今年のお正月は、ほんとうによかった。「静かさ」というものを人生で一番満喫できたお正月だったと思う。年末までに処理すべき仕事の段取りをつけて、実家へのあいさつも年内にすませ、12月30日から1月10日までのスケジュールを真っ白に。さて、何をやったか?
答えは、「英単語のお勉強」です。あー、なんと幸せだったことか。本当にやりたかったことにたどりついた、という安堵感ひとしお。こういう地味なことこそ、日常の雑務を地道に片付け続けたご褒美だからだ。
受験勉強時代にはできなかった効率悪い勉強法で、辞書を語源まで読み込み、単語ノートを一つ一つ作る、という作業を満喫しながら、日本というのは、教育の普及が世界ナンバー1のようでいて、実は多くの人の本当の勉学欲というのは、開発途上国の学校に行けない子どもと同じぐらい満たされていないのではないか、と感じたものである。ちょうど、身体も、「飽食」といわれているわりには本当に必要な栄養がとれていない、実質飢餓状態といわれるように。
そして、並行して「ジュース断食」を行っていた。妹がみかんを一箱送ってくれたので、それをジュースにしぼり、朝から晩までそれだけ飲む、というだけのお手軽なもの。脳を働かせたいときは、胃の負担をそれぐらい軽くするに限るということは、数年間のローフード生活で体験として学んだ。実際、効果はすばらしく、朝から晩まで机にかじりついているのに、肩こりは解消されてくるし、腸はダイナミックに動き続けているし(どうしてジュースだけであんなに出てくるものがあるのだろう?)朝の目覚めもばつぐんによい。身体を休めることというのは、つまり内臓を休めることなのだ、と感じた。
お正月のごちそうは、年々ボリュームアップしている。おもち、お酒、昔ながらのお料理に加えて、洋風のおせちや洋菓子を食べる習慣も定着しつつある。わー、それって、胃を鞭打ち続けて「三が日耐久レース」させているというか……。
休みませんか。自分に心からの休息と栄養を与えてみては。だってお正月なんですもの。
石塚 とも
石塚 とも氏 東京都生まれ、慶応大学文学部卒。大手出版社勤務を経てフリーに。2001年、品田雄吉賞を受賞し、映画評論家として活動開始。 2006年、ローフードを推奨する健康法「ナチュラル・ハイジーン」と出会い、体重10キロ減を初めとしてさまざまな心身の変革を体験。ローフードが持つ科学的、社会的、人文学的な魅力に魅せられ、研究を重ねる。書籍、講演、ブログを通じて、ローな自分と世界に起こるさまざまな変化を発信し続ける。 著書に『ローフード 私をキレイにした不思議な食べもの』など。 |