累計122万件出荷!自然食品・自然療法・エコロジー・らくなちゅらる提案サイト

特集

インタビュー取材しました。

「遊び」での体験が 心の基礎体力を作る
幼稚園教諭・保育士 花村 彩香 氏

投稿日:

シングルファーザーだった弊社代表中川のベビーシッターとして、
学生時代に3人の子を週末に預かっていた幼稚園教諭の花村彩香さん。
当時のことや、花村さんご自身の体験、
幼稚園や保育園という教育現場での仕事を通して感じてきた
「子育てにおいて大切だと感じていること」について話していただきました。

 

花村 彩香(はなむら あやか)
1986年生まれ。幼稚園教諭・保育士。
短大在学中より約3年間ベビーシッターとして弊社代表中川の3人の子を週末に預かる。
保育士資格を取得・卒業後、幼稚園教諭免許取得のため大学に編入学。
卒業後、私立幼稚園4年、私立保育園1年10ヶ月、公立幼稚園1年2ヶ月、私立保育園2年勤務。現在、公立幼稚園勤務。三姉妹の次女。

 

三人の子といっぱい遊んで親戚のような関係に

――中川家の三兄弟を預かったきっかけを教えていただけますか?大学在学中だったのでしょうか?

花村さん(以下花村)短大の社会福祉学科で福祉を学んだ後、幼稚園教諭の資格を取るために、教育系の四年制大学に編入学しました。
中川さんのベビーシッターの求人広告を知ったのは短大時代。
そこから約3年、週末に3人のお子さんを預かりました。
家事はおばあさんがしておられました。
長女のあいはまるでお母さんみたいでお姉さんらしくて、そこにいつもぴったりくっついていたのが、末っ子で次女のやえです。
真ん中で長男のえいちは、マルコメ君カットでかわいくて。
やえは知らない大人になかなか懐かないころでした。
話しかけても、あいの影に隠れちゃうんです。
当時まだ2歳ぐらいだったでしょうか。
でも、保育を勉強する身としては、やっぱり懐いてほしいじゃないですか。

――わかります。保育士の私、ついつい外で子どもを口説きます(笑)。

花村 そうですよね(笑)。
それで、当時の教授に相談してみて、小さなビーズ、色とりどりのお絵かきの用意を持っていって作り始めると、そばにきてくれて、できたことをいっしょによろこんでいるうちに、話せるようになっていったんです。
本当にかわいくて嬉しくなりました。

――人見知りしているときは、直接話しかけるよりも、少し離れて面白そうなことをしているほうが寄ってきてくれたりしますよね。

花村 ですよね。
それで懐いてくれたら「よっしゃ!」と思います(笑)。
三人は教え子というより親戚みたいな感じなんです。
本当にかわいくて。

――中川社長から教育方針みたいなものは伝えられていたんですか?

花村 いいえ、「花村さんを信じてるから」とだけ言ってくださっていました。
夏休みに三人を旅行に連れていったこともあります。
今思うと、無謀な気もしますが、看護師の友人と私の二人で車を運転して熊本まで。
中川さんもよく許可してくださったなぁと思います(笑)。

家族の海外旅行に同行させていただいたこともあります。
その影響で、後に大学に入ってから、インドに一人旅をしました。
一人で行くと伝えると中川さんには驚かれましたが。

――編入学ってパワーが要りそうですが、そのパワーの源ってなんですか?

