする機会がないと思います。
最初は書くことがなくて、時間がかかるかもしれません。そこをぐっとがんばって、どんなことでもいいので一つ書きましょう毎日書いて、自分をほめる回数が増えてくると、自然と自信が持てるようになります。不安感は、自分に自信が持てないときの心理状態なので、自信がつけば、不安感は減っていきます。実際にやって効果を体感してみてくださいね。一つ秘訣をお伝えしましょう。ほめることはどんなことでも良いと書きましたが、できるだけハードル(ほめる基準)が低いほうがいいようです。
例えば、今日寝坊せずに起きられた。嫌々ながらでも学校(会社)に行けた。笑顔が出た。究極は今日生きていた(もし死んでしまったら、誰かを悲しませるかも知れない、今日一日は、その人を悲しませずよかったと考えましょう)。「がんばって、高い目標を達成したときにしか自分をほめられない」というのは、目標が達成できない自分に対して、ダメと言っていることになります。
こんな自分ではダメだ、もっとがんばらないといけない、どうせ自分なんてこんな程度だ、などという言葉を使って自分を評価していれば、自信を持てなくて当たり前ですよね。
自分で自分を「悪い」と裁くのはやめましょう。赤ちゃんが生まれて、最初に笑顔を見せたとき、おすわりができるようになったとき、歩けるようになったとき、周りの大人が喜んでくれたように、今日できたこと、どんな些細なことでも、自分で自分をほめてあげましょう。
統合医療やまのうち小児科・内科医師
山内 昌樹(やまのうち まさき)
小児科医として勤務していたが、西洋医学の素晴らしさを感じつつ心から望む医療と現実のギャップに悩み、軽度のパニック障害を経験。
YHC矢山クリニックで小児科 を担当し、病気の真の原因を学ぶ。
お母さんの自己肯定感を取り戻すことが家族みんなを笑顔にし世界を平和にすると確信している。
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