昨年3月に生まれて、5月からうちで飼っているネコがいるのですが、実は昨年11月に「殺鼠剤*」か、「殺鼠剤を食べたネズミ」を食べてしまったらしく、薬物中毒の症状で3日入院していて、一時は『一命を取り留められるかどうか……』と言われる状態に陥りました。*簡単に言うと野ネズミ用の殺虫剤で、餌に見立てて毒を盛って、ネズミを死に至らしめるものです。野ネズミがサトウキビを齧る食害を回避する為に、宮古島市ではサトウキビ畑に一斉に袋入りの殺鼠剤が空中散布されます。
前日の晩まで元気に走り回っていたのですが、朝10時ぐらいに布団の上で嘔吐しているのを見つけました。『あれ、おかしいな』と思って抱き上げると、力が出ない様子でぐったり気味。その後、嘔吐を繰り返し、15分も経たない間に、自力で歩けないまでに症状は急変しました。慌てて動物病院に電話をかけて様子を伝えると、『典型的な薬物症状のようです。すぐに連れてきて下さい』といわれ、病院へ急ぎました。道中、声をかけながら体をさすっていましたが、体温が次第に下がっていく様子がわずか15分の道中で感じられるのは、とても心配でした。血液検査など含めて診ていただいた結果、薬物中毒であることが診断され、入院が決まりました。点滴治療も受けましたが、入院初日から翌日にかけては、更に体温が下がり、嘔吐を続け、首を持ち上げることもできない状態になってしまいました。入院3日目になってようやく、面会に行った子供たちと私に対して首を持ち上げてニャアと答えることができるまでに回復しました。入院から4日目にして退院しましたが、家の中を走り回るまでに全快するには1週間以上かかりました。
『回復して本当に良かった』と思う気持ちと同時に、私たちが進める無農薬栽培の意味を改めて実感しました。
(人間の場合は、さまざまな解毒機能なども働くのでしょうが)基本的には被害程度は致死量に対しての毒物量の大小の問題だけであって、薬物自体の毒性がなくなる訳ではありません。特定の動物のみに効くような便利なものでもありません。『毒は毒である』ことを直視させられました。公には『ネズミは死に至らしめるが、ネコやイヌには影響なし』とされていますが、『実際にはそんなことはない、ネコや犬がおかしくなった』という噂は聞いていました。今回お世話になった獣医さんも『(殺鼠剤が空中散布される)この時期、同じ症状のネコが運び込まれ、亡くなるケースは多いです』と仰っていました。実はうちのネコも相当心配な状態だったようで、帰り際に『ネコちゃんの生命力が強くって良かったですね』と言われました。
私たち有機生産者組合の畑には、殺鼠剤が空中散布されないように予め市役所農政課に申請してあり、お陰様で(?)うちのサトウキビは結構ネズミ被害に泣かされています。でも人間だけが調子よく美味いものを頂こうと考えること自体、食物連鎖のレベルで考えておかしいことだと、今は思うようになりました。
なにしろうちの可愛い子、よく頑張って帰ってきてくれた。僕に何かを教えるためにあえてそんな目に遭ったのか? 考え過ぎか(笑)。
松本克也 プレマ宮古島プロジェクトリーダー(兼農業生産法人(株)オルタナティブファーム宮古代表取締役) 2012年4月まで自動車会社に勤務。車体製造の接合技術開発に心血を注ぎ、エンジニア一筋の人生を送る。2011年12月にもともとプレマファンだった姉から「プレマ・宮古島プロジェクトの発足とスタッフ募集」のメルマガ情報を聞いて『これだ!』と直感し、転職を決意。そこからはとんとん拍子に事が進み、家族で宮古島に移住。今ではすっかり都人(実は京都出身)ならぬ宮古人になりました。 オルタナティブファーム宮古のfaceBookページはこちら>> |
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