花村 そう言っていただくことが多いんですが大変とは思わなくて。
でも、両親からの支えは大きいです。
父は苦労人で真面目にコツコツ経営してきた人。
母は指示命令や禁止が多かったので10代のころは反発しましたが、本当に愛情が深くて。
私たちがやりたいことには120%応援してくれる両親だったので、がんばれたというのはありますね。
海外留学など反対されたこともあります。
私が旅行好きになったきっかけは、編入学前の春休みに原動機付自転車で、四国一周したことなんですが(笑)、実はこのとき、親には内緒でした。
でも、この旅行のおかげで「一人でも、みんなに助けてもらいながら楽しいことができるんだ!」と思えました。
そこから自分らしく生きることができるようになった気がします。

 

先生が先生を信じ褒めて認める職場で

花村 卒業後、幼稚園と保育園に勤務しましたが、行事などに追われ余裕がなかったのもあり、疑問が残ることもありました。
転機となったのは、3カ所目の京都の公立幼稚園。
「ここでダメなら先生を辞めよう」と思っていました。

――公立ということは自由保育ですか?

一般的に「のびのび系」と呼ばれる「自由保育」と、「勉強系」と呼ばれる「一斉保育(設定保育)」とあって、後者は保護者には人気ですよね。

花村 自由保育が主体です。
この園で、それこそ「褒める」「認める」ことの大切さを学びました。
一斉保育の園に勤務していたときには、カリキュラムに合わせられているかどうか、他の先生にどう見られているかなどを気にして、精神的にどんどん窮屈になってしまいました。
短大で学んだことや、出合ってきたことが、とても大きかったのですが、勤務してみるとそれが活かせないままで、「これでいいのだろうか」と思ったこともあります。
そうなってくると、だんだん「まずは園の色を吸収したほうがいいんだろうな」と、自分を閉ざしてしまったのです。

――転機となったのはどんな園ですか?

花村 素晴らしいのは、先生方の「連携」です。
担当クラスはもちろんあるものの、園の先生たちみんなで子どもを見ていくのです。
公立幼稚園は、子どもが帰った後に休憩時間があるので、そのときに、子どもの発達の様子や、それに対する先生の対応について、全員でシェアするのです。
園長先生やフリーの先生など、先輩の先生方が「こうしなければいけない」と指示するのではなく、寄り添うように「こうしてみたらどうかな?」とアドバイスをしてくださって、新人の先生の成長を見守ってくれます。
ダメ出しをして追い詰めるようなアドバイスとはまったく異なります。
おかげで、私も素直に反省できました。
ある日、園長先生に悩みを相談してみたら、翌日、園長先生がそっとクラスを見に来てくださって、「前日の悩みがあったから、今日、花村先生は○○ちゃんに、こんな言葉かけができたんですね」などと、私の成長まで見ていて、褒めて認めてくださるんです。

――先生が先生のことを認める職場って素敵ですね。

花村 そうなんです。
この園に勤めて「やっぱりこの仕事を続けたい」と思いました。
運動会などの演目も「研修で習ったからこれをしよう」というのではなく、子どもたちの様子を観察して、子どもたちの言葉を拾って、たくさんのアイデアを考えます。
日々の保育のなかで少しずつそれを出してみて、反応がよかったことを最終的に演目として選び、完成していきます。

――対応できる引き出しを持つ必要がありますね。小学校の「総合」のように先生の力量が試されるというか……。

花村 そうです。
いろいろな方に相談したり調べたりしなければなりません。

――キャリアのある方なら前の勤務先を引き合いに出して「こういう演目がいい」と言う先生も出てきそうです。

花村 そういうのが無いのがいいと、褒められたことがあります(笑)。
先生方みなさんがすごくフォローしてくださるので、できたことだと思います。

――まるで大家族のような園ですね。

花村 本当に温かかったです。
先生たちがそんな感じだから、その園の子どもたちも、グンと成長するんです。
4歳の終わりに育休代替で受け持って、持ち上がりで5歳児を担当したのですが、このクラスは大きく伸びました。
子ども自身がそれぞれに持つ力を、大人の見方ひとつで、どう伸ばしてあげられるか、大きく変わっていくと思うんです。
弱点をプラスに変えるというか……。

例えば、口が達者で言葉の乱暴なA君。
「乱暴な物言い」だけに着目していると、それは短所になります。
でも、長所として捉えると、自分の気持ちをしっかり言葉で表現できる子と言えます。
伝え方が不器用なところもありましたが、すごく真面目でもあったので、その子にリーダーになってもらったんです。

