今回は年末年始で疲れた胃腸を大事にする話をご紹介します。
日々診療していて、やはり大切なのは「食(and 環境)と心」だと痛感しています。心については、数回にわたって解説してきましたが、一言でまとめると「客観視」ができるかどうかということに集約されるのではないかと思っています。これまでのところをもう一度読み返して、できるだけ心穏やかに過ごせるようになってください(僕も日々修行中です)。
食についてはこれまで、体に汚染を取り込まないようにすることを重視して解説していましたが、今回は食物を受け入れる「腸」について考えてみたいと思います。
動物の本質は腸!?
動物の進化をさかのぼると、原始的な動物の一種にホヤという生き物がいます。ホヤには口に当たる入水口と、肛門に当たる出水口があり、海水を吸い込んでそこに含まれるプランクトンなどを食べて生活しています。人で言うと腸管だけで生きている生き物だと言えます。
動物はホヤの状態から進化して、上手に餌を食べられるように、神経を発達させたり、触手ができたり、移動ができるようになったりしていきましたが、全ては腸管を生き延びさせるため。極論すると、「動物の本体・本質は腸管である…」。言い過ぎかもしれませんが、そういう一面もあるということです。
体を守る腸の働き
また、腸管は免疫の臓器であるということも知っておいていただきたいことです。消化管は、体の内部にあって外界と接する場所でもありますので、常に細菌、ウィルス、カビ、寄生虫に感染する危険にさらされています。そのため、腸管にはリンパ組織がたくさん存在し、外敵から身を守るようにできています。そのことから、腸は人体で最大の免疫器官と言われています。逆に言うと、それだけ腸管からの感染は、体にとって大きな脅威となるということです。
また、腸管の免疫だけが体を守っているのではなく、共生している腸内細菌のバランスが、病原性のある細菌などが増えにくくなるように、防衛してくれています。腸内細菌は、いわゆる善玉菌(乳酸菌、ビフィズス菌、etc. )、中間の菌( バクテロイデス、etc. )、悪玉菌( ウェルシュ菌、etc. ) で構成されています。善玉菌がよく働く環境にしておくと、中間の菌は特に悪さをしないのですが、悪玉菌が増えやすい環境になると、中間の菌は悪玉菌に近い働きをしだし、悪くなる時は一気に悪玉菌が優勢の状態になってしまいます。常に善玉菌をいたわるように気をつけておく必要があります。
腸を大切にする5箇条
腸がいかに重要な役割を果たしているか理解したところで、ここからは実際にどうしたら腸を大切にできるかということを解説していきます。ひとつひとつはとても単純で、なんだそんなことかと思うことばかりですが、それに反することを続けていると必ず痛い目にあうので、きっちり守ってください。
1.食事はゆっくりよく噛んで食べる。 2.冷たいものを飲んだり、食べたりしない。 3.食事中はお茶やお水をたくさん飲まない。 4.食事は楽しんでいただく。 5.農薬、添加物は食べない。 |
それぞれの注意点や意味は次回説明いたします。(つづく)