苺はお好きですか? 見た目も赤く可愛くて、甘酸っぱくて、とっても美味しいですよね。わたしも大好きです。かたちは不揃いでも無農薬の香り高い苺をほおばりながら、わたしは時々こんなことを考えることがあるんです。「これは、わたしが苺を食べたくて食べているのか? それとも、苺が食べられたくて食べさせられているのか」なんていうことを。
苺の戦略
わたしが苺を「食べたいな」と思うその欲求の根源は、苺の水分や栄養素(ビタミンCやポリフェノールなど)を自分の体内に摂り入れ、美容と健康に必要だと無意識に判断しているから。一方、苺の目線からものを考えると、食べられることによって本来は自分たちを増やせるチャンスだと思っているわけです。残念ながら現在では水洗トイレでその苺の思惑は外れてしまうわけですが、もし人間たちが自然をコントロールし栽培していなかったころの時代なら、苺は動物たちに食べられることで種を新しい土地に蒔いて増やすことができたはずでした。だから苺としては「食べられたい」欲求があるはずなのです。そのためにも見た目も可愛く美味しそうな香りをぷんぷん放っているわけで。脳があり知能があるわけでもない植物たち。でも彼女らは誰から教えられたわけでもなく、自らの実を与え食べられることによって、相手を生かし自分たちも繁栄させる壮大な愛の戦略がそこにあるんですよね。
愛を放電しましょう
一方でわたしたち人間は、他のなんの役に立つのでしょう? 自分たちの子孫繁栄はそのひとつに過ぎません。わたしたちが恋愛をし、愛し合って性交することは、単に浅い欲求が満たされる利己的なことだけではないとわたしは思っています。
トキメキを感じ、性的に快感を感じることは、生活するなかでも特に刺激の強い官能です。わたしたちの身体には血液やリンパ液などの液体も流れていますが、電気(生体電流)も流れています。常にその電気によって、動き、考えることができているのですが、性器をはじめ全身の五官で感じる性感を通して、脳との間にたくさんの電気が流れると、その電気は外界へも放たれていきます。電気は目には見えませんが、自分の肉体の外にも触れたものへ感電していくわけですから、あなたが感じていることは、あなたに触れているパートナーへも大きく影響を及ぼすに違いありません。周りへ幸せなエネルギーを流していくことになるんです。自然の摂理では、常に豊かなところから少ないところへ、パワーが強く高いところから低いとろへ流れていく。あなたが自分を満たし、深く感じることはとても意味深いことなのです。愛し合えばそれはエネルギーの交換になりますね。
この世の生きとし生けるものすべてに共通していえることは、誰もが「ひとり」では存在できないということ。必ず誰かの命・誰かのエネルギーをいただいて、今この瞬間に生かされています。もし、ちょっぴり人生に疲れたときは、果物を食べながら意識してみてください。「わたしは愛でできている」ということを。そしてセルフプレジャーやパートナーシップによって素敵な愛のエネルギーを放ち、どうかあなたの力で、世界に平和をもたらしていただきたいです。
2年間にわたってフェムケアを題材にコラムを書かせていただきました。今号で最後になりますが、いかがだったでしょうか? ほんの少しでも性のイメージが変わり、心がほっこりし、自分自身を愛するきっかけになれたら嬉しいな、という氣持ちで拙文ながら心を込めて綴らせていただきました。このような機会を与えていただき、本当にありがとうございました。