【Vol.21】(第3回)胎児とのきずな

宇宙のすべては霊的な生命体です。すべてが目覚めて拍動しています。地球のような惑星も、河原のちいさな石ころも、そのひとつひとつが意識をもって息づき、学びつつあります。
胎児にも意識はあるのでしょうか。もちろん、あります。

そもそも、精子にも卵子にも意識があります。一匹の精子が奔走し、卵子と合体し、細胞を増殖させてゆく……その過程をみずからの主体的経験として記憶している人もいます。これは細胞レベルの意識によるものです。

脳が発達してくると、脳神経への中央集権化がすすみます。妊娠一ヵ月から二ヵ月にして、脳を司令塔とする体制がととのえられてきます。これにともなって、「脳意識」と称するべき意識がおのずから形成されます。

脳にはまた、さらに重大な役割があります。霊魂の意識の座としての役割です。肉体に宿った霊魂は、五体の活力のみなもととなり、かつ脳の主体として精神活動全般をいとなみます。

霊魂はいつ胎児に宿るのでしょうか。霊魂は、通常、随意運動の可能な段階まで胎児が発達してから体内に入ります。ただし、そのまま入り込んでしまうわけではなく、出たり入ったりをくりかえしながら肉体との結びつきを強めてゆくのです。霊魂があるていど恒常的に体内に宿るようになるのは、新生児として誕生したときからです。

ともかく、こういうわけで、胎児にははじめから意識があります。意識があれば、理解力があり、学習能力があり、記憶力があり、意志があります。胎児は、自分の置かれた情況をつねに自覚し、その自覚をみずからの形成に(意識的・無意識的に)反映させているとみられます。

胎児がこのような意識体として生活しているのであれば、胎児の置かれている情況に親が無頓着でいていいわけがありません。胎児の情況を左右するのはほかならぬ親自身なのですから。――ここに、いわゆる「胎教」の必要性が生じてきます。

たいていの民族には、古来、妊婦の守るべき心得が言いつたえられてきました。その多くは食事や立ち居振る舞い、心の持ちようについての戒めでした。いずれもたいせつですが、もっとも切実に必要とされるのは、親子のきずなをしっかりとつくりあげることです。

子どもは、親に依存しなければ生きてゆけません。そのため、子どもは親との結びつきに最大の注意を払います。妊娠中に親のなすべきことは、なによりもまず、胎児に歓迎の気持ちをつたえて安心させてあげることです。もし胎児がじゅうぶんな安心感を得られないままでいるなら、そのことは妊娠・出産のみならず、生涯にわたって子どもにネガティブな影響をおよぼしつづけるかもしれません。

歓迎の気持ちを胎児につたえるには、三つのレベルでのアプローチが可能です。細胞のレベル、脳のレベル、霊魂のレベルです。前二者は、物質的な基礎をもちますが、その意識はスピリチュアルなものです。まごころをこめて歓迎のことばを語りかければ、その波動を通して胎児に真意がつたわるはずです。むろん霊魂のレベルでもこの語りかけは有効です。できるだけ早くにこの語りかけを実行し、かつ妊娠期間中おりにふれてくりかえすべきです。 

霊魂のレベルでは、子どもはその道のプロです。妊娠するまえから、子ども(正確には「子どもになる予定の霊魂」)のほうからなんらかの働きかけがあるでしょう。子どもからの霊的な通信の方法として、もっとも一般的なのは、夢をとおしてメッセージや映像をつたえるものです。親や家族の夢のなかに子どもがでてきて「これからゆくのでよろしくね」と言ったりするのです。あるいは、高度なシンボルを用いた象徴的な表現がなされることもあります。また、親が目覚めているときにテレパシーやインスピレーションというかたちでメッセージをよこすこともあります。

子どもからのこうした働きかけは妊娠期間中にもしばしばくりかえされるでしょう。多くの親が子どもからの通信に気づかなかったり聞きながしてしまっているのはまことに残念なことです。子どもからの働きかけに誠実にこたえることで、親子の結びつきが固められます。子どもからの通信らしきものを察知したならば、それにかならず応答するようにしましょう。通常の語りかけで応答できますが、「念」が入ればより確実です。一心に愛の念を送りましょう。

妊娠・出産は親と胎児の連携によって進展してゆきます。親子のきずなこそが、スムーズな妊娠と出産の基礎となるのです。

さかのまこと

さかのまこと氏
自然哲学者。
慶応義塾大学文学部卒業。東北大学大学院博士課程修了。国語国文学を専攻とし、大学教授等を経歴。プレマ(株)代表中川のインドでの知己であり、常務佐々田の恩師でもある。また、生物学から宗教学にいたるまで幅広い関心領域をもち、夫婦だけで2人の娘のプライベート出産をおこなう。著書に『あなたにもできる自然出産―夫婦で読むお産の知識』等。