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オディの農業日記

羽鹿 秀仁 (はじかひでひと)

サラリーマン、経営コンサルタント、青年海外協力隊の隊員として中米のニカラグア、パナマで5年間活動後、ネットワーク『地球村』というNPO団体のスタッフとしてアフガニスタン支援に3年関わり、2006年から三重県名張市赤目で農薬を使わない農業を始める。

【Vol.28】オディの農業日記 第21回

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【美味しいお米を食べてもらいたい】
 ひと雨ごとに風が冷たくなり、赤目もめっきりと寒くなって冬の足音が聞こえてきました。10月中旬からオディ米の出荷も始まっています。

 お米作りを始めて4年、少しずつですが技術も向上してきたのか、たくさんの人から今年のお米が一番美味しいとの評価をいただいています。ある人からは「結婚して、二人が協力して作ったことで去年までとは美味しさのレベルが変わった」との過大な評価もいただきました。

 今、私の一番の願いは美味しいお米を一人でも多くの人に食べてもらいたいということです。

 お米の消費量は昭和40年で一人当たり111.7kg、ところが平成19年では61.4kgとほぼ半減しています。また私の大好きな宮沢賢治が昭和6年に書いた「雨ニモマケズ」の詩の中に、「一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲ食ベ」という文章が出てきます。お米一合は約150gですから、4合というと約600g、一年間で220kgぐらい食べていた計算になります。今の4倍もお米を食べていたんですね。
お米の消費が減った原因として副食品の充実、食の西洋化、仕事の質が肉体労働から頭脳労働に変化したことなどいろいろな理由が挙げられています。

 その中で私にとって一番興味深かったのは農家が本当に美味しいお米を消費者に提供してこなかったということです。

 1995年まで続いた食管制度はお米の味や質ではなく生産量に応じた支払いでした。生産者はとにかく多収穫のお米を農薬や化学肥料を使って効率的に作ることに主眼を置くばかりで、本当に安全で美味しいお米を作ってこなかったことが消費者のお米離れを招き、今の消費量低迷につながったという説です。

 今年、お米作りに関わってくれた一人の女の子が「私は今までほとんどお米を食べずにパンと麺類ばかり食べていた。でもお米作りに関わって、お米を作る苦労と喜びを体感して、そして何よりお米の美味しさを再発見した。これからもっとお米を食べようと思います」と話してくれました。
私は一生産者としてお米が売れない理由を挙げてその改善を求めるよりも、まず自分ができるかぎり美味しくて安全なお米を適正な価格で提供し、一人でもたくさんの人にお米の美味しさ、素晴らしさを再発見してもらい、その結果としてお米の消費が増え、日本の農業や豊かな里山が守られて欲しいと願っています。

 安全、安心、そして美味しさにこだわったオディの黒米の出荷が始まっています。是非お試しください。

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- オディの農業日記 - 2009年12月発刊 Vol.28

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