最近患者さんによく説明するのが「幸せだなぁと言ってみる」というお話です。
以前から何度かこのコラムでお伝えしていることですが、考える事(思考)が自分で作り出すストレスの大きな原因になっています。いいことしか思い浮かばないという場合は、ほとんどストレスにはなりません。でも、多くの方は「あの時あんなこと言われて嫌だったなあ」とか「今度あの人に会うの嫌だなあ」「何で自分ばっかり……」など「嫌だなあ」と思うことを何度も考えています。おそらく「嫌だなあ」と思った時に、頭にアドレナリンが少しでて、体が緊張したり、血流が悪くなったりして、治癒力の邪魔をしているのだろうと思っています。
な~んにも考えなくなればストレスは減るはずなのですが、な~んにも考えないというのが、実はとても難しいのです。時々「何も考えていませんけど」とおっしゃる方がいますが、考えていることがあまりにも当たり前すぎて、自分の思考に気づけないのです。以前紹介した「ありがとうございます」を繰り返し心のなかで唱える方法を試してもらうとすぐに分かりますが、10~20回程度ありがとうございますを繰り返すと、すぐに雑念が湧いてきます。「こんなことやって意味あるの?」「お腹すいたな、今日何食べよう?」「メールの返事まだしていないな」等々。ひどい場合は、ずーっと雑念ばっかりでしばらくたってから「そういえば、ありがとうございますって言うの忘れてた」なんてこともあります。それほど無意識に思考が浮かんでは消えを繰り返しているのです。
これまでは、なんとかして思考が走り過ぎるのに気付いてもらって、思考を減らすことをおすすめしてきました。これは正攻法だと思うのですが、なかなか伝えるのが難しいので、もっと簡単にできるように「幸せだなぁといってみる」方法をおすすめすることが多くなりました。まず、大前提として人は皆、本来「幸せ」であることを知ってください。スピリチュアル系の本などには書かれていることが多いのでご存じの方もいるかもしれません。信じられないと思いますが、どうもそれが本当みたいです。その証拠に「幸せだなぁ」と言ったあとに「そういえば」と続けてみてください。すると「なんだかんだ言っても、食べるご飯もあるし、着る服もあるし、家族もいるし……」このように幸せな理由は挙げようと思えばいくつでも思いつくはずです。ただ「そうはいっても、あれもないし、これも足りないし、あの人が……」とすぐに思考が走って、その幸せ感を消してしまいます。そう、思考が幸せを感じることを邪魔しているのです。
思考は常に問題点を見つけては改善するべきことを見つけてきます。そこには「~を手に入れないと」「~より劣っていてはいけない」「もっと~しなくては」など現状を否定する思いが根底にあります。「幸せ」を感じてしまっては、なんだか損をしてしまいそうな気がするのです。本当は思考をし過ぎることの方が大きく損をしているのですが……。(つづく)
山内昌樹
医師 山内昌樹氏 平成19年まで一般小児科医として診療を行うかたわら、統合医療を志しYHC矢山クリニックで小児科を担当。平成22年12月佐賀市内に『統合医療やまのうち小児科・内科』を開院。 医師となってから、重病の患者さんが劇的な回復をすることや子どもの生命力の素晴らしさなどを経験するも、個人差を考慮しない画一的な治療、ステロイド薬や免疫抑制剤の副作用など、西洋医学の限界を感じる。 漢方薬や代替療法と西洋医学を融合して治療を行うYHC矢山クリニックで小児科を担当、病気の真の原因を学び、実際の診療で効果が見られることを経験。 |
統合医療やまのうち小児科・内科 当院では漢方薬を中心に、代替療法、西洋薬を一人ひとりに最も合うように治療します。乳幼児から御高齢とわず、未病の治療や健康維持から、慢性疾患の治療まで幅広く診療を行っています。 〒849-0915 佐賀県佐賀市兵庫町藤木772-3 電話:0952-33-8500 http://www.yamanouchishounika.jp/pc/ |