病気や体調不良などの体の問題や、気分の落ち込みや不安などの心の問題。こうした心身の症状は、緊張が続くと悪化します。緊張すると神経伝達物質のアドレナリンやノルアドレナリンが分泌され、自律神経の交感神経が優位になります。人は恐怖や危険に遭遇すると「闘争・逃走反応」と呼ばれる生理学的反応を起こします。生き延びるために戦うか逃げるか。そのために必要な臓器、心臓や肺や四肢の筋肉への血流が増え、それ以外の臓器や末端への血流が減ります。緊張状態は、それと同じ状態です。慢性的にその状態が持続すると体調は悪化するのです。
緊張の根本の原因は、現状を否定する気持ちです。こんな自分はダメだ!と自分を責める思考はもちろん、よりよくなりたい!というポジティブな気持ちも緊張を生みます。その裏には「現状ではダメだから○○しなくてはいけない」という自己否定の意識が隠れています。そのような思考が慢性的に続けば、体と心に不調をきたします。
「全託の祈り」を実践していて気づいたのですが、意識は「次にどうするか」と未来に向きがちです。「導きたまえ」を唱え続けていると、導かれる先のことを完全に委ねる、という心境になります。あるとき、とても深いリラックス状態になり「次に○○しよう」という意識が一瞬なくなる経験をしました。同時に、未来に意識が向いていることが緊張の原因であり、リラックス状態を妨げていると気づきました。
未来に気持ちが向いているとき、心のなかをよく観察すると、意識のエネルギーが未来と今、どちらにも注がれています。一方、完全に委ねた状態になると、意識が今に100%集中している状態になります。当然、今に集中しているほうがストレスがなく、エネルギーを消耗しません。スポーツ選手が「ゾーンに入った(フロー状態)」と表現することがありますが、その心境に近いものではないかと思います。
今ここに意識を集中することは、この先に進む必要がないことに気づくことでもあります。「今」という瞬間が次々に勝手に現れては消えていっている、ということに気づくことです。常に、今この一瞬一瞬が現れ続けているだけ、という気持ちを定着することができると、緊張する必要がなくなります。緊張がなくなると、交感神経と副交感神経のバランスがよくなり、血流が改善します。アドレナリン、ノルアドレナリンなどの緊張物質が減ると、痛みが減ります。心拍数が安定して、心も安定します。不安や恐怖がなくなり、ほんわかとした安寧がやってきます。体と心が健康になります。
ただ、自我という意識は、常に動いていないと落ち着かないようで、気づいたと思っても、すぐに過去や未来に飛んでいきます。意識を今に繋ぎ止めるために魔法の言葉を作りました。
「今がこれまでたどり着きたかった瞬間です。ここがずっと目指してきた場所です。目の前に広がるこれが私が望んだ状況です。そして今までもこれからもずっとその瞬間が続くだけです」。
自我(脳)にとっては理解できない言葉なので、頭のなかは混乱しますが、この言葉を読むと心と体が緩みます。潜在意識はこの言葉をwelcomと感じています。体の感覚に従うと、この方向性でOKです。自我はどこまでも抵抗しますが、それすらかわいいと思ってあげましょう。健気に自分という存在を守ろうとしてくれているのだと受け入れてあげると、抵抗が減っていきます。この感覚を定着させるために魔法の言葉をギュッと短くしてみました。
「今がゴール、ここがゴール、これがゴール」。
ホ・オポノポノの言葉を組み合わせると「先のことばかり意識していました、ごめんなさい。今をおろそかにしていました、ゆるしてください。今に問題はありません、ありがとう。今にくつろぎます、愛しています」。こちらの言葉も繰り返してみてください。
※1:すべてを大いなるなにかに委ね託している祈り。2022年8月号にて究極の祈りの技法のひとつとして「導きたまえ」を紹介。詳細はバックナンバーをご覧くださいhttps://prema.binchoutan.com/r-natural/kuma/kuma_vol179.html
※2:ハワイにおける、告白による和解と許しの習慣、社会秩序・家族関係を回復するための習慣、病気からの回復法・予防法