昨年上梓した書籍『低炭水化物ダイエットへの警鐘』に記した、がんをPBWF(植物由来のホールフード)で克服した症例について、前回ご紹介しました。
今回は、同書第2部後半に書いた2つの症例をご紹介します。
一週間で発疹が改善
私のクリニックには、あざ治療の患者さんが多く来院されます。
ある日、相談にいらっしゃった1歳2カ月のNちゃんは予防接種を受ける度に発疹と発熱が見られ、注射を受けたクリニックを再度受診しました。
しかし、「発疹は予防接種と無関係」と診断、解熱剤を処方されて帰されます。
別の小児科でも予防接種や食物アレルギーとの関係を否定されますが、発疹は全身に広がりを見せていました。
ご両親は当院があざ治療のパイオニアと聞き及び遠方(東京)から受診されました。
発疹はあざではないのでレーザー治療は有効ではないと説明し、そのうえで、原因は予防接種と食物との関わりが疑われると考え、遅延型フードアレルギー(IgG)検査を受けていただいた結果、乳製品、小麦、卵に陽性を示しました。
2週間これらの食品を除去するように指導したところ1週間後には改善が見られ、1ヶ月ほどで全身の発疹はほぼ完全に消失しました。
経験したことがない健康感
前出の書籍には、あるアスリートの論文も紹介しています。
小学生から陸上を始め、大学時代には箱根駅伝を走り、40歳ごろまではボディビルダーとして身体をつくってこられた、大阪市立大学元教授の羽間鋭雄先生です。
先生によると、糖質を制限し、動物性中心の食生活を実践していたボディビルダー時代、体はいつもだるく、眠く、排便の状態も悪かったといいます(糖質制限ダイエットを実践している人もこのような体の不調を感じておられるのではないでしょうか?)。
羽間先生は44歳のときに一年間PBWFを厳格におこない、ご自身の身体の変化について検証をおこなった結果を論文にまとめられ、その論文はPBWFが人体に与える影響を見る貴重な資料となりました。
67項目に及ぶ血液検査と健康調査の結果には特筆すべき問題は生じず、体力はあらゆる面で向上するばかりか期待をはるかに上回ったといいます。
結果と考察について評言社のウェブサイト同著紹介ページよりダウンロードできます。
私は動物性食品を一切食べないヴィーガンという食事法を実践しています。
主な理由は「健康な体を手に入れるため」。
周りには子どものころからヴィーガンで育ち、健やかに成長した大人やパフォーマンスを上げているアスリートが当たり前に存在します。
大人も子どももアスリートも、例外なくPBWFで健康な体を手に入れられるのに、わざわざ病気のリスクが上がる食品を摂る必要はないと思うのです。
「肉が好き」「チーズが止められない」というなら、タバコやお酒のように嗜好品として捉え、摂り過ぎると体に害を及ぼすと理解して食べるのはよいと思います。
「子どもの成長のために」「丈夫な骨を作るために」という理由で肉や魚を食べる、牛乳を飲むというのなら、それは間違いです。
まして消化管が未熟な小児に「発育のために必要な食品」として与えるのは、かえって悪影響を及ぼすリスクが高くなります。
それらを摂取しなくても、人間の身体は十分に作られ機能するということを、ぜひ知ってほしいものです。