――信じて認めるということですね。

花村 そうなんです。
もう一人、優しくて運動ができて、頭の回転が速い、なんでもできるB君がいました。
でも、パワーが有り余っていて出しきれずにいたんです。
B君についていける子がいなくて、遊べる相手がいないので、いつも私のそばにいました。
なんでも「僕がやる!」と率先してやってくれるんですが、彼に任せてばかりいると、他の子が活躍する機会を奪うことになってしまうのです。

子どもの心の成長は後から伸びる見えない力

花村 ところが、リーダーになることで、A君がすごく伸びてきて、言葉に配慮できるようになり、B君と遊べるようになってきた。
二人がすごくいい関係になっていったんです。
お互いに思っていることを伝え合いながら、遊びのなかで学びが増えていきました。
そのうち、B君がほかのお友達を認めるような「○○くん、すごいなぁ」という発言が増えていったのです。
優しいのでもともと見下す発言はなかったのですが、以前より、お友達を認められるようになったのです。
そうして、二人はお互いの気持ちに折り合いをつけながら遊べるようになりました。
実はA君は自信がないタイプでしたが、遊びのなかでB君と認め合う経験を重ねていくことで、他の子に目が向くようになり、お友達を認めてあげられるようになっていったんです。

幼児教育において、一番大切なことはやはり「遊び」です。
大人の指示に従うだけではなく、遊びのなかでいろいろ学んでいくものです。
大小さまざまなブロックやパズル、絵画や工作、水や砂遊びもよくします。
保護者の方の協力を得て廃材で工作もします。
どうしたら強度を増すことができるのか、友達同士で相談して作ることもあります。
自分にとって興味のある遊びを通して人と関わり、気づきを通して心が成長していく。
その環境づくりと、言葉かけのタイミングが、私たち教師にとって重要なことです。
心の基礎体力を作る大切な時期だと思います。

小学校で最初に授業についていけるのは、やはり、カリキュラムに従い、勉強してきた子であるのは確かです。
でも、私見ではありますが、幼児期からすでに「与える教育」になってしまったら、どの時期に「心の成長」という大切なことを学べばいいのか……。

――私が驚いたのは、自由保育の幼稚園のことを、「あそこは何もやってくれないから」と保護者が話していたこと。大切なことが学べるのに……。

花村 見えないので伝わらず、せっかくのいい園がなくなってしまう。
自由保育で身につくのは、躓いたときに乗り越える力や自己肯定感など「心」に関する大切な力。「後から伸びる力」なので、わかりにくいのでしょう。

「選択できる」ことって重要だと思うんです。
今日一日やってみたい活動を自分で選んでとことん遊び込む。
そこで教師は子どもを観察し、次に起こることを想定しながら、次の素材を用意するなど環境を整えていく。
綿密なカリキュラムがあれば、それはできません。

――もしかして先生同士が信頼関係を築けない現場では、子どもを信じて見守るのは難しいかもしれませんね。

花村 連鎖は起きるでしょうね。
いい現場を体験して、つくづくそう思います。
園長先生が「花村先生は心の保育をしてくれた。だから子どもが育った」と認めてくださったことが、本当にうれしくて。本当にありがたくて。

子どもは素晴らしい存在です。
先日、金魚が死んでしまったんですが、「みんなのこと見てくれてるよ」「お星様になるんやで」とたくさんの素晴らしい言葉が出てくる。
そういう子どもの言葉を拾い、共感してつなげていくことが、子どもを信じることであり、認めるということ。
それがとても大切なことなのではないでしょうか。

- 特集 - 2018年9月発刊 vol.132

今月の記事

びんちょうたんコム

累計122万件出荷!自然食品、健康食品、スキンケア、エコロジー雑貨、健康雑貨などのほんもの商品を取りそろえております。

びんちょうたんコム 通販サイトへ