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インタビュー取材しました。

【Vol.98】世界で生きていける子供たちに育てよう~フィリピン、貧しい母子たちの診療所、活動22年からの学び ~

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2015年7月28日東京開催。フィリピンでバルナバクリニックを営む、助産師・看護師の冨田江里子さんによる講演レポート第3回。

日本にいる私たちに、できること

途上国から学べること。先進国に失われたこと。
私たちの意識、行動がひとつ変わることで、持続可能な世界へひとつ進むことができるかもしれません。

世界における日本のリアル

日本が今、どうやって成り立ってるのかっていうことを、日本で生活してるとリアルに分からないなって思います。たとえば、日本の食料自給率は、5年ぐらい39%のままです。でも、世界中の飢餓がなくなるぐらいの量が残飯として捨てられてる。食べ物が正しく分配されていない。日本が食べるために、現地の農業が破壊されている。それを助長しないためにはどうしたらいいかというと、要らないものを買わないようにすることです。それが国際協力になる。それを次の世代にも伝えてください。
他にも、日本は緑が豊かにあるにも関わらず、木を買い続けています。60~70年代にフィリピン、インドネシア、マレーシアから木材を日本がほとんど持って行きました。木がなくて大雨が降ったら土砂崩れです。ひとつの村がなくなることも珍しくない。その度にJAICAとか日赤とかがヘリコプターとか飛行機を飛ばして緊急医療班が飛んできて、そこだけが派手に報道される。先進国が消費して、便利な暮らしをしてるから、こんなことなってるんですよね。それなのに、崩れたところだけ助けに行くのが本当の支援なんでしょうか?

途上国から学べること

WHOが最近発表した世界の死因の60%は慢性疾患です。20年後には世界の医療は破綻するといわれます。今、これだけ医療に依存している状態で、薬漬けになっている人たちはどうやって生きていくんでしょうか。慢性疾患が増える原因として、WHOは、喫煙、飲み過ぎ、食習慣、運動不足の4つをあげています。でも、さまざまな啓蒙がされているにも関わらず、さらに17%増える予測が出ています。
そこで、途上国から学べるものはないでしょうか。途上国にはこんな病気はなかったんです。でも今はあります。まず食事が変わりました。動かなくなってきてるし、喫煙や飲酒も増えています。お酒も、アルコール醸造っていわれる化学的に発酵させているもの。貧困層はそういうものしか手に入らない。先進国の後追い状態です。
貧困から学ぶというのがピンとこなければ、自然から学ぶ。人間も自然界の一員です。人の細胞は10兆個あります。体の表面、粘膜とかには、ありとあらゆる細菌、微生物が住んでます。それが細胞の10倍。現代医療に定期的にかかって抗生物質を飲んでいる人たちと、原住民っていわれるまだ文明に触れてない人たちの腸内細菌の数を比べたら、先進国の人間はすでに30%以上の細菌叢を失っているそうです。細菌叢って何をしているのかというと、他の菌の侵入を防いでいる。アルコールで消毒すると常在菌ってなくなるんです。100兆いる菌たちが体を守ってくれてるんです。それを取った結果、何が起こってるんですか? アトピーですよね。食べ物だけじゃないんです。菌って良い菌から死んでいきます。乳酸菌は弱くて大腸菌は強い。大腸菌の数が増えると病原性大腸菌に名前が変わる。人の病気と腸内環境はすごく影響してるなと思います。
今、途上国もだいぶ乱れてしまっています。小さい頃からミルク、インスタントラーメン、いろんなスナック菓子を食べる。一日に必要なプロテインの何%が補給できます、ビタミンCの何%が補給できますって書いてあるから、良いもののような気がしてみんな食べる。結果、病気になって、病院に行って医療経済がまわる。死ぬまでお金を使い続ける。お金が集まる仕組みが成り立っています。それに参加しますか? やめますか?

やめるのは簡単です。ちょっとずつ、自然界の法則に戻っていく。失ってしまったものは取り戻せません。30%の細菌叢は戻ってこない。ただ、今あるものを生かしていくことはできます。そういう生活が、世界で生きていける人を育てるんだと思います。
細菌叢だけじゃなくて、免疫をあげる。そのためには体温を上げないといけない。体温が1℃下がったら免疫は30%落ちるといわれています。それと、深刻になりすぎないこと。悲観しない、感謝する、ハッピーでいること。「嫌」と思うだけで免疫は下がります。

自分で考え、判断する

今、熱中症で倒れるのは老人か子どもなんですね。お年寄りは、身体機能が落ちて、地球環境も昔と違うのに、エアコンを使わないといけないときに使わないから倒れてしまう。子どもたちは、生まれたときから、一定の温度、湿度、綺麗な空気で育ってるから、毛穴が縮んだり開いたりできない。人間は経験の生き物なので、いろんな温度を経験してはじめて毛穴が活性化するんです。でも、病院は分かっていても、できない。なぜなら訴訟されてしまうから。何かあったときに、最善を尽くさなかったといわれてしまう。だから親が、考えないとしょうがないです。行政とか病院の責任とかいっても解決策はないので、一人一人がどうやったら生きていけるのかを考えないかぎり、生き抜けないと思います。

分かりやすいのが、私の子どもは一時期インターナショナルスクールに行ってたんですが、ある年、髄膜炎が起こったんです。10人近く感染したんですが、全員日本人。他の国の人は何が違ったかというと、まず消臭除菌スプレーを使ってない。薬用石けんが家にない。消毒用アルコールも使ってない。日本人はみんな使ってたんです。「日本はきれいにしすぎです」って、知り合いの小児科の先生にメールを送ったら、「そんなこといったら砂場に子ども投げるようなお母さんがいるからやめてちょうだい」と返ってきました。白か黒か極端なんですね。でも今の人は免疫力を持ってないからいきなりは無理。だからちょっとずつやってみてください。汚くっても大丈夫。
京都大学の清水先生という方が、狩猟採取生活をしてる少数民族のアエタ族と2年間一緒に生活されたそうです。アエタ族は移動民族で、赤ちゃんはバナナの葉っぱの上にごろんと転がっているだけ。砂を食べても誰も止めない。その子達がものすごい強い。だから先生は自分のお子さんが生まれたときに、できるだけ土に這わして、何を口につっこんでもそのまま様子をみたそうです。医学的な知識ではなく、体験から素直に学ばれてるんですよね。でも、日本人ってシールドかかってるるんです。きれいにしなきゃっていう、頭の鉄兜みたいな思い込みを外さないと、本当に必要なことは見えないし、本当に必要な支援はできない。そうやって支援してくれる人の数が増えない限り、先進国と途上国のバランスは直らないです。

「愛情の反対は無関心です」というマザー・テレサの言葉があります。誰かから愛情を受けた人って他に愛情を注げるんです。だから、関係ないじゃなくて、なんで違うんだろうって考えることができるはずです。子供達にも既成概念をかぶせるんじゃなくて、途上国っておもしろい、いっぱい学べることがあるんで、そこを見てほしい。そういう子が増えれば、本当に世界を変えることができる。一歩でも二歩でも違う考え方をしてくれる人が増えれば、世界は変わると思います。愛された経験のある方は、どういう形でもいいので、愛を伝える。誰かに関心を向けることをしていただけたらなと思います。

談:冨田 江里子
フィリピンで1997 年から暮らし、現地の貧しい母子が
置かれる状況に診療所を開設。3人の子供の母親。
ブログ:フィリピン、貧しい母子のためのクリニックより http://blogs.yahoo.co.jp/barnabaseriko

文:らくなちゅらる通信編集部

- 特集 - 2015年11月発刊 Vol.98